今回は、お子様のピアノ発表会の曲選びについてお話をいたします。

毎年夏に、子供のピアノ発表会を行いますが、曲を決めるのは、おおよそ4月くらいからです。あらかじめどんな曲を弾きたいのかを聞いておき、それを踏まえて、こちらで候補の曲をいくつか用意します。そして、3月下旬から4月頃に実際に弾いたり、楽譜をお見せして、相談しながら曲を決めていきます。

小さなお子様に、どんな曲が弾きたいのか聞いても、色々な曲をあまり知らないため、答えるのが難しくなります。そのため、「明るい曲」「暗い曲」「テンポの速い元気な曲」「ゆったりとした、大人っぽい曲」など、曲そのものよりも、曲の雰囲気から決めていくようになります。

そうしますと、「明るくて元気のある楽しい曲」を選ぶ生徒さんがほとんどなのではと思ってしまう訳ですが、これが以外にも、そうでないこともあるのです。

小学校3・4年生くらいの年齢で、「ゆったりとした、綺麗で優雅な曲を弾きたい」と言われた時には、本当に驚いたものです。もちろん、その中には冷静に自己分析をしている生徒さんもいて、「テンポの速い曲だと、本番で緊張して間違えそうだから、そんなに速くない曲がいい」という戦略的な答えが返ってきたこともあります。

いずれにしましても、本人が好きで気に入った曲を弾くのが一番良いと思いますので、どんなに年齢の低い生徒さんでも、曲を選べるようにしています。

これが、小学校5・6年生くらいになりますと、段々と自分で色々な曲を聴くようになり知識が増えますので、弾きたい曲のイメージどころか、弾きたい曲の題名までいくつか挙げられるようになります。

そこで、それぞれの曲の難しい所や、ポイント、他の生徒さんと曲がかぶっていないかをチェックして、最終的には本人に決めてもらいます。

今年は、なぜか発表会の準備が早くて、昨年から曲を決めてすでに練習を始めている生徒さんが何人もいます。

半年以上も練習をすることになりますので、とても張り切っていることになりますが、その理由の一つが、随分と難しい曲を選んだことなのです。普段練習をしている曲よりも、はるかに難しく長い曲を選んでいるのです。

練習期間が長くなったり、難易度のこともあり、少し心配をしましたが、難しい曲だと十分に認識をしたうえで、それでもチャレンジしたいと頑張っています。

この生徒さん方が、発表会までどのようにレッスンして、曲をまとめていくのか。私もより一層の責任を感じつつ、早くも本番が楽しみです。

「ピアノ教室の出来事」について

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今回は、小学校1年生の生徒さんのお話です。

先日のレッスンでは、小さいお子様がよく弾くウェーバー作曲の「人魚の歌」という曲を練習してきました。新しい曲なので、まずは1回通して弾いてもらいました。

「人魚の歌」は、8分の6拍子の曲です。

小さいお子様の場合、4分の4拍子や4分の3拍子のように、4分音符を1拍と数える曲はたくさん弾いていても、8分音符を1拍と数える曲はまだ殆ど弾くことはありません。その練習をする課題としても、この曲はよく使われます。

小さいお子様にとっては「1拍伸ばすのは4分音符」と覚えていますので、いきなり「この曲では1拍伸ばすのは8分音符です」と言われても、なかなか納得できないものです。

「1拍伸ばすのは4分音符で、半拍伸ばすのは8分音符。でも、この曲では半拍伸ばす8分音符が1拍伸ばす音符になるから・・・
と言うことは、4分音符は? 付点4分音符は??」

と頭の中が混乱してしまう生徒さんもいます。

でも、この生徒さんは拍子を正しく捉えてすらすらと上手に弾いていました。

1回でなんなく弾いていましたので、その先の新たなテーマをレッスンすることにしました。というのも、とてもすらすらと弾いているのですが、曲の始めから終わりまでずっと同じ強さで、抑揚のない一本調子な演奏だったからです。

「○○ちゃん、ピアノだけでなく音楽には、この曲のように半ページの曲もあれば、この楽譜1冊と同じくらいの長さで1曲というくらい長い曲もあるのね。

でも、どんな曲にも、必ず「ここが一番大切!」というところがあるのね。

そういうのを「曲の山」とか「サビ」とか「曲の中心」と言うんだけどね。

ではここでクイズね。この曲の山はどこかしら?」

これまで、うんうんと頷いて聞いていましたが、ちょっと困った顔をしていました。

「曲の山をどうやって見つけるか?というとね、頭の中でこの曲を歌うでしょ。

そうするとね、一番気持ちがわあ~と盛り上がるところよ」

「うーーん・・ここ?」

「○○ちゃん、本当の山に登ったことある?

