(この記事は、2025年7月28日に配信しました第427号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、世界を視野に入れ活躍する超新星のお話です。

「題名のない音楽会」というテレビ番組で、「世界を視野に入れ活躍する超新星!」という特集をしていたので見てみました。ピアニストの古里愛さん、トランペット奏者の松井秀太郎さんが取り上げられていました。

古里愛さんは、現在13歳で、昨年名門バークリー音楽大学に12歳で合格した話題のピアニストです。番組では、古里さんが作曲した「ディズ・モーメント」という曲の演奏から始まりました。11歳の時に、大好きな7拍子を使って書いた作品だそうですが、リズムがとても面白く、おしゃれな雰囲気やカッコいい感じもある、なんとも不思議な魅力の音楽でした。

古里さんは、10歳でニューヨークのジャズクラブでの演奏が260万回再生されて大きな話題になり、12歳でバークリー音楽大学に史上最年少で入学しました。20歳までにグラミー賞を受賞することが大きな目標だそうで、ジャズ部門だけでなく主要な4つの部門も狙いたいと話していて、司会者2人もびっくりした表情をしていました。

「という事は、バークリー音楽大学への入学は夢の通過点に過ぎないのですね」と、司会者も驚きを隠せない様子でした。この夢の実現のために、10歳の時から作り始めた計画表もあるそうで、番組で紹介していました。

11歳で英検2級と数検3級合格、中学の学習を終了し、高校の単位の取得開始。12歳でオリジナル曲をレコーディングして楽曲配信を開始、高校卒業資格の取得。13歳で最年少でバークリー音楽大学に入学、ロジックプロでシンセサイザーの音作りを学ぶ。

目標も具体的ですし、ほぼ全て目標を達成してきたという自己管理能力の高さにも大変驚きました。

今後の目標として、14歳でYouTubeのチャンネル登録者数10万人突破、20歳でグラミー賞受賞、ジャズスタンダードを作曲、最終目標は世界一のピアニストになることなのだそうです。落ち着いた雰囲気の大人しそうな古里さんですが、見た目ではわからない内に秘めた熱い思いに、とてもビックリしました。

作曲家・プロデューサーのクインシー・ジョーンズやピアニストの小曽根真さんなどを輩出したバークリー音楽大学での授業の様子についても、お話をされていました。特に印象的だったものとして、ダイバース・スタイリスティック・コンシダレーションという、世界の音楽をジャズに取り入れる実践授業を挙げていました。先生がとてもリズムに詳しい方で、世界の変拍子や複雑なリズムを学んでいるそうです。

番組では、実際に古里さんがキーボードで、7拍子のリズムだけ、次に7拍子のリズムに8分音符のソロを合わせ、更に複雑なリズムのフレーズを加えるともっと面白さが出てくるという解説もしながら演奏をしていました。司会者の2人も、「この複雑さが心地いいですね」「聴いていても、気持ちがいいですよね」と感想を話していました。自分の国の音楽とジャズを組み合わせるという課題もあるそうで、「日本の音楽はメロディーが美しいので、そこにジャズと自分らしさを組み合わせたら、美しいものが生まれると思います」と古里さんが答えていました。

2曲目の演奏として、出来立ての新曲「ザ・シェアード」を披露していました。日本の音階をベースラインに使って、日本人である自分自身を表現したのだそうです。ドラマチックな出だしから、急に演奏が一時停止して軽快な6拍子でアメリカの生活を表現したり、急に4拍子に変わって、1拍を5等分するようなリズムに変わって、戸惑いや不安を乗り越えた友情を表したメロディーが出てきたり、ピアノソロ部分で更に自由なリズムが出てきて、どんどん高みに向かって盛り上がったりと、とても変化に富んだ面白い音楽でした、

次に、ジャンルを超えて注目されているトランペット奏者の松井秀太郎さんに話題が移りました。ピアニストの小曽根真さんが、「(松井さんが)大学4年生の卒業試験の演奏を聴いて、ノックアウトされた」と絶賛されていました。松井さんは、最初にご自身の編曲による「ラプソディ・イン・ブルー」を演奏していました。原曲と比べて、ものすごく音が変わっているわけではないのですが、原曲よりも自由でいろいろな表情があり、従来の解釈には無いような斬新さもあって、とても楽しい音楽でした。

松井さんは、ジャズやクラシック、和楽器などジャンルを超えたボーダーレスな活躍をして大きな注目を集めています。「音楽のジャンルが違うと、演奏の仕方も変わるのですか?」という司会者の質問に、松井さんは、自分ではジャンルを意識していないそうで、「こういう風に吹きたいなとか、こういう音を出したいなという気持ちを大事に演奏しています」と答えていました。

松井さんは、ご自身の名を冠したカルテットを結成したそうです。全員が主役で、会話のように即興で演奏していくので、それぞれがその場で感じたイメージをぶつけ合い、行ったことのない世界に行こうとする面白さがあるのだそうです。番組では、サン=サーンスの「死の舞踏」を松井秀太郎カルテットがアレンジした「ダンス・マカブル」の演奏を紹介していました。原曲の世界観は大事にしつつ、もっと自由に踊りだすイメージでアレンジしたそうです。

ピアノとトランペットの掛け合いだったり、とてもエネルギッシュなところもあれば、ぐっと聴かせるようなところもあり、次はどんな展開になるのだろうとハラハラドキドキ、スリリングな、引き付けられるような演奏でした。

番組の最後には、古里さんと松井さんの共演で、ジャズの名曲「自由への賛歌」の演奏もありました。演奏しながらアイコンタクトをとっていたり、古里さんの即興演奏に松井さんが何かを感じたようでふっと笑みを浮かべたりと、お二人とも初共演を楽しんでいる様子も伝わってきました。

次世代を代表する2人の演奏家を知る良い機会になりました。今後の活躍も注目していきたいと思います。

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