(この記事は、2025年8月25日に配信しました第428号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、お子様の発表会のお話です。

お盆も過ぎて、大人の方はすっかり日常に戻り、お子様方は夏休みの終わりが見え始めている時期になりました。夏休みの宿題や塾の授業に追われている生徒さんも、少なくないようです。

少し前ですが、お子様の発表会が終わりました。

毎年6、7月頃に開催していますが、今年はかなり遅めの日程になりました。最初は6月開催の予定だったのですがトラブルがあり、発表会の日程が大幅に変わってしまったのです。会場も費用も変わってしまい、発表会準備の最初の段階からバタバタしてしまった感じです。

日程が決まり、生徒さん方にお伝えをしますと、ほとんどの方が「今年は結構遅いんですね」とお話していて、むしろほっとされている様子でした。そこまで焦らなくても、発表会まで時間があるから大丈夫と安心されたのかもしれません。

曲も問題なくスムーズに決まり、練習が始まりましたが、私は一抹の不安を感じはじめました。生徒さん方が、焦らず練習をされているのは良いことでもありますが、焦っていないどころか、のんびりと構えているような気がするのです。そのため、「発表会本番まで、レッスンはあと〇回だけだからね」と少しハッパをかけて、練習スピードの加速を試みました。

そんな中、普段からコツコツと練習をして着実に進めてくる中1の生徒さんが、いつもと様子が違い、かなり練習の速度が落ちていました。これまであまり弾いてこなかったスタイルの曲を弾くので、まだあまり慣れていないのかとも思ったのですが、それにしても私の想定しているペースから、かなり遅れをとっており、このままだと本番に間に合うのかと心配になりましたので、お母様にメールで連絡をしました。すると、「実は…」と長文の返信が返ってきました。

中学校の授業のほかに、学級委員の活動、吹奏楽部の活動、合唱コンクールの伴奏オーディションの練習が2曲分、吹奏楽部のコンサートがもう直ぐあるそうで、週末も朝から練習があり、ピアノの練習時間が思うように取れないという内容で、思った以上に多忙な生活を送っていて大変驚きました。どれも、本人がやりたいと言って行っている事なので、ピアノの発表会の練習もできるところまで頑張れればという事も書かれていて、お母様もいろいろな思いをされている様子でした。

そのため、できうる限りレッスンの時間内で身につけられるように工夫したり、吹奏楽部のコンサートが終わるとピアノの練習時間が取れるという事なので、そこで頑張ってもらうことや、補講の提案もしました、

しかし、少し経って再度お母様から連絡があり、ピアノの発表会の参加を見送るという内容が書かれていて、ビックリしました。いよいよ、この状態だと発表会本番に間に合わないと思って、半ば諦めてしまったのかと思ったのですが、そうではなく、突発性難聴になってしまったらしく、ご家族で話し合った結果、ピアノの発表会は欠席することにしたとのことでした。

ご連絡をいただいた後のレッスンでは、生徒さんとお母様もお見えになり、事の経緯を改めて話してくださいました。私も、ピアノの発表会は毎年参加のチャンスがあるので、心配しないでほしいことや、お身体の回復が最優先なので、ゆっくり休んで治しましょうとお伝えしました。また、忙しすぎて頑張りすぎてしまったのかもねとお話をしますと、お母様も、かつて仕事が忙しすぎて1回突発性難聴になってしまったことがあり、それを思い出しましたとも話されていました。

ご家族で不参加を決めた時には、生徒さんは大号泣したそうですが、少しずつ気持ちを切り替えているようで、妹さんの発表会の演奏は聴きに行くという事もお話していました。レッスンでかなり頑張っていたので、私も残念には思いましたが、健康が一番大事ですから早く元のように治ってほしいと思いました。

その後、合唱コンクールの伴奏オーディションに相次いで合格し、吹奏楽のコンサートも無事に終わり、体も心も休ませることができて、かなり良くなってきたそうで、今では元通りにピアノのレッスンができるようになりました。年末近くのコンクールにチャレンジする予定なので、無理しすぎないように気を付けつつ、次の目標に向かって進んでいただきたいと思っています。

