(この記事は、第167号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、ゴールデンウィーク期間に開催される ラ・フォル・ジュルネ についてです。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2015 が、5月2日から開催されます。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンのホームページ

昨年、記念すべき第10回目を迎え、知名度や話題性など、すっかり定着してきたような気がします。

これまで、モーツァルトやショパンなど、一人の作曲家をテーマにしたり、ウィーンなど地域をテーマにして開催されてきましたが、大体網羅され、集客できるようなネタが尽きてきた感じもしていたので、今年はどんなテーマになるのか、楽しみと少々心配な気持ちでいたのですが、予想をはるかに覆すテーマになりとても驚いています。

これまでのテーマよりももっと幅広く、しかも時代やジャンルを超えたテーマに大転換したのです。

今年のテーマは、PASSIONS(パシオン) です。

パシオンは、フランス語ですが、英語だと「パッション」で「情熱」という意味です。

「情熱」というと、ぐちゃぐちゃに乱れた髪型のベートーヴェンや、「芸術は爆発だ」のセリフで有名な、芸術家の岡本太郎さん、国会の暴れん坊と言われ「ハマコー」の愛称で呼ばれた浜田幸一さんなど、激しい感情をむき出しにしたようなイメージがあります。

もちろん、そのような感情もあるのですが、それだけではなく、キリストが十字架にかけられた「受難」という意味合いもあるようです。

今回の ラ・フォル・ジュルネ では、バッハの「マタイ受難曲」や「ヨハネ受難曲」など、祈りをテーマにした音楽や、ワーグナーやシューマンなどの恋をテーマにした音楽、そして生命をテーマにしたベートーヴェンやリストなどの音楽、約350の公演があるようです。

デュッセルドルフ交響楽団が演奏するベルリオーズ作曲の幻想交響曲や、ドヴォルザーク作曲のスラヴ舞曲集、ブラームス作曲のハンガリー舞曲 第5番のコンサートは、0歳のお子様連れでも聴く事が出来ます。

授乳室や多目的トイレも完備されているので、安心ですね。

3歳からは、日中の公演を全て聴く事が出来て割引料金になります。

お子様が、本格的なコンサートを聴く良いきっかけになると思いますし、親御さんが、たまにはゆっくりと音楽を聴きたいという場合には、託児サービスを利用してもよさそうですね。

一日中、音楽を楽しみたい方には、1日5公演を同じ座席で堪能できる、一日フリーパスが良さそうです。

ブラームスのピアノ協奏曲第1番、ベートーヴェンの交響曲 第3番「英雄」、ショパンのピアノ協奏曲第2番、ベルリオーズの幻想交響曲などが楽しめます。

なかなか豪華な名曲が揃っていて、ラ・フォル・ジュルネならではのお手軽なチケット代なので、毎年完売する人気ぶりなのも頷けます。

今年は、25歳以下の方限定で初登場のU-25割引という嬉しいシステムがあります。残席のある公演を、半額で聴けるというお得な特典です。

有料のコンサートの合間には、たくさん開かれる無料のコンサートも聴いてみたいところです。

ホルンアンサンブルやフルートのカルテット、トロンボーントリオなど、普段、あまり聴く機会が無い音楽も楽しめそうです。

人気の公演は、早くもチケットが品薄のようなので、お早めにチェックされるとよいでしょう。

クラシック音楽を、気軽に楽しむきっかけになりそうですね。

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(この記事は、第167号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、「世界のオザワ」のお話です。

「世界のオザワ」と言う言葉は、ピアノを弾いたり音楽鑑賞が好きな方だけでなく、それほど音楽が身近でない方でも聞いた事があるのではないでしょうか?

指揮者の小澤征爾さんのことです。

20代にして、早くも指揮者の国際コンクールで優勝し、バーンスタインやカラヤンなど、世界一流の指揮者たちに認められた輝かしい経歴の持ち主です。

音楽の世界でプロとして活躍されている方は多いわけですが、日本だけでなく世界的に活躍されていて、しかも本当に世界のトップで活躍されている数少ない音楽家の一人です。

そんな小澤征爾さんが、先日テレビ番組に出演されていました。

これほどスゴイ指揮者ですが、見た目やテレビで答えている姿などは、とても気さくで、ごくごく普通のおじさまという雰囲気でした。気難しく近寄りがたい感じは、全くありません。

しかしながら、とてもエネルギーに満ち溢れた、気迫のようなものを感じました。ちょっとベートーヴェンに似ているとでも言うのでしょうか。

小澤さんは指揮者ですが、指揮棒を持たず手振りのスタイルです。これは 20年ほど前に、本番で指揮棒を忘れてしまった事がきっかけなのだそうです。

指揮棒はとても細いので、折れないように専用のケースを作るなど意外に気を遣うもので、また、指揮棒の長さや重さは色々あり、なかなか使いやすいものがないそうです。

もちろん、演奏中に汗で滑ってしまったり、飛んでしまわないように、注意もしなければなりません。

しかし、指揮棒無しで手振りで行う場合も危険が潜んでおり、以前、指揮中にソリストの譜面台に手がぶつかり、本番中に指を骨折してしまったのだそうです。

それでも演奏を続け、演奏が終わった頃には、かなり腫れてしまったとおっしゃっていました。

小澤さんが、番組でおっしゃっていたことで、印象深いことがいくつかあります。

まず、「指揮者は、どのような役割なのか、映画の監督のようなものなのか?」という質問に対して、音楽は、作曲家が一番大切で、紙に書かれた楽譜から作曲家が何のために、どのような思いで書いたのか気持ちを読み取り、それを演奏家に実際の音にしてもらうのが指揮者の役割だと話していました。

