(この記事は、第68号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回のピアノ教室の出来事は、幼稚園生の生徒さんのお話です。
この生徒さんは、昨年海外から帰国して、お教室に通われるようになりました。海外では日本人の先生にピアノを習っていたようです。偶然、私がお子様のレッスンで使用している教材と同じ物を使っていたので、そのまま続きを行う事になりました。
お母様が、少しピアノがおわかりになる方の様で、お家での練習を見ているそうです。
その為、毎回きっちりと練習をしてきていて、着実に教材が進んでいます。お子様のレッスンの場合、音符の種類やその書き方を覚えたり、その他の音楽知識やリズムの練習をする「ワーク」を併用しているのですが、そちらも毎回3ページほど進んでいます。しかも、ほとんどが正解しているのです。
このワークの中には、「四分音符と八分音符を足したら、何音符と同じ長さになるのか?」とか「8分の3拍子の曲に出てくる4分音符は、何拍伸ばす音符なのか?」というような、小学生でも間違えそうな少々ややこしい問題もたくさん登場します。
また、「真ん中のドから数えて、2オクターブ高いド」など、自分で横線を書いて音符を書く、いわゆる加線を使った音の読み方なども、慣れないとかなり面倒に感じる問題ですが、ほとんど完璧にこなしているのです。
このような場合、本人がどのくらい理解しているのかバラツキがありますので、ワークに○を書きつつ、復習をしています。そうしますと、この生徒さんは、やはりほとんど正解を答えるのです。このくらいの年齢の生徒さんで、これだけ音楽的な知識を理解している事は、とても珍しく、驚きました。
また、ピアノを弾く練習の方も、毎回必ず1・2曲は仕上がっているので、合格しています。レッスンでは、他の生徒さんもそうですが、まずは1回通して弾いていただいています。お家での練習の成果を聴きたいので、間違っていても、ほとんど何もコメントせず、そのまま曲が終わるまで聴いていますが、先日のレッスンで、この生徒さんが1回通して弾いた後、質問をしてみました。
「○○ちゃん、よく通して最後まで両手で弾いたわね。頑張ったね。この曲、よく弾けているから、早く終わらせようと思うんだけど、その前に、聴きたいことがあるの。今の演奏でね、「あっ、ここは楽譜とちょっと違っていた」という所があったら、教えてほしいの。ちょっと難しい質問だけどね」
そうしますと、ちょっと困った様な顔をしていました。
「ちょっと難しい質問だから、勘でもいいよ。もし○○ちゃんが気がついていたら、「そう、ここよね」ってなるし、もし違っていたら「ここなのよ」って言うだけだから、気楽に考えてね」
そうしますと、○○ちゃんは、小さな右手を出して、恐る恐る楽譜のある部分を指して「ここ・・・」と答えました。
大正解です。しかも、2ヵ所共です。
「よくわかったわねえ。」「すごいわね。」と褒めたら、とても嬉しそうな顔をしていました。
「勘でもいい」と話したのですが、どうも偶然ではなく、きちんと分かって答えていると思ったので、翌週のレッスンで、また別の曲で同じように質問をしてみました。そうすると、やはり正解するのです。
小さいお子様の生徒さんに限った事ではないのですが、生徒さん自身に聞いてみますと、やはりこちらが想像する以上にピアノを弾きながら、ご自分の演奏を聴いているようです。そのため、楽譜と違う箇所なども理解しているのです。
音の間違いやリズムの間違いなど、演奏を聴いた瞬間に指摘することが、ベストではないということを、改めて感じました。
(この記事は、第67号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回のピアノ教室の出来事は、レッスン中の生徒さんとの会話です。
ピアノのレッスンでは、お子様から大人の方まで、幅広い年代の方とお話をします。
そして、そのような会話の中で、とても意外な事実がわかって驚いたり、意外な共通点が見つかり、より親近感を覚えたりします。
一見、雑談の様にも見えますが、生徒さんとお話をすることで、生徒さん自身をより深く理解できたり、ご家庭の状況を把握できたり、生徒さんのストレス度合いなども分かるので、その日のレッスンの進め方にも役立ちます。
発表会前ですと、とにかく本番までに完成させないといけないので、疲れていても、気が乗らなくても、どんどん弾いて頂かなければなりませんが、現在は、まだ少し余裕がある時期なのです。
例えば、小学校低学年の生徒さんがレッスンに来られて、その日は、曲の題名に「きのこ」が入った曲をレッスンすることになっていました。
「今日はきのこの曲を弾くのよね。」と話しつつ生徒さんを見ますと、着ている洋服に、大きなきのこが描かれていたのです。
「あっ、○○ちゃん、お洋服にもきのこの絵が描いてあるわよ。かわいいわね」と声をかけますと、即座にこう答えるのです。
「きのこ、嫌~~いっ!」
きのこが嫌いなお子様も、珍しいように思いましたが、洋服が気に入ってなかったのかもしれません。
また、この時期ですと、バレンタインでチョコレートを贈る方も多いと思います。最近では、お友達に配る生徒さんも多く、高校生の女の子に「友チョコって配るの?」と聞きますと、「うん」と答えます。
「へえ~、どのくらい配るの?」
「クラス全員と・・・・、他のクラスの子で仲の良い子○人かな」
「クラス全員!? そんなに配るの?? ○○ちゃんすごいねえ!」
「えっ、みんなそうだよ。でもね、チョコ食べられないんだよね」
「あら~、じゃあ、貰うのは嬉しいけど、なかなか心中複雑なのね。でも年齢的にケーキ食べ放題とかに一番興味あるんじゃないの?」