山に登っているとね、「次の一歩から山の頂上ですよ。」とはならないじゃない?

ずっと登っていて、ふと気がつくと山の頂上が見えて「あっ、山の頂上にすごく近いんだ」ってなるのよね。

それと一緒だから、「この辺が曲の山」という答え方でいいのよ」

そうしますと、見事に曲の山を答えられました。

「じゃあ、今、答えた通りに弾いてみて。聴いている人に分かるように弾いてね」

この生徒さんは、曲の山を意識して弾いただけで、自然に抑揚がつき、ロマンティックな演奏にガラッと変わりました。

弾いている姿勢や雰囲気もまるで別人の様です。

後ろで聴いているお母様も笑みを浮かべながら、楽しそうに聴いていました。

「○○ちゃん、すっごくステキだったわよ。同じ人が弾いていたとは思えないくらい良かったわ。」

お母様の前で褒められて、とても嬉しそうに得意げな笑顔をしていました。

ピアノを弾く時には、フォルテやピアノなど強弱記号をつけて弾きますが、「フォルテと書いてあるから強く」「ピアノと書かれているから弱く」だけでは、本当の曲想をつけた演奏にはならないと思います。

「強く」といっても、エネルギッシュな強さ、怒りに満ちた悪の強さ、怒りに悲しみの混ざった強さなど、色々な強さがあるからです。

また、強弱記号は限られた数しかありませんから、曲の中で何回も同じ記号が登場することになります。

それがすべて同じ強さになってしまいますと、抑揚はついても曲の大切な部分がわからなくなり、まとまりのない演奏になってしまいます。

曲の山を考えることで、今のご自身の演奏がまた少し変わるかもしれません。参考にしてみてくださいね。

「ピアノ教室の出来事」について

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今回は、小学1年生のレッスンの様子についてお話をいたします。

小学校1年生のAちゃんは、レッスンに通うようになって3年くらいになります。
とてもお話好きな生徒さんで、毎回保育園や学校での出来事など色々な事を話してくれます。

レッスン自体は毎回楽しみに来ているのですが、音を読むことが少々苦手なようですし、自宅での練習もあまり気がのらないようで、あまりしていないようです。

その為なかなか曲も仕上がらず、1曲仕上げるのに1カ月ほどもかかり、教材の進度も速くはありません。

先日、別の生徒さんが、新しい曲の練習を始めました。その曲は、小さい生徒さんが知っているような「ちょうちょ」や「チューリップ」などの有名な曲ではありません。その為、レッスンでは左手だけの練習をして、帰りがけにこのような話をしました。

「今日ここで練習をした曲はね、今年の発表会でAちゃんが弾いていたのよ。おうちに帰ったら、発表会のDVDを見ると、両手で弾くとどんな曲になるのかわかると思うわよ」

翌週、その生徒さんは自宅でAちゃんが弾いた発表会の曲をDVDで見て、曲のイメージを掴めたようで、両手ですらすらと弾けるようになり、あっという間に曲が仕上がりました。

このお話をAちゃんに話し、「Aちゃんの演奏が、他のお友達のいいお手本になっているのよ」と言うと、とっても嬉しそうな顔をして「その話、お母さんにして!」と言うのです。

早速レッスン後に、お迎えにいらしたお母様にお話をして、Aちゃんは更に嬉しそうに帰っていきました。

この出来事がよほど嬉しかったらしく、Aちゃんは翌週、一度に3曲も練習し、しかも暗譜で全曲仕上がりました。

発表会は、日頃の練習の成果を発揮して披露する場なのですが、単にそれだけではなく、他の方の演奏を聴いて、新たな曲の発見をしたり「来年はあの曲を弾きたい」という憧れを抱いたり、「○○ちゃんより上手になりたい」という目標を持ったりと、いろいろなよい刺激も受けられる場でもあります。

Aちゃんのように、よい刺激を与える立場になっても、モチベーションが上がるという効果もあるのですね。

今後の成長が、また楽しみな出来事でした。

「ピアノ教室の出来事」について

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