指揮者の練習は、実際にオーケストラなどと一緒に練習する前から始まっていて、むしろ、その前までの練習が大変だともおっしゃっていました。

病気(食道がん)をする前は、毎朝4時くらいから9時まで楽譜を読み込むという勉強をされていたそうです。

もう、長いこと世界のトップで活躍されていますから、同じ曲を演奏する事も多いと思いますが、それでもこのようなたゆまぬ努力を重ねておられるのですね。

また、チェリストなど音楽仲間と一緒に、全国でいきなりコンサートを開くという活動をされていた時に、音楽に聞き入る人を見て、「これが音楽の力なんですよ。すごいでしょ!?」と、自分たちの演奏力の高さを誇示することは全くせず、すべては音楽によるものとお話されていました。世界の巨匠なのに、とても謙虚なお考えが見えて、素晴らしいなあと思いました。

番組で、「国際コンクールなどで優勝し、バーンスタインなど当時の巨匠たちに賞賛されて、すごいですね!」というコメントに対しても、「僕は先生に恵まれた」と答えていました。

「病気から復帰して、気持ちが変わりましたか?」という問いに対して、「音楽は素晴らしい!」と答えていたところも、とても印象的です。本当に心から音楽が好きで、音楽を楽しんでいる感じが伝わってきました。

演奏活動だけでなく、指導する事もとてもお好きだと発言されていたので、これからも多くの若手音楽家を育てて行かれると思います。今後の活躍も目が離せないですね。

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(この記事は、第164号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、現在公開されている音楽を題材にした映画についてです。

先日、「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」という映画を鑑賞してきました。この映画のホームページはこちらです。

アルゲリッチは、アルゼンチン出身で、わずか4歳でモーツァルトのソナタやショパンの子犬のワルツを人前で弾きこなし、16歳で世界屈指の2つの音楽コンクールで相次ぎ優勝して話題になりました。

その後、ショパンコンクールでも優勝したという伝説のピアニストです。

現在でも、世界の巨匠として大活躍中で、日本でも「別府アルゲリッチ音楽祭」の総監督を務めています。

「人気と実力を兼ね備え圧倒的な存在感」とは、アルゲリッチの事を示す言葉のようにも思えます。

そんなアルゲリッチは、美しい美貌からは想像できないような、圧倒的なスケールとパワフルな演奏が魅力で、とてもファンが多いのですが、舞台上だけではない日常の姿が見られる映画でした。

ずっと世界のトップで活躍しながら、結婚や離婚、3人のお嬢さんを出産、そして癌の手術など、波乱万丈の生活を送ってきたことが、末娘のお嬢さんの視点でリアルに撮影されています。

舞台の上では、迫力あるオーラを振りまいて本当に素晴らしい演奏をされますが、出番前の舞台袖では、ナーバスになっている姿があったり、老いとの戦い、それによって演奏が変わってしまうことへの恐怖なども、アルゲリッチ自身が語っていました。

どんなに上手なピアニストでも、人前で演奏する事はとても大変な事で、それは私たちと同じなのだということを教えてくれました。

また、日常生活では、日本での移動中に新幹線の中で駅弁を食べて満足そうな表情を浮かべていたり、オーケストラとの練習中に荷物から持参したバナナを取り出して、嬉しそうにほおばるお茶目な一面や、寝起きの姿まで映されていました。

お孫さんのために、ピアノでメロディーを弾きながら歌を歌っている姿は、良い意味でごくごく普通の「おばあちゃま」という感じがして、とても親近感を持ちました。

お母さんとの確執や、昔はピアノが嫌いだった事、精神的にぼろぼろになって辛かった時期があった事、お子さんを奪われてしまった事など、あまり人には言いたくないような内容まで、包み隠さず話していた姿も驚きでした。

このような事実を知ると、天才とか巨匠と呼ばれる人でも色々な問題を抱えて、苦悩しながら、それでも音楽と向きあい、人を感動させるような演奏をしているのだと感慨深くなりました。

今回鑑賞した映画以外にも、伝説のヴァイオリニスト「パガニーニ」を取り上げた映画も以前公開されましたし、今月下旬には、指揮者をテーマにした「マエストロ」も公開されます。

音楽は演奏だけではなく、その背景を知ることで、より親近感を持ったり興味を持つことができると思います。

色々な側面から音楽を楽しめたら素敵ですね。

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