「そうなんだよね~、実はお友達から誘われるんだけど、ちょっとなぁと思って」
「ケーキ食べ放題を喜ばない女子高生って、結構珍しい気がするわね。ケーキとか甘いものが好きじゃないなら、何が好きなの?」
「普通のご飯と、お味噌汁」
女子高生が、まさかこのような純和風のお食事が一番好きと答えるとは、とても意外で驚きました。
先日は、70代の生徒さんのレッスンで、「私、昔ちょっと乗馬を習っていまして・・・」と話をしたところ、
「あら、私も昔やっていたのよ。並み足とか、軽速足とか。」
「そうですね、速足や駆け足、というのもありますよね」と話が盛り上がりました。
今でこそ、避暑地に遊びに行きますと、体験コースなどがあり、どなたでも気軽に乗馬が出来ますが、年代を考えますと驚きです。
「へぇ~、スゴイですね。どちらで乗っていたんですか?」と聞きますと、勤めていた会社で乗馬クラブがあったのだそうです。その他にも、よくスキー等へ行っていたそうです。
スポーツをやっていたようには思えなかったので、驚きましたが、今でも健康のために水泳を習っていて、しかもかなり長く続いているそうです。
生徒さんの話を聞くだけでなく、私自身の話もしますと、生徒さんの方もより親近感を持って下さるようです。
以前、ハロウィンの季節に作った、かぼちゃのお化け(中にキャンドルなどを灯す)の話をしたところ、かなり反応が良かったですね。かぼちゃを買ってきて、実家から彫刻刀を借りて、夜中に台所で1時間半かけて作ったというお話です。
「かぼちゃって、硬いでしょ。ホントに大変だったのよ。もう必死(笑)。夜中にコソコソ一人で彫ったのよ~。1時間半もかかっちゃったわ」と話しますと、みなさんゲラゲラ笑っていました。
きっと生徒さん方から見て、私の意外な一面を発見できたのでしょう。
生徒さんとお互いに親近感を持つことで、より楽しくスムーズにレッスンが行える気がしています。
(この記事は、第65号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回のピアノ教室の出来事は、冬休み明けのピアノ教室のお話です。
年末年始のお休みも終わり、ピアノのお教室もレッスンがスタートしています。小・中・高校生は、11日から学校が始まった生徒さんが多く、例年よりも長い冬休みだったようです。
お休みの期間中にやっていた事を聞きますと、塾の冬期講習に参加していた生徒さんが何人もいました。普段、ピアノのレッスンの後に夕食のお弁当を持って塾に通う生徒さんもいて、いつもはレッスン後に「塾も頑張ってね。いってらっしゃい」と声をかけていますが、この冬休み期間は、朝から塾でお勉強をして、お昼を食べ終えて空になったお弁当を持ってレッスンに来ていました。
また、部活動の練習に参加していた生徒さんもいました。運動系の部活動では、外で活動をしますので、とにかく寒くて大変なんだそうです。
そして一番多かったのが、お祖父さんやお祖母さんの家へ遊びに行っていたという生徒さんです。特に小学生に関しては圧倒的に多かったですね。しかし、お祖父さんやお祖母さんの家と言っても、とても離れた距離ではなく、思ったよりも近県だったりします。いわゆる「田舎へ行く」というイメージではないようで、昔とは変わってきているのかもしれません。
不況が長引いていますが、海外へ遊びに行っていた生徒さんも何人もいました。
「あら、○○ちゃんのお家は、すごいわね、海外旅行してきたのね」と、お話しを聞きますと、海外に住んでいるご友人に会いに行かれていたようです。そこのお宅に泊って、街中を案内してもらって観光して来られたようです。地元の方から色々な情報を聞いたり、案内してもらえると、より旅行も楽しくなりそうですし、久しぶりにご友人と会えるというのは、嬉しいものですね。
もちろん、ご家族で個人旅行という生徒さんもいました。毎年、年が明けてから1週間ほど海外へ行かれているようです。なんとも羨ましい限りです。
このように長い冬休みをそれぞれのスケジュールで過ごし、いざレッスンが始まりますと、ハッと感じることがあります。
よく練習をしていて、随分先まで弾けるようになっている生徒さんと、先に進むどころか、やりかけの曲まで弾けなくなっている生徒さんに、二分されるのです。
どの生徒さんも、1・2回はレッスンがお休みになりますので、その分多めに宿題を出していて、「学校がお休みのうちに、教材をどんどん進めましょうね」と声をかけているのですが、このどちらかの結果となり、人数的には大体半々づつに分かれます。
これは、レッスンをしている立場から見ますと、興味深いというレベルではなく、大きな差がついているわけですし、ある意味危機感も感じてしまいます。多めの宿題をこなして、なおかつその先まで練習をしている生徒さんは、レッスン回数で言いますと、お休みの1・2回にプラスして、それ以上のレッスンで弾く曲数をこなしている事になります。3回分くらいのレッスンを受けた後のレベルに進んでいるのです。
その反面、やりかけだった曲も忘れてしまっている生徒さんは、冬休みの前の状態をキープすることもできず、厳しい見方をしますと後退している事になります。単純に約1ヶ月分の差がついてしまった事になるのです。
長期のお休みには、冬休みと夏休みがありますので、同じ回数のレッスンを受けているのに、1年で約2か月分もの差が生まれ、それが何年も続くとなりますと、大きな差となって表れることになります。
長期のお休みにしか出来ない事は色々ありますし、それぞれ状況や予定が違いますので、なんとも言えない部分でもありますが、毎年感じているこの現実だけは生徒さんや親御さんに知っていてほしいと思うのです。
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