(この記事は、第178号のメールマガジンに掲載されたものです)

前回は、お子様のピアノ発表会で久しぶりにお会いした先生とのお話でしたが、今回は、ピアノ発表会の舞台裏での出来事です。

今回の発表会は、午後一の開催でしたので、タイムスケジュール的には無理がありませんでした。

例えば午前中の10時スタートなどの場合、お昼くらいには終わるので、午後はゆっくりと過ごせますが、9時台に集合で、その前に自宅で練習もしますし、会場まで行く時間を考えますと、普段以上に早く起床して準備をすることにもなります。

また、夕方開催の場合、食事も練習もゆっくりすることができますが、夕方に向けてリラックスしてくる時間帯で、特に未就学児さんにとっては、疲れも出てきますので、発表会としてはなかなか難しい時間帯になります。

この夏休みの時期は、たくさんの教室やクラスが発表会を行いますので、なかなか希望通りの日時では行えないものですが、今回は運良く、良い時間帯に開催することが出来ました。

講師やスタッフは、生徒さん方より早く会場に入って準備を行います。

欠席の有無や、アナウンスで読み上げる生徒さんのお名前の確認の他に、足台や補助ペダルのセッティングの確認などを行います。

また、講師演奏の練習や、会場に到着した生徒さんに舞台袖の場所の案内や、初めて参加する小さい生徒さんには、舞台上でのおじぎの場所なども確認してもらいます。

そして、あっという間に開演の時間になりました。

今回初めて参加した小さい生徒さんは、状況がよくわからないようで、お辞儀をしても、なんだかぼーっとしてしまいましたが、その姿は、なんともかわいらしく、ほほえましく感じました。

生徒さんの中には、緊張して暗譜がわからなくなり、ピタッと演奏が止まってしまった方もいました。

なんとか弾こうとしているのですが、どうにも続きの音が出てこなくなってしまい、弾いてみても違った音になり、先に進めません。

舞台袖では、レッスンを担当している先生が、「○の音、○の音よ!」と囁いていますが、もちろん生徒さんには聞こえません。

いよいよ舞台に上がって、フォローをしようかという仕草になっており、私など他の先生も、「頑張れ、頑張れ」と小声でエールを送っていました。

しかし、その後、す~っと続きの音が出てきて、何事もなかったかのように、音楽が流れ始めました。

「あ~、よかった、よかった!」

「いや~、あの状況で、よく○の音がでてきたわよね、すごい、すごい」と、小さく拍手をしながら喜びに湧きあがりました。

私の生徒さんでは、いつも何事もなく弾いていた箇所で、急につまずき、その後も、ちょこちょこ間違えてしまう生徒さんがいました。

後日、どうしたのかと聞きますと、最初に間違えた時に、「もう、ちょっとダメかな~」と思ってしまったようなのです。

難しい曲を弾いたので頑張ったことは確かなのですが、本人としては「いますぐ、もう一度やり直したい」と話していました。

本番で、練習通りに、またそれ以上に完璧に弾けることは、殆どないと言ってもよいでしょう。

広い会場や、スポットライトの照明、お客さんの視線、それに、出番前には、直前の人の演奏がやたら上手に聞こえるなど、普段とは違う状況ばかりです。

毎年、発表会に参加していても、会場や他の参加者、そして演奏順も異なりますから、完全に同じ状況にはなりません。

そのような状況下で、本番の演奏中、思わぬ所で間違えてしまったときにどうするのか?

一度の間違えを、後に引かないようにして、すぐに気持ちを切り替えて演奏するには、どうしたらよいのか?

その対処法も考えながら、練習しておく必要があると改めて感じました。

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(この記事は、第177号のメールマガジンに掲載されたものです)

お子様のピアノ発表会が、終わりました。

今回の発表会は、多くのクラスでの合同開催となりました。

開演前に、最終的な打ち合わせを行うのですが、今年初めてピアノ発表会に参加する新人の先生からベテランの先生まで、たくさんの方が集まりました。

同じ音楽教室のピアノ科と言っても、レッスン会場が異なっていたり、同じレッスン会場でも稼働する曜日が異なるなどで、なかなかお会いできないものです。

そのため、今回の発表会で、1年ぶりの再会になる先生もいらっしゃいました。

以前、スケジュールの都合で生徒さん数名の引継ぎをお願いした先生でしたので、「○○さん(生徒さんのお名前)、まだ頑張ってピアノのレッスンに通われていますよ~」という、お話も聞くことができました。

中でも、「◇◇くん、○○音大に合格してね・・・」というお話には、大変驚きました。

小学校低学年から高校に入学するまでレッスンを担当させて頂いていた生徒さんです。

とても繊細なのですが、どちらかというと不器用なタイプの生徒さんで、ピアノが大好きという気持ちの反面、音楽教室内のオーディションでは何回も不合格になっていました。

学校の伴奏オーディションにも落ちてしまうなど、なかなか結果を出すことができず、なんとかしてあげたいと思っていました。

もちろん発表会のように、頑張った練習の成果を披露する場も素晴らしい体験となりますが、時には、その頑張りが目に見える評価に繋がると、更に良い経験となるものです。

しかし、ずっと落選続きでしたので、何とか勝ち取った達成感や充実感を味わってもらいたいと思っていたのです。

中学生の頃、音大へ行きたいということは漠然とお話していて、その理由を尋ねますと、「将来は、ゲームの音楽を作る人になりたい」と答えていました。

音大のピアノ科を受けるのは、少し難しい気もしましたし、それよりも将来のことを考えますと、音大へ行くという選択肢だけでなく、音楽の専門学校など、もう少し実践的な場を考えてもよいのではとアドバイスしたこともありました。

