(この記事は、2022年6月27日に配信しました第350号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、梅雨の時期のピアノ教室の様子です。
今年は梅雨入りがいつものパターンでなかったり、時期も例年とずれていたり、そうかと思えば真夏日もたくさんあり、既に梅雨明けかとも思えるような天候ですね。
小学生の生徒さん方は、学校のプールの授業も始まり、ぐったりした様子でピアノ教室に来られる生徒さんも少なくありません。それでも、レッスンが始まれば、いつものように元気いっぱい楽しそうに弾くのですから、気持ちの切り替えと体力には脱帽という感じです。お子様の発表会も終わりましたので、気が楽になっていることもあるのかもしれません。
発表会後には、本番で弾いた曲の楽譜を持ってきてもらい、大きな花丸と発表会の日時を書き、「本番までよく頑張ったね」という言葉と共に、生徒さんそれぞれに、発表会でステキに弾けたところを必ずお伝えしています。普段のレッスンでは、仕上がったらその場で花丸を書きますが、発表会で弾く曲については、本番の演奏で終了になるため、その場で花丸を書くことができません。たかが丸1つと思われるかもしれませんが、本番弾いて終わったというけじめを付けるためにも、大切にしています。また、発表会の会場などで声を掛けてはいますが、改めて本番までの過程の努力を称えて、本番での演奏の素晴らしかったところをお伝えすることで、更に今後も自信を持ってピアノを弾いてもらえたら嬉しいなあとも思っています。
発表会本番が終わって、ほっとされている生徒さんがいる一方で、これからピアノを弾いてみようという生徒さん方もいらっしゃいます。少し前ですが、小学校低学年の男の子が入会されました。学校のピアニカの演奏でピアノに興味を持ったそうで、習ってみたいとの事です。学校の音楽の授業で、音名などは知っていましたが、ピアノは初めてなので、最初からいろいろと確認しながら教材を進めています。最初の頃は、連弾で伴奏に合わせて弾くような曲も多かったのですが、伴奏につられることもなく弾いていて、順調に進んでいると思います。
ご自宅にはまだピアノが無いようですが、近所にお祖父さんお祖母さんの家があり、頻繁に通って練習をしているそうで、だいぶ張り切って練習している様子が伺えます。レッスンにも、だんだんと慣れてきたようで、宿題に出していた曲の楽譜を広げると「ああ~、これね。結構弾ける。弾ける!」と自信満々に答えていて、最初はちょっと緊張したのか、少し惜しいところがありましたが、2回目は本来の調子で弾けて、あっという間に曲も仕上がり、「これも弾ける~」と宿題の曲の1、2曲先までも練習をしてきていました。
ソルフェージュに関しても、「これは、前にレッスンで少しお話はしているんだけれど、なんだったかな?ちょっと難しいから、覚えていたらこれは凄いよねー」と声を掛けますと、「凄い」という言葉に反応して、「えっ?そうなの?答えられたら凄いの?」と競争心に火を付けられたような表情でこちらを見ていました。私も、「〇くんって、こういうことに燃えるタイプなんだね~。そうそう、これは、ちらっとしか話をしていないし、絶対に今度までに覚えてねとは話していないし。だから、覚えていたら凄いのよね」とお話をして、ちょっと盛り上がった雰囲気でレッスンを進めることができました。
レッスンには、基本的にお母様が送り迎えをされていますが、生徒さんを連れて教室に来られ、レッスンの合間に妹さんを保育園に迎えに行って、レッスン終了後には3人で帰られています。お母様もフルタイムでお仕事をされながら、時間のやりくりをしてピアノ教室にお子様を通わせているので、凄いなあと思っています。
幼稚園入園前の生徒さんは、チャレンジレッスンという3回レッスンを受けに通われています。1回目のレッスンでは、「ここは、どこ?」とかなり警戒心を持っていて、なかなかレッスン室にも入りたがらない様子でした。小さい生徒さんの場合には、割とよくあることなので、ロビーでレッスンを始めて、「あっ、これを書くには、ちょっとここだと書きにくいね。ここに机があるから、使ってみましょうね」と、さりげなくレッスン室に誘導して、気が付けばレッスン室の中が当たり前という状況にしていきました。