そのような経緯もありましたが、発表会当日を迎えました。

発表会は、基本的に午前中、午後一、夕方の1日3回のステージがあり、今年は夕方からの最終ステージになりました。しかし、この時間に検査入院が決まっている生徒さんだけ、午前中のステージに参加しました。そのため、午前中の発表会に参加し、一旦帰宅して、夕方また会場へ行って発表会に参加ということになりました。

午前中の発表会には、生徒さん一人を混ぜていただくだけでしたが、ステージリーダーの先生から講師演奏に参加してほしいという連絡があり、お引き受けしました。後日楽譜が送られてきたのですが、3人6手のピアノに打楽器を合わせて演奏するウインナーワルツの楽譜でした。私は打楽器担当で、特に難しくはないのですが、この様な編成のアンサンブルは初めてでしたので、当日のリハーサルまで少しドキドキでした。合わせてみますと、とても聴きやすく小編成ながら華やかさのある音楽になっていて、本番でも私自身楽しみながら演奏ができたと思います。

初参加の生徒さんは、結構緊張していたようでしたが、そのようなそぶりを舞台上では一切出さず、いつも通りに落ち着いて演奏をしていました。ご本人も満足そうな笑顔をしていましたので、大成功だったと思います。

夕方の発表会では、私がステージリーダーでしたので、アナウンスや生徒さんの誘導、足台や譜面台のセッティングなど裏方の仕事を、先生方で分担して協力していただきました。ベテランの先生ばかりでしたので、その場の状況も考慮して動いて下さり、大きなトラブルもなく、予定時間よりも少し早めに終了することができました。

講師演奏では毎年連弾を行っていますが、今年はお互いの予定がすれ違う事が多く、合わせの練習時間がかなり少ない状況でした。それでも、いつも組んでいる先生なので、ここぞというタイミングでしっかりと合わせることができ、ほっとしました。早くも、来年の講師演奏についての話も挙がっていますが、来年はもっと予定を合わせて練習できたらと思います。

お子様の発表会が終わりましたが、別のセンターの発表会や大人の生徒さんの発表会、生徒さんのコンクールなど、今年はまだまだ本番が続々と控えています。生徒さん方の頑張りが本番で余すことなく発揮できるように、私も頑張りたいと思います。

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(この記事は、2025年7月28日に配信しました第427号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、世界を視野に入れ活躍する超新星のお話です。

「題名のない音楽会」というテレビ番組で、「世界を視野に入れ活躍する超新星!」という特集をしていたので見てみました。ピアニストの古里愛さん、トランペット奏者の松井秀太郎さんが取り上げられていました。

古里愛さんは、現在13歳で、昨年名門バークリー音楽大学に12歳で合格した話題のピアニストです。番組では、古里さんが作曲した「ディズ・モーメント」という曲の演奏から始まりました。11歳の時に、大好きな7拍子を使って書いた作品だそうですが、リズムがとても面白く、おしゃれな雰囲気やカッコいい感じもある、なんとも不思議な魅力の音楽でした。

古里さんは、10歳でニューヨークのジャズクラブでの演奏が260万回再生されて大きな話題になり、12歳でバークリー音楽大学に史上最年少で入学しました。20歳までにグラミー賞を受賞することが大きな目標だそうで、ジャズ部門だけでなく主要な4つの部門も狙いたいと話していて、司会者2人もびっくりした表情をしていました。

「という事は、バークリー音楽大学への入学は夢の通過点に過ぎないのですね」と、司会者も驚きを隠せない様子でした。この夢の実現のために、10歳の時から作り始めた計画表もあるそうで、番組で紹介していました。

11歳で英検2級と数検3級合格、中学の学習を終了し、高校の単位の取得開始。12歳でオリジナル曲をレコーディングして楽曲配信を開始、高校卒業資格の取得。13歳で最年少でバークリー音楽大学に入学、ロジックプロでシンセサイザーの音作りを学ぶ。

目標も具体的ですし、ほぼ全て目標を達成してきたという自己管理能力の高さにも大変驚きました。

今後の目標として、14歳でYouTubeのチャンネル登録者数10万人突破、20歳でグラミー賞受賞、ジャズスタンダードを作曲、最終目標は世界一のピアニストになることなのだそうです。落ち着いた雰囲気の大人しそうな古里さんですが、見た目ではわからない内に秘めた熱い思いに、とてもビックリしました。

