(この記事は、第109号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、ドビュッシーの美術展のお話です。

7月14日から東京の日本橋にあるブリヂストン美術館で開催されている「ドビュッシー音楽と美術 印象派と象徴派のあいだで」という美術展に行ってきました。

美術展の公式ホームページ (外部サイト)

ブリヂストン美術館60周年記念のイベントで、世界的に有名なオルセー美術館とオランジジェリー美術館との共同企画だそうです。今年はドビュッシーのメモリアルイヤーなので、以前から見に行こうと楽しみにしていました。

8月の平日午前中に行きましたが、既に多くの方が見に来ていて、その後も続々と観覧者が訪れていました。中高年の方々が一番多かった気がしますが、夏休み中ということもあり、学生さんやお子様連れの方々も見かけました。

ドビュッシーは、19世紀から20世紀にかけて活躍をしたフランスを代表する作曲家で、印象派を代表する音楽家でもあります。音楽だけでなく、美術など芸術全般が好きだったようで、ロマン派のショパンなどと同様に、音楽家以外の芸術家との交流も多かったようです。そこから多くの刺激を受けて、作曲活動にも反映させていきました。

今回の美術展では、ドビュッシーと親交のあった画家などの作品が150点ほど展示されていて、絵画だけでなく彫刻やその他の美術品もあります。

モネやルノワールなど、誰もが聞いたことのある画家の作品もあり、ルノワールが描いた「ピアノに向かうイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロール」も展示されていました。

ドビュッシーは、パリ万博にも足を運び、当時流行していた日本の美術であるジャポニズムに大変興味を持っていたようです。

以前、ドビュッシーの生家を訪れた時に彼の書斎を見ましたが、浮世絵などが飾られていました。その時に見た美術品も今回展示されていましたので、少し懐かしい気分で見学をしました。

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また、ドビュッシーの代表作である「交響詩 海」が発表になった時、その表紙に葛飾北斎の浮世絵 冨嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」の絵が使用されましたが、今回の美術展ではその初版も展示されていました。

ドビュッシーのジャポニズム好きは、友人への贈り物にも反映されています。扇子に彼の音楽の一部を書いたプレゼントの実物も展示されていました。

ドビュッシー自身に焦点を当てるだけではなく、彼と交流のあった画家などの作品も同時に展示するのは、なかなか珍しい視点ですし、面白い美術展だと思います。

10月14日まで開催されていますので、ご興味のある方は行かれるとよいと思います。

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(この記事は、第108号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、ヤマハピアノフェスティバルというコンサートについてです。

先日、銀座にあるヤマハホールでヤマハピアノフェスティバルというコンサートが行われました。東京にあるヤマハ系の音楽教室で、それぞれのお教室から選ばれた生徒さん100人が、ピアノ演奏をするコンサートです。

地下鉄の銀座駅とJR新橋駅の間くらいにある銀座ヤマハは、音楽を趣味で楽しんでいる方から専門に勉強しているプロの演奏家まで、幅広い方々が利用されています。ピアノだけでなく、様々な楽器や声楽などの楽譜も扱っていますので、音楽に関する事ならあらゆるニーズに応えてくれそうな場所でもあります。

近年、ビルを建て替えてヤマハホールも新しくなりましたが、今回のコンサートも、この新しいホールで行われました。2階席もあり、とても天井の高いホールです。しかも今回は、ショパンコンクールの優勝者や、チャイコフスキーコンクールで入賞したコンテスタントにも選ばれた、最新型のフルコンサートピアノを使用してのコンサートです。

ホールもピアノも素晴らしいものを使用しており、なかなかこのような環境で演奏する機会はないので、演奏する生徒さん方がうらやましく感じてしまいました。

コンサートは、小学生の生徒さん方が出演されていて、生徒さん自身やご家族、レッスンを担当されている先生からのコメントも読まれながら進められました。

色々なお教室の、同年齢の方の演奏を一度にたくさん聴ける機会はなかなか無いので、とても興味深く聴かせていただきました。

間違えてしまった生徒さんも、ちらほらいましたが、緊張のあまりたまたま間違えてしまったようで、この日のためにしっかりと練習を積んできたことが感じられました。

さすがに各お教室から選ばれただけあり、堂々としたステージマナーも好印象でした。

コンクールではないので、特別難しい曲を演奏しているわけではなく、普段レッスンで演奏しているような曲目がプログラムに並んでいました。ブルグミュラーの25の練習曲やギロックの作品、ソナチネアルバムなどです。

