(この記事は、2023年1月23日に配信しました第364号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、年明けのピアノ教室の様子です。
年末年始の休みも終わり、普段の生活に戻られているかと思います。ピアノ教室も、またいつものように生徒さん方がレッスンに来られています。何人か体調不良でお休みをされていますが、早く回復されて元気にレッスンにいらしていただきたいと願うばかりです。
年明け最初のレッスンでは、年末年始の話も伺いました。
久しぶりに帰省された大人の生徒さんは、「同級生が入院しちゃって、それで帰省して地元の友人たちとお見舞いに病院に行ったんです」と話を始めました。楽しい帰省かと思っていたのでびっくりしたのですが、入院している友人の奥様が、ご家族で経営されている飲食店を開けてくれて、そこで地元の友人たちと久しぶりにゆっくり話をされたそうです。
入院されているご友人の体調が大変心配なご様子でしたが、「今度は、みなさんでまた集まってご友人の快気祝いができるといいですね」とお話をしますと、「ああ、そうですよね」と少しお顔が明るくなったので、ホッとしました。「その時には、是非、練習を始めたこの曲を披露したらいかがですか」と続けてお話しますと、「いや~、お店にはピアノがないからなあ~」と冗談でわざと残念そうに話されるので、「スマホで録画して、お見せするっていうこともできますよ。以前ご一緒に発表会に参加された方は、Lineでご自分の演奏の様子を動画でお仲間に送ったと、お話されていましたよ」と話しますと、「あっ、なるほどね。いいですね」と答えていました。昨年末から、新しい曲にチャレンジしていますが、大切なご友人にも何らかの形で披露できたらいいなあと思っています。
別の大人の生徒さんで、最近徐々にいろいろとお話をしてくださるようになった生徒さんは、「今度、姉がいよいよ老人ホームに入ることになっちゃって、来週一緒に見に行くことになったんです」と気落ちしながらお話をされていました。80代後半の生徒さんが、ご自分のお姉さんが入所予定の老人ホームを一緒に見に行くということになります。昔、このお姉さんが親代わりにいろいろと面倒をみてくれていたそうです。そのため、恩返しという思いもあるようです。
「本来ならば、姉の息子たちが面倒を見るという事になると思うのですが、近くに住んでいるとはいえ、仕事が忙しくて面倒を見る事も出来ず、自分を頼ってきたという事なんです」と悲しそうな表情をされながらお話をされていました。いろいろな思いがあり、複雑な心境ですよねとしか私は話すことができなかったのですが、生徒さんやそのお姉さん、そしてお姉さんの息子さん方みなさんが、少しでも良い方向に団結できたらと思っています。
お子様の生徒さん方は、3学期も始まり「6時間授業で疲れた~」「今日は社会科見学で、江戸東京博物館に行ってきて遠かった…」と口々に大変だったと言いつつも元気に通われています。グレード受験を控えている生徒さん方は、年末年始のお休みの間もしっかりと練習をしていたようで、かなり弾けるようになってきていてびっくりしました。
昨年秋に、他のピアノの先生から移ってきた生徒さんは、優しい音できれいに弾く事ができるのですが、所々で演奏の流れがスムーズでないという問題がありました。演奏中の手の動きを見ていますと、急に音域が変わるところや、単音から急に和音に変化するところで、音楽の流れが滞っていました。これから弾く音の迷いがあるわけではなく、弾く音は理解しているので、なおさら惜しいなあと思っていました。いずれの場合も、直前の休符の長さをしっかりと守り、なお且つ、その間に次のポジションに素早く移動して待機することで、いざ音を出す時にベストなタイミングで弾く事ができることを説明して、練習をしてみました。
「休符って、休むという字を書くんだけれど、休憩時間ではなくて、指の移動の時間だからね」と他の生徒さんにもお話をしていますが、話すのは簡単でも実際にやるのはなかなか難しいものです。
8分休符の間に2オクターブ以上のポジションの移動をするので、相当素早く一連の動作を行わないと間に合わなくなったり、音を間違えてしまったりします。レッスンでは具体的に、右手で〇の音を弾いている時に、左手は音を切って…と一つずつ動作を行って確認し、手の移動の仕方も、素早くという事を掴むために、実際に腕を持ち上げて動きを手伝ったり、見本を示して一緒に動きを練習しました。生徒さんは、ご自分の想像以上に早く手を移動させることに驚いていましたが、段々とコツが掴めてきたようです。美しい音楽の流れが、最後まで滞ることなく保てたら、きっと生徒さん自身が思い描く演奏に近づけると思いますので、次回のレッスンでも注意深くチェックしていこうと思います。
3月にグレード受験を控えている生徒さんは、大変音楽が好きな生徒さんで、発表会やグレード試験の曲選びも、自ら積極的に行っています。今回も、片っ端から課題曲を可能な限り全部聴いたそうで、その中からバロック期の作品を選び、自由曲には近現代の曲を選びました。だいぶ異なるタイプの曲を2つ揃えたので、好きなタイプの曲の幅が広いんだなあと、とても感心していました。バロック期の作品は、シンプルな音の響きと曲の雰囲気なのですが、基本的に一音ずつ音をノンレガートで弾いていきます。しかし、常にフレーズをという音楽のまとまりを感じながら弾くところが難しいところです。
一方で、近現代の作品は、音の響きがユニークだったり、斬新だったりしますので、音の響きや指運びを慣れるまでが難しいところです。前回のグレード試験でも、バロック期の作品を弾いたことがあり、ノンレガートで弾く事に慣れていて、割とスムーズに練習が進んできているようですが、近現代の曲の方は、音の響きにまだ完全には慣れていないようで、指運びに戸惑っている様子でした。年末年始もコツコツと練習を進めていたようで、だいぶ近現代の音の響きに慣れていて、流れるように弾けるところも出てきました。ご自分で選んだ曲なので、曲のイメージも持てているようですから、このままレッスンを進めていくと、自ずと良い結果に結び付くのではないかと思っています。完成を楽しみに、今後もレッスンを進めていきたいと思います。
今年2023年も張り切って、生徒さんが「レッスンに来てよかった」と思っていただけるような、より良いレッスンを目指して頑張りたいと思っています。
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