作曲家・プロデューサーのクインシー・ジョーンズやピアニストの小曽根真さんなどを輩出したバークリー音楽大学での授業の様子についても、お話をされていました。特に印象的だったものとして、ダイバース・スタイリスティック・コンシダレーションという、世界の音楽をジャズに取り入れる実践授業を挙げていました。先生がとてもリズムに詳しい方で、世界の変拍子や複雑なリズムを学んでいるそうです。

番組では、実際に古里さんがキーボードで、7拍子のリズムだけ、次に7拍子のリズムに8分音符のソロを合わせ、更に複雑なリズムのフレーズを加えるともっと面白さが出てくるという解説もしながら演奏をしていました。司会者の2人も、「この複雑さが心地いいですね」「聴いていても、気持ちがいいですよね」と感想を話していました。自分の国の音楽とジャズを組み合わせるという課題もあるそうで、「日本の音楽はメロディーが美しいので、そこにジャズと自分らしさを組み合わせたら、美しいものが生まれると思います」と古里さんが答えていました。

2曲目の演奏として、出来立ての新曲「ザ・シェアード」を披露していました。日本の音階をベースラインに使って、日本人である自分自身を表現したのだそうです。ドラマチックな出だしから、急に演奏が一時停止して軽快な6拍子でアメリカの生活を表現したり、急に4拍子に変わって、1拍を5等分するようなリズムに変わって、戸惑いや不安を乗り越えた友情を表したメロディーが出てきたり、ピアノソロ部分で更に自由なリズムが出てきて、どんどん高みに向かって盛り上がったりと、とても変化に富んだ面白い音楽でした、

次に、ジャンルを超えて注目されているトランペット奏者の松井秀太郎さんに話題が移りました。ピアニストの小曽根真さんが、「(松井さんが)大学4年生の卒業試験の演奏を聴いて、ノックアウトされた」と絶賛されていました。松井さんは、最初にご自身の編曲による「ラプソディ・イン・ブルー」を演奏していました。原曲と比べて、ものすごく音が変わっているわけではないのですが、原曲よりも自由でいろいろな表情があり、従来の解釈には無いような斬新さもあって、とても楽しい音楽でした。

松井さんは、ジャズやクラシック、和楽器などジャンルを超えたボーダーレスな活躍をして大きな注目を集めています。「音楽のジャンルが違うと、演奏の仕方も変わるのですか?」という司会者の質問に、松井さんは、自分ではジャンルを意識していないそうで、「こういう風に吹きたいなとか、こういう音を出したいなという気持ちを大事に演奏しています」と答えていました。

松井さんは、ご自身の名を冠したカルテットを結成したそうです。全員が主役で、会話のように即興で演奏していくので、それぞれがその場で感じたイメージをぶつけ合い、行ったことのない世界に行こうとする面白さがあるのだそうです。番組では、サン=サーンスの「死の舞踏」を松井秀太郎カルテットがアレンジした「ダンス・マカブル」の演奏を紹介していました。原曲の世界観は大事にしつつ、もっと自由に踊りだすイメージでアレンジしたそうです。

ピアノとトランペットの掛け合いだったり、とてもエネルギッシュなところもあれば、ぐっと聴かせるようなところもあり、次はどんな展開になるのだろうとハラハラドキドキ、スリリングな、引き付けられるような演奏でした。

番組の最後には、古里さんと松井さんの共演で、ジャズの名曲「自由への賛歌」の演奏もありました。演奏しながらアイコンタクトをとっていたり、古里さんの即興演奏に松井さんが何かを感じたようでふっと笑みを浮かべたりと、お二人とも初共演を楽しんでいる様子も伝わってきました。

次世代を代表する2人の演奏家を知る良い機会になりました。今後の活躍も注目していきたいと思います。

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(この記事は、2025年7月14日に配信しました第426号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、お子様の生徒さんの発表会に向けた練習の様子です。

お子様の発表会が、刻々と迫ってきています。

今年は、日程がこれまでよりも遅くなったので、比較的ゆっくり準備を始めましたが、他の先生のクラスから相次いで「当初の日程では参加が難しい生徒さんがいらっしゃるので、受け入れてもらえませんか」という相談をいただき、受け入れた場合の演奏時間、終演時間などの確認、演奏曲が他の生徒さんと被っていないかなど、他の先生方にも確認して、バタバタと調整を行いました。