よく知られている曲ばかりで、まったく同じ曲が複数回演奏されることもありましたが、同じ曲でも弾き手によって解釈やニュアンスが異なりますし、テンポだけ見ても微妙に異なりますので、決して同じ演奏にはならないのです。それが音楽の面白い所とも言えますね。

普段のレッスンで使われている曲が演奏されていましたので、聴衆としても楽しめましたが、指導している立場から見ましても、今後のレッスンのよい参考になりました。

コンサートホールのロビーでは、演奏を終えた生徒さんが、ご家族や先生、聴きに来られたお友達と話をしたり、記念撮影をしていました。緊張から解放されてホッとしたような笑顔の方が殆どで、写真にも笑顔で臨まれていたのが印象的でした。

小学生の年齢では、通常の発表会だけでも、とても大きな舞台で緊張すると思いますが、今回のように、日本有数の有名ホールで、しかもフルコンサートピアノという最大級のピアノで弾く事は、物凄く緊張したと思います。

しかし、この体験は、きっと今後のピアノ演奏や、音楽以外の場でも役に立つのではないかと思います。心から、「お疲れ様でした」と声をかけたくなりました。

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(この記事は、第106号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、(パイプ)オルガンコンサートのお話です。

大都市圏を中心に、日本にも大きなコンサートホールが多数ありますが、その多くにはパイプオルガンが設置されていると思います。

何本ものパイプが整然と並び、ライトに照らされて輝く様には目を奪われますし、楽器自体がかなり大きいため、とても印象に残りますね。

しかし、ピアノリサイタルやオーケストラなどのコンサートは聴いても、オルガンとなりますと、コンサートを聴く機会は少ないのではないでしょうか。

クラシック音楽が、いつ、どこで誕生したのかは明らかになっていませんが、グレゴリオ聖歌の誕生を1つのスタートラインとしています。グレゴリオ聖歌は、教会のミサなどで、キリストに捧げる音楽として、オルガンの伴奏に合わせて歌われていたようです。

かの有名なJ.S.バッハは、多くの音楽を作曲していますが、バッハ自身も教会のオルガニストとして活躍していたこともあり、キリスト教に関わる宗教的な音楽が多く、オルガンの曲もたくさん作曲しています。

このように、クラシック音楽は、ある意味キリスト教やオルガンと深い関わりがあると言えます。

先日、東京オペラシティ・コンサートホールで行われた「ヴィジュアル・オルガンコンサート」を聴きに行ってきました。このコンサートは、毎月1回お昼の時間帯に開催されているもので、入場無料です。

45分間という長さのコンサートなので、ちょっと試しに聴いてみたい方や、長時間のコンサートを聴くのは自信がないという方にも、良いのではないでしょうか。

大ホールは2階席までしか解放されていませんでしたが、想像以上に多くの方が聴きに来られていて、平日のお昼という時間帯や、お盆に近い日にちにも関わらず、8割くらいの席が埋まっているようでした。

中高年の方々が多かった気がしますが、2・30代の若い女性や、夏休みという事もありお子様連れのご家族もちらほらと見かけました。

東京オペラシティに設置されているオルガンは、パイプ総数が3826本で、大きいものですと、人の頭部くらいの直径のパイプまであります。

たくさんのパイプの中からどれを使うのか、ストップと呼ばれるボタンを操作して選び、音量の操作を足で行いながら、3段ある鍵盤と足鍵盤を両手・両足で巧みに操って演奏をします。

このコンサートでは、その演奏の様子を2台のカメラで撮影し、舞台上のプロジェクターに映していました。通常のオルガンコンサートでは、このような映像を滅多に見ることができませんので、とても面白いと思います。

この日は、グレゴリオ聖歌を元に作曲された1600年代の作品やJ.S.バッハのコラール、そして近代の1900年代の作曲家の作品や現代作品まで、幅広い年代の音楽を演奏していました。

演奏の合間には、オルガニスト本人からの曲の解説もあり、とても分かりやすかったです。

馴染みのあるピアノのコンサートも良いのですが、たまには違う楽器のコンサートを聴くというのも、音楽の楽しみ方が広がりますので、良いと思います。

ホールがある建物の中にはレストラン街もありますので、コンサートを聴いた後に余韻を楽しみながらランチを頂くというのも、素敵なひと時かもしれませんね。

東京オペラシティ ビジュアル・オルガンコンサート

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