まだ、ピアノ自体には、大きな興味がなさそうでしたが、偶然にもクレヨンが、ご自宅で普段使い慣れているクレヨンと同じ銘柄だったようで、そこからクレヨンを使用してソルフェージュを進めていきました。指番号についても、「これは、1番、これは2番…」と手をなぞりながらお話をしますと、「違う」と言うので、「あれっ?違うの?そうなのね。この指はなんだろうね」と聞いてみましたが、1回目のレッスンではそれ以上はお答えがない状況でした。しかし、2回目のレッスンでは、やはり私が指番号を話しますと、「違う!」と何回も言い始め、「じゃあ、これはなんという名前なんだろうね」と聞こうとした瞬間に、「だって、お母さんだもん」と、すかさずお答えをしてくれました。人差し指をお母さん指と、しっかりと認識していたのですね。レッスンにも少しずつ慣れてくれたようで、最初は抵抗感のあったレッスン室にも、自分から入ってきてくれていました。
音の名前のレッスンでは、一緒に音の絵を好きな色で塗り、シールを作って楽譜に貼り、完成させてみましたが、今回は色塗りよりも、音の絵のシールを貼っていくところに興味を持ったようで、とても小さな手で、器用にシールを剥がしてきれいに貼り付けていました。なかなか指先も器用なようです。楽譜に貼るところでも、正しい場所と、貼ってはいけない場所を混ぜてあるのですが、正しい場所を見つけて貼っている様子も伺えて、少しずつ成長している感じがします。
また、初回からピアノ連弾も行っていますが、1回目は様子をちょっと見ているくらいで終わっていましたが、2回目のレッスンでは自分からピアノを弾き始めることもあり、鍵盤を弾いてきれいな高音が出た瞬間に、ハッとした表情をしていました。次回で最後のレッスンとなりますが、このピアノの音との出会いをきっかけに、ますます音楽の世界が広がって楽しめるようになると良いなあと思っています。
大人の生徒さんも、先日入会されました。体験レッスンの時から、憧れの1曲があり、弾けるようになりたいという強い情熱をお持ちの方です。原曲もピアノ曲なのですが、両手共に16分音符をひたすら合わせて弾いていくような曲のため、なかなか初めての方にはハードルが高いかなと思っていました。そのような場合、アレンジの楽譜を用意しますが、なかなか適切なレベルのものが無かったり、簡単に弾く事のみを考慮したアレンジで、原曲とかけ離れすぎていることも珍しくありません。今回は、特に憧れの曲で、よくご存じの曲という事で、なるべく原曲の雰囲気を変えずに、でも弾きやすくするためにアレンジをしました。体験レッスンでは、「どのくらいの期間で、弾けるようになるのか」「そのために、どのくらい練習をすればよいか」など、なかなか踏み込んだご質問をされていて、熱心だなあと思ったものです。
ピアノは、技術の習得が予定通りに積み上がっていくとは限らず、例えば片手で弾く場合でも、利き手と反対の手になった瞬間、結構苦戦される方もいれば、両手で比較的すんなり出来てしまう方もいます。そのため、弾けるようになるおおよその目安はお話しましたが、かなり幅があることもお話しますと、「結構時間がかかるのですね」と若干曇った表情をされていて、帰り際に「入会についてはちょっと考えます」とお話されて帰っていきました。
それから数週間が経ち、残念ながらご縁が無かったのかと思っていましたが、突然ご連絡を頂き、入会されることになりました。楽器もご用意されたそうで、いよいよピアノをやってみようと決断されたようです。
練習曲で基本的な指のテクニックを練習しつつ、憧れの曲も、もちろん練習をしています。練習にも励んでいるようで、体験レッスンで弾き始めたところから、これまでレッスンしてきたところまで、かなりすらすらと弾ける状態になっていました。「凄いですね~。ここまでバッチリです!」とお話をしますと、ちょっと緊張ぎみの表情がほどけてきて、笑顔まで見られるようになりました。まだまだ曲の続きがありますし、両手になると少し大変になるかもしれませんが、焦らずにコツコツと弾いていただけたらなあと思っています。
生徒さん方が、それぞれご自分のペースでピアノが楽しめるように、より良いレッスンを展開していきたいと思います。
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