今回は、子供の生徒さんのお話です。
ピアノを習いに来ている生徒さんは、年に2回ほど学校で活躍をする場があります。
小学生ですと、周辺の学校と合同で行われる「連合音楽会」、中学生ですと、学校内の「合唱コンクール」、それから小学校・中学校に共通する「卒業式」です。
小学生の「連合音楽会」は、学校によって違うようなのですが、学校内で決められた学年なりクラスなりが、学校の代表として音楽を披露するイベントです。演奏は合奏だったり、合唱だったりします。
ピアノに来ている生徒さんは、その中でピアノ伴奏や主要な楽器を担当することが多いようです。中には、お友達にリズムや音などを教えている子もいます。
中学生の「合唱コンクール」も、学校によって違うようですが、学校全体の中で順位をつけたり、学年の中で順位をつけたりします。審査員も、各クラスの代表者や学校の先生方がなさる所や、外部から音楽の専門家を呼ぶこともあるそうです。
「合唱コンクール」の場合は、ピアノ伴奏者をやったり、指揮者として活躍をしている生徒さんもいます。
卒業式は、合唱だけだったり、合奏も行う学校もあるようです。
小学生の「連合音楽会」や中学生の「合唱コンクール」の場合、どちらも学校内のイベントなので、ご家族が見学出来ないことがあります。せっかくお子さんが活躍をしていても、その姿を見ることが出来ないのです。
しかし、卒業式は小学校も中学校も、正式なイベントなので、ご家族の皆さんもいらしています。ご自分のお子さんが、そのような場面で活躍しているところを直接見れますので、感慨深いものがあるのではないでしょうか。
このようなイベントでのピアノ伴奏者は、学校内のオーディションで選考します。学校の音楽の先生が中心となって、決められるそうです。
昔と違って、ピアノを習っている人が各クラスの中に何人もいますので、単に「ピアノが弾ける人」だけでは人数が多くて決められないのです。ですから、そういう場面でピアノ伴奏者になったということは、オーディションに合格した人、つまり選ばれた人と言うわけです。
もう2月ですので、卒業式の練習が始まっています。
せっかくピアノを習っているのですから、機会があるごとに挑戦して、ピアノが弾けるという特技を大いに生かしてほしいと思っています。
今回は、50代の女性の生徒さんのお話です。
この方は、私がレッスンを担当してから 5・6年ほどたっています。
レッスンでは、ピアノのテクニックの教材と題名のついた曲を弾いています。11月くらいに今まで練習をしていた曲が終わりましたので、次に弾く曲をご相談して、ベートーヴェンの第9を弾くことにしました。
ベートーヴェンの第9とは、よく年末になるとコンサートやテレビでも、さかんに演奏される交響曲第9番のことです。壮大なスケールの曲で、特に終楽章では合唱や歌のソリストが入り、とても華やかになる曲です。
有名な曲ですし、曲のアレンジがこの生徒さんのレベルに合っていましたので練習をすることになりました。
ただ、練習を始めるタイミングとして、ちょっと遅かったかなと実はひそかに心配をしていました。おおよそ、大人の生徒さんの場合、1曲仕上げるのに、2・3カ月はかかるからです。
でも、着々と練習をなさっていたようで、2008年最後のレッスンの時には、つい1週間前の演奏と比べて格段にお上手になっていたのです。
「ずいぶんと安定してすらすら弾けるようになりましたね」と言うと、「もう必死に練習してきました」という返事が返ってきました。そして、めでたく年末までに仕上がったのです。
満面の笑みを浮かべて、お帰りになりました。
ちなみに、この第9と呼ばれているベートーヴェンの交響曲第9番は、正式名称ではありません。実は、以下のような、とても長い名前のついた曲なのです。
「シラーの領歌{歓喜に寄す}を終末合唱とし、大オーケストラ、4人の独唱者と4声の合唱の為に作曲され、プロイセン国王フリードリッヒ・ヴェルヘルム3世陛下に、ルートヴィヒ・ベートーベンによって最も深い畏敬のうちに献呈された交響曲、作品125」
歌の歌詞は、ドイツの詩人で歴史学者や劇作家、思想家としても活躍をしたフリードリヒ・クリストフ・シラーの原詩にベートーヴェンが手直しをしたものです。
曲自体も壮大なスケールですが、曲の名前もすごいスケールだったのですね。
シラーについては、ヨーロッパ音楽紀行でも書いておりますので、合わせてご覧ください。
趣味の音楽: ヨーロッパ音楽紀行・ワイマール
今回は、40代後半の生徒さんのお話です。
この方は、丸10年ピアノのレッスンに通われています。ピアノは今までまったく弾いたことがなかったそうですが、多少は楽譜が読めるという状態から始められました。
ピアノが弾けたらかっこいいだろうなあと思っていたそうで、またご自宅にキーボードがあったのも、ピアノを始めようと思ったきっかけのようです。
初心者の大人の方向けの教材を2冊ほど練習し、そのあとは、少しずつ色々なジャンルの曲を弾いたり、ご自身の弾きたい曲を練習するという進め方をしています。
今まで、エルトン・ジョンさんの「YOUR SONG」や坂本龍一さんの「戦場のメリークリスマス」、モーツァルトの「トルコ行進曲」などを弾いてきました。
今は、ドビュッシーの「夢」を弾いています。
この曲は、以前弾けるようになった曲なのですが、ご本人が「もう一回ちゃんとやりたい。今弾いたら、前よりもうちょっと、ちゃんと弾けるようになるのでは」とおっしゃるので、再度練習をしています。
このお話を聞いたときに、「なるほど、こういう考え方もあるなあ」と思ったのです。
ピアノの曲を練習していますと、どんどん先に進めたい、もっと難しい曲を弾けるようにしたいと思います。これは向上心の表れなので、素晴らしいことです。
しかし、ピアノの楽しみ方ってそれだけではないはずなのです。
ピアノに限らず、日常生活で同じものを見ても、その時の気分や時間帯、状況によって、感じ方がずいぶん違うものになりますね。ピアノも同じなのです。
同じ曲でも、練習をしていた当時は、もしかしたら弾くことに必死だったかも知れませんが、しばし時をおいて再度同じ曲を弾いてみますと、「ああ、やっぱりいい曲だなあ」とか「この部分が好き」というように、以前よりも一段とその曲の良さを噛みしめることもありますし、「今は、この部分がいい」というように、曲の感じ方や印象が変わってくることもあるのです。
時を隔てて、ご自分の感じ方の変化を楽しむ、というような進め方も、ピアノの楽しみ方の一つなのだと改めて感じさせて頂きました。
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