(この記事は、第92号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「ピアノ教室の出来事」は、今年受験だった中学生の生徒さんのお話です。

この生徒さんは、小学校低学年生の時に、他の先生から引き継いでレッスンを担当させていただいている生徒さんです。

男の子なのですが、きゃしゃで大人しく、少し気の小さいところがあるような生徒さんで、デリケートに対応しないといけないと、引き継いだ初めてのレッスンの時に思ったことを覚えています。

それなりに練習はしているようなのですが、どちらかというと譜読みに時間がかかるタイプで、要領よくテキパキとこなせる感じではない気がします。

この生徒さんにとって、前の先生は相当厳しかったようで、しばらくは何となくビクビクした様子でレッスンを受けていました。しかし、徐々にレッスンにも慣れて、笑顔が見られるようになった時には、やっと本来の姿が見られるようになったと嬉しく感じたものです。

そうなりますと、どんどんと本音も話してくれるようになり、小学校高学年辺りからは「お母さんが、しょっちゅうピアノの練習をしろって、うるさい」などと、お家での愚痴まで飛び出してくるようになりました。

「お母様はね、○○君に、ピアノが上手になってほしいのよ。だからそう言うのよ」

と話しますと、

「でもさあ、せっかく練習しようと思っている時に言われるとさぁ、やる気なくすんだよね」

「ああっ、ちょっとタイミングが合わなかったのね。まあ、そういう時もあるわよ。」

と、生徒さんの気持ちを理解していることをアピールしつつ、ご家族の思いも伝わるようにフォローしていました。

ご家族も深夜までお仕事をされている多忙な生活なのですが、まめにお教室に顔を出していただいたり、発表会前には「うちの子、大丈夫なのでしょうか?」と、少し心配そうにお話をされることもありました。

また、中学校に進学した時には、「中学の部活で、急に陸上部に入っちゃって・・・。なんでいきなり陸上部に入っちゃったのかわからなくて」と、ピアノ以外のお話もされていました。

確かに、運動系の部活に入るとは、私も想像すらしていなかったので、びっくりしたのですが、レッスンを始めた頃のことを思うと、「たくましくなったなあ」と嬉しくも感じました。

学校内の合唱コンクールでも、何回かピアノ伴奏をやっていました。

その生徒さんが、先日、高校受験で、見事に第1志望の高校に合格しました。

受験する学校や受験日も知っていたので、受験後のレッスンでは、結果がとても気になりつつ、でも万が一にも良い結果でなかったらと思うと、あまり軽々しく聞くことも出来ないしと悶々とレッスンを進めていたのですが、受かったという報告が聞けました。

「うわ~、おめでとう!よかったわね~。お家の方も喜んでらっしゃるでしょ」と聞きますと

「発表の後ね、前に受けた模試の結果が来て、受験しようか迷っていた公立がAランクだったんだよね。だからちょっと、お母さんが残念そうだった」

「あらそうなの。でも、クラスのお友達より一足早く高校が決まって、嬉しいしホッとするでしょ」

「うん、なんかやる気なくってさ」

「受験が終わってまだ数日だもの。それは当然よ。まあ今週はゆっくり休むといいかもね。でも本当によかったわね。」

ピアノのレッスンをしていますと、生徒さんのピアノが上達していく姿が見られるのがなにより嬉しいですし、レッスンの最大の目的でもあるのですが、それだけではなく、生徒さんの体格や内面も、日々成長していく姿を見られることや、考えていること・感じていることも共有できることが、とても貴重に感じられます。

この生徒さんは、将来ゲーム音楽に携わる仕事をしたいと話していましたので、音楽を仕事としていくことになるかもしれません。ますます、将来が楽しみです。

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