(この記事は、第92号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、この季節にピッタリなバレンタインと音楽のお話です。

2月14日は、バレンタインデーです。

もう既に、デパートなどでバレンタインフェアが開催されていますので、足を運んでいる方も少なくないかもしれません。普段は出店していないような海外の一流ブランドや、新進気鋭のパティシエのチョコレートまで実に様々なチョコレートが揃っていますので、見ているだけでも楽しいですし、男性へのプレゼントだけではなく、自分用に購入する方も多いそうです。

お友達にプレゼントをする友チョコや自分用のご褒美チョコはすっかり定番化し、今年は家族へプレゼントをする家族チョコなるものも登場しているそうです。やはり、昨年起こった東日本大震災の影響で、家族の大切さを感じることが多かったからかもしれません。

ピアノや音楽が好きな方には、こういう時にも、やはり音楽にちなんだものを差し上げたいところです。

手作りで作る場合には、チョコレートを流し込む型や、焼き菓子を作るときに使う型を使用するといいですね。

チョコレートを流し込んで、固まってから組み立てると、立体的なグランドピアノになるというチョコレート型もあるそうです。

チョコレート型/ピアノ(立体) チョコレート型/ピアノ(立体)

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なかなか鍵盤の細かいところは難しいようですが、それでも立体的に作れるのは他にないので手作り派の方には魅了的かもしれません。

お店のチョコレートで、音楽にちなんだものといいますと、やはりモーツァルトチョコレート(クーゲルとも言います)が一番有名なのではないかと思います。モーツァルトの母国であるオーストリアのウィーンの銘菓としても有名です。

モーツァルト クーゲルチョコレート

見た目は、普通のトリュフチョコレートと変わらないのですが、ヘーゼルナッツのヌガーの周りに、ピスタチオやアーモンドのマジパンを包み、最後にミルクチョコレートでコーティングするチョコレート菓子です。

半分に切ってみますと、ピスタチオ入りのマジパンの優しい緑色がとても美しく、ナッツ入りのマジパンのシャリっとした食感と少しねっとりした甘さが、周りのチョコレートととてもよく合っていて、なかなか他では味わえないとても美味いチョコレートです。

結構凝った作りなので、機械で作っているとはいえ、1個作るのに2時間以上もかかるそうです。

以前、ウィーンを旅行した時に、生徒さん方へのお土産にプレゼントしたのですが、全員初めて食べたそうで、大好評でした。

モーツァルトチョコレートは、1890年にザルツブルクでカフェを経営していたパウル・フュルストによって考案されました。そして、1905年に開催されたパリ万博に出品して、見事にメダルを獲得し、それをきっかけに一気に広まったそうです。

年代的に、モーツァルトが活躍していた時代はもっと前ですので、モーツァルト自身はもちろん、自分の名前が付いたチョコレートがあることも知らないですし、食べたこともないことになります。

人生の3分の1を演奏旅行に費やしていたモーツァルトは、旅行の先々で各地のグルメを堪能していました。きっと美食家のような舌を持っていたでしょうから、モーツァルトがこのチョコレートを食べてどんな感想を持つのか、聞いてみたくもなりますね。

また、このパリ万博には、フランス音楽の大家であるドビュッシーも訪れています。彼もまた、なかなかの美食家だったそうなので、もしかしたらこのチョコレートを購入したかもしれません。

チョコレートではないのですが、モーツァルトの名前の付いた、チョコレートリキュールもあります。

モーツァルト チョコレート リキュール

モーツァルトの音楽を聴かせて作られているそうで、製造途中のかくはん作業の時に高周波数を流すと、最適な状況になるそうです。

現在は、最後の熟成工程の時に、特製のスピーカーでモーツァルトの弦楽四重奏曲 K.155などを2晩も聴かせています。

モーツァルトの音楽を聴くと癒されると、よく聞きますが、お酒作りにも、モーツァルトの音楽は、効果があるのですね。

SWSC(サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション)という、アメリカ最大の国際的な酒類コンペティションで金賞も受賞しているそうです。

スイーツよりお酒派という方には、ピッタリかもしれません。

チョコレートに関しては、他のブランドでも、チョコレートに音符や楽器の柄が付いているものや、楽譜がプリントされているものなどもあります。

Charleston チャールストン ピアノチョコレート

今年のバレンタインは、ちょっと音楽を意識してみるのも楽しいかもしれません。

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(この記事は、第90号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、今年2012年のメモリアルイヤーのお話です。

昨年はリスト生誕200年、一昨年はショパン生誕200年と、大作曲家のメモリアルイヤーが続きましたが、今年2012年は、ドビュッシー生誕150年です。

フランスの作曲家、クロード・アシル・ドビュッシーは、ピアノ曲では「月の光」「アラベスク第1番」、ピアノ曲以外では交響詩「海」などが有名で、フランス音楽の作曲家というと真っ先に名前が挙がります。今年は、何かと話題になるのではないでしょうか。

