(この記事は、第71号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回のピアノ教室の出来事は、夏のピアノ発表会に向けた準備についてです。
毎年、3・4月は、夏の発表会に向けて一つの大きな山を迎えます。それは曲選びです。
レッスンの時には、生徒さんに、こんな風にお話をしています。
「今年の発表会、何を弾くのか考えてね。この曲を弾きたい! というのがあれば教えてほしいし、こんな感じの曲が弾きたいなぁ~って言うのでもいいよ。例えば、元気な曲がいいとか、去年は速い曲だったから、今年は少しゆったりしたロマンティックな曲がいいとかね。」
勿論、曲を紹介はしますが、なんとなくでも方向性が欲しいですし、たまにですが、「前に習っていたピアノの先生には、曲を指定されて、弾かされた」という事を言っていた生徒さんもいました。
曲を決めた状況が分かりませんので、おススメというニュアンスでお話をされたのかもしれませんが、少なくとも生徒さんは、そのように捉えられてしまったことになります。
そのような状況では、きっと生徒さん本人も、楽しく弾いていたとは思えませんし、観客の方にも、音楽の楽しさや良さが十分に伝わらないように思います。
そのため、小さな生徒さんでも、最終的には自分で決めたというスタンスを守ってほしいと思っています。
そのためにも、「この曲いいっ!」とか「この曲好き!」「この曲を弾きたいっ!」と言って貰える曲を紹介しなければなりませんので、実は、結構神経を使う事になります。
一人ひとりの生徒さんの持ち味や、技術、好みなどを把握しながら、3曲くらいは用意していきます。
この時期以外でも、日頃から楽譜屋さんで色々な楽譜を見て、面白そうな曲があると購入していますが、その時に「この曲は、○○ちゃんに合いそう」とか「この曲は、□□ちゃんが好きそう」と、パッと生徒さんの顔が思い浮かぶので、発表会の曲選びの時期には、それらの曲もご紹介するようにしています。
勘や、ひらめきの様に思うかもしれませんが、実際にはかなりの的中率なのです。
先日も数人の生徒さんに、こうして以前から見つけていた曲を、見本として弾いてみせたところ、弾き終わらないうちに「これいいっ!すっごく面白い」という反応で、「じゃあ、これにしましょう」と、あっと言う間に決まってしまった事もありました。
別の生徒さんは、同じように見本として弾いてみせたところ、「う~ん、どうしようかな… こっちの曲もいいし、あっちの曲もいいし…」と結構迷っていました。
3曲ご紹介したのですが、そのうち2曲が気に入った様なのです。それぞれの曲の良さや、難易度などをお話して、もう一回づつ弾いて、迷いに迷い、やっと選んでいました。
中学生くらいですと、自分で曲を探して、決めてくる生徒さんが殆どです。
ショパンが大好きという事で、ショパンの曲に決めた生徒さんや、お家の方が好きという曲を選んだ男子中学生の生徒さん、大好きなアイドルグループの曲を選んだ女子中学生など様々です。
このように一から自分で曲を決めた生徒さんの演奏は、とてもよく個性が出てくるので、昨年の発表会では、普段あまり音楽を聴かない方が、「それぞれ、みんなタイプが違って面白かった」と感想を話していた程です。
今年は、バッハ、ベートーヴェン、ショパンやリストなど、クラシックの有名な曲だけではなく、ジャニーズ事務所のアイドルグループの曲や、スタジオ・ジブリの映画音楽など、昨年よりもバラエティーに富んだ曲目が並びそうです。
レッスンを行う立場ではなく、聴衆の一人としても、今から発表会当日が楽しみです。
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