生徒さんは、本番へ向けて練習を頑張ってきていますから、なんとか年に1回の発表会という大舞台に立たせてあげたいと、どの先生も思っていますので、当日のタイムスケジュールを見直し、時間をやりくりし、受け入れられることになりました。プログラムがまだ校正中でしたので、年齢や曲目、レベルなどを考慮しながら改訂して、先日出来上がったところです。今年は発表会に出られるのだろうかと、生徒さんやご家族はステージが決まるまで不安だったかもしれませんが、安心して本番当日を迎えていただければと思っています。

私のクラスの生徒さん方は、着々と準備が進んでいる生徒さんもいらっしゃる反面、ちょっとのんびりしている生徒さんもいらっしゃり、私の方が少しハラハラしています。ずっと左手の伴奏系が続く曲を弾く生徒さんは、場面の移り変わりのところで、どうしてもミスが起きてしまう事が課題になっていました。急に両手ともポジションが変わり、長い休符なども無いので瞬間移動をしなければならず、難しいところです。音はしっかりと把握できているのですが、弾きたい音が弾けないという、なんとも悩ましい問題です。

生徒さんには、両手のポジションを同じタイミングで、しかも違う方向に移動させることは大変難しいので、まずはメロディーを弾いている右手のポジションを先に移動させることにし、左手のポジション移動の時には、手のひらを広げたり縮めたりせずに、左手の高い音の鍵盤を見て指を乗せるように移動させること説明して、一緒に練習をしました。暫くは、どちらかの手でミスが起きていましたが、次第にできるようになり、最後には連続して成功するまでに完成度が上がってきました。

生徒さんも、「出来そう!」と手ごたえを感じている様子でした。何の不安もなく弾けるところまで完成させて、本番を迎えられるようにしていきたいと思います。

別の生徒さんは、大好きな曲ばかりを練習していて、もう1曲の練習があまり進んでいないようでした。複数の曲を発表会本番で弾くときには、練習のバランスが大切なのですが、そのバランスが崩れているように見えましたので、レッスンでは弾けている曲はちょっと扱うくらいにして、あまり進んでいないもう1曲を集中的にレッスンしました。曲の構成の確認では、同じ音楽が出てくるところで、変化している音に注目して弾き分けるようにし、一緒に練習をしました。

また、ベースの音が変化しているところでは、意識を向けるタイミングが少し遅いため、音を出してから調号を忘れたことに気付くミスがかなりの確率で起きていました。そのため、弾いている時に、もっと早いタイミングで私が合図をして、調号の付いた音を間違えずに弾く練習を何回も行いました。なかなか苦戦をしていましたが、徐々にできるようになり、レッスンの最後では、かなり定着してきた感じがしました。

「難しい曲」という意識が強かったため、練習になかなか身が入らなかったようですが、弾けるようになったことで自信も付いてきたように見受けられました。残り少ないレッスンで、更に自信を高めていきたいと思います。

中学生の生徒さんは、これまでは着々と進めていましたが、今年は思ったよりも練習が進んでいない状況で少々心配をしていました。4月に中学生になったばかりなので、学校の勉強や部活に忙しいのかと思っていましたが、先日生徒さんのお母様からご連絡をいただきました。授業やテストではなく、所属している吹奏楽部のコンサートがもう直ぐという事で、土日も練習があるのだそうです。更に、合唱の伴奏もやってみたいという事で、オーディションに向けて練習もしているので、なかなかピアノの発表会の練習が進まないのだそうです。

思った以上にたくさんのことを抱えていて大変驚きましたが、どれも今の時期にしかできないことなので頑張ってほしいですし、なるべくレッスンで多くのことを身に付けられるように、レッスンの進め方を工夫して効率を高めることをお伝えしました。

お母様からも、「どれも、本人がやりたいと言ってやっていることなので、ピアノの発表会も、できるところまでは頑張ってほしいと思っている」という旨のお話がありました。発表会本番まで1カ月を切っており、かなり時間が無いことは事実ですが、生徒さんも精一杯頑張っていますので、私も残り少ないレッスンでしっかりと仕上がる様にしていきたいと思います。

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