今年は、他にもメモリアルイヤーの作曲家がいます。古い順にご紹介しておきます。

ハイドン (生誕280年)
交響曲を数多く作曲したことで有名で、神童と呼ばれたモーツァルトやベートーヴェンなども指導していました。

パガニーニ (生誕230年)
ヴァイオリニストとして当時から大変有名な大スターで、余りの超絶技巧ぶりに「悪魔に魂を売って超人的なテクニックを手に入れた」とまで言われました。現在では、パガニーニの名前が付いた超難関の国際コンクールもあります。
リストが10代の時にパガニーニのコンサートを聴いて感動し、「僕はピアノの世界でパガニーニになる」と言った逸話もあります。

ロッシーニ (生誕220年)
オペラ「セビリアの理髪師」や「ウィリアム・テル」などで有名ですが、それと同時に美食家としても有名です。ステーキにフォアグラのソテーを乗せて、トリュフ入りのソースをかける「ロッシーニ風」と言われる料理は、ロッシーニが開発したレシピで、フランス料理の大定番です。

スクリャービン (生誕140年)
チャイコフスキーやラフマニノフと同じく、ロシアを代表する作曲家でピアニストとしても活躍しました。ピアノ界の巨匠として伝説化しているホロヴィッツの才能をいち早く見出したことでも有名です。

ストラヴィンスキー (生誕130年)
スクリャービンと同じくロシアの作曲家で、バレエ音楽が特に有名です。

作曲家個人で見ますと、ドビュッシーが今年は話題になると思いますが、年々日本でも規模が大きくなっている音楽祭 ラ・フォル・ジュルネでは、今年「サクル・リュス(ロシアの祭典)」というテーマでロシアの作曲家たちを取り上げるようです。

ロシア音楽は、チャイコフスキーくらいしか聴いたことがないという方や、作曲家の名前は聞いたことがあっても実際に音楽を聴いたことがないという方も意外に多いのかもしれません。今年はロシア音楽を知る良い機会にもなりそうですね。

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(この記事は、第89号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、110年前のスタインウェイピアノがある大田黒公園(おおたぐろ こうえん)のお話です。

大田黒公園は、JR中央線の荻窪駅から少し歩いたところにある杉並区立の公園で、日本の音楽評論の草分け的存在である大田黒元雄さん(1893~1979)の自宅跡地に、1981年(昭和56年)に作られました。

お屋敷跡ということもあり、公園の入り口には昔ながらのヒノキの歌舞伎門があり、立派な風格が漂っています。

2679平方メートル以上の広大な敷地の中には、樹齢100年を超える銀杏の並木があり、それだけでも都心とは思えない静寂な雰囲気を作り出しています。

数寄屋造りの茶室や、書斎として使っていた記念館、休憩所などの建物もあります。

レンガ色のような記念館は、仕事部屋として使われていた西洋風の建物で、窓が多く、外の景色が楽しめて、日の光が差し込む素敵な雰囲気です。

大田黒元雄さんの父・大田黒重五郎は、芝浦製作所(現在の東芝)を再建し、東京電力や九州電力の前身の1つでもある水力電気会社を設立した実業家で、大田黒元雄さんは、そのとても裕福な家庭に育ちました。

19歳から2年ほど、経済学を学ぶためにイギリスのロンドン大学に留学しますが、その時に足しげくコンサートに通い、フランス音楽で有名なフォーレ自身の演奏も聴いていたようです。

そして、この留学中に聴いた音楽や様々な体験を元に、帰国後、音楽だけではなく色々なジャンルで執筆活動を始めます。

特に、銀座にある山野楽器の依頼を受けて「バッハよりシェーンベルヒ」を執筆し、「月の光」などで有名なドビュッシーや、「春の祭典」などが代表作であるストラビンスキーを日本に初めて紹介しますが、この本がきっかけとなり一躍有名になりました。

その後は、紫綬褒章や勲三等瑞宝章、文化功労者なども授与されています。

大田黒さんが生前書斎として使っていた記念館には、木目の美しい茶色いピアノが置かれています。

学生時代からピアノを習っていた大田黒元雄さんが、生前に愛用していたもので、現在でも高級ピアノとして大変有名なスタインウェイ社のピアノです。

1900年にドイツのハンブルグ工場で製造されたBタイプのもので、イギリスのロンドンで販売されたものだそうです。

大田黒さんは、自宅で毎月コンサートを開いていたそうですが、その時にも使われていました。

大田黒さんの死後、このピアノは杉並区に寄贈され、展示物として飾られたまま演奏されることはありませんでしたが、2000年に修復されました。

その年には、ピアニストでありフランス音楽の演奏や執筆で大変有名な 青柳いづみこさんのコンサートが行われました。

青柳さんのお話では、タッチが軽くドビュッシーやフォーレ、シベリウスの作品が特に合うピアノだそうです。

現在でもコンサートで使用されており、この貴重なピアノの音色を聴くことができます。この音色を守るために、区内在住の音楽家や区民によって「大田黒公園のピアノを守る会」という修復運動も行われています。

このような歴史のあるピアノが残っているだけでも驚きですが、修復してまた当時の音色が聴けるのは、貴重ですし嬉しいですね。

ぜひ一度、110年前に作られたスタインウェイの音色を聴いてみたいものですし、叶うなら弾いてみたいものです。

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