また、ピアノのコンクールを受けてみたいという事も、お話していました。

その生徒さんが、数年のうちに、ピアノコンクールを受けて全国大会で賞を取り、そして見事に音大に合格していたので、本当に驚くと同時に、とても嬉しく感じました。

レッスンをしている生徒さんが、メキメキと成長していく様を近くで見られるのは、ピアノ講師という職業の醍醐味の一つですが、以前レッスンをしていた生徒さんが、その後別の場所で、同じように楽しくピアノを継続されていたり、色々と活躍されている様子を知ることも、とても嬉しいものです。

ピアノの発表会前に、とても嬉しいお話が聞けて幸せな瞬間でした。

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(この記事は、第176号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、お子様のピアノ発表会の練習風景です。

7月に入り、毎年夏の恒例になっている発表会が間近に迫ってきました。

先月あたりから、レッスンのたびに壁にかかっているカレンダーを欠かさずチェックし、本番まで(レッスンが)あと何回と頭の中でカウントダウンしています。

今年は、かなり難しい曲にチャレンジしている生徒さんが何人もいるため、自宅での練習がはかどっているのか、とても気になっています。

お子様の場合、練習しているうちに、意識しなくても、ある程度曲を覚えてしまう事が多々ありますので、大人ほど暗譜で苦労する人は少ないように感じます。

ただ、気が付いたら暗譜が出来ていたというのは、肝心の本番でわからなくなる恐れもあるので、頭でも曲を理解して、意識して覚えていくことも必要なのです。

かなり難しい曲を練習する場合、なんとなく弾けてはいても、細かく楽譜を見てみると例えばスタッカートが1つ足りないとか、スラーの部分が短くなっている等、きちんとは弾けていないことがあるものです。

また、いつもどこかで間違えてしまい、成功したことが殆どないということも起こります。

つい、「よく楽譜を見て弾いてね」と言ってしまいがちですが、これでは注意をしているつもりでも、それほど伝わっていないことが多い気がしています。

そのため、今年は特に意識して、とにかく完璧に出来るまで、何回もしつこく部分練習をすることを徹底しています。

頭では分かっていても、いざ実行することは、思っている以上に難しいことですし、それ以前に頭でしっかりと把握できていない状態では、美しい音楽を生み出せないと思っています。

レッスン中に、急に楽譜を閉じて、「このフレーズに出てくる○の音は、何番の指で弾くのかな?」「○の音の強さは、何だったかしら?」というような質問もしてみます。

しっかりと覚えていないと答えられないような質問ですし、鍵盤の蓋も閉めてしまうので、鍵盤で指を動かして答えを導き出すこともできません。頼りにできるのは、自分の頭の中だけです。

この状態で即答できていますと、しっかりと暗譜はできていますので、あとは自信を付けるだけでよいですし、答えに時間がかかったり、答えが間違っている場合には、しっかり理解できるように、一緒に楽譜を見て答えをチェックしていきます。

また、「いつも、このフレーズがきれいに弾けていない」という場合には、とにかくレッスン中に1回成功するまでは、ずっと部分練習をしていきます。

1つの音もミスすることなく弾くという、テクニックの練習は、かなり根気がいる練習です。

生徒さんの様子を見ていても、しばらくは熱心に練習し、そしてだんだんと飽き始め、1か所だけのミスが 2か所になり、3か所になりと、ぐずぐずの状態になることもあります。

顔にも、飽き飽きした表情が浮かびますし、ため息をつきながら、まさに嫌々ながら練習しているようなことにもなります。

場合によっては、少し休憩しながら、それでも完璧に1回弾けるまでは、一切の妥協もせず、こちらも、忍の一文字で見守っています。

そうしますと、だんだんと練習している生徒さんの集中力が高まり、どんどん良い状態になってきて、「あ~、惜しかったっ!」というところまで進んできます。

そこからまた少し時間がかかり、そして、ようやく1回完璧に弾けて、「出来た~!やったね!」となるわけです。

生徒さんもとても嬉しそうですし、喜んでいる生徒さんを見るのも、また嬉しいものです。

練習の始めには、「ここの指に気を付けて」等と伝えますが、あとは、生徒さん本人に任せて、こちらはひたすら見守るのみというのが、実は大きなポイントだと思っています。

こうして黙々と練習をして、とても苦労して、100%自分の力だけで弾けるようになりますと、その後の定着率もとても良い気がしますし、なにより「私はやれば出来る」という大きな自信にも繋がるのではないか思います。

「今日は少ししかピアノが弾けない」というお忙しい時こそ、この練習をしてみるのもよいかと思います。

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