(この記事は、第61号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回のピアノ教室の出来事は、小学校低学年の生徒さんのお話です。

レッスンに通い始めて3年ほどになるAちゃんは、体験レッスンの時からおばあ様が連れて来られていました。ご両親揃ってフルタイムでお仕事をされているご家庭が多くなっていますので、彼女のようなケースは、決して珍しいものではありません。

Aちゃんは、毎回ワーク(音楽ドリルのようなもの)をきっちりとやってくるのですが、ピアノの演奏の方は、曲の途中でよく止まってしまう傾向がありました。普段のレッスンはともかく、発表会など人前で演奏する時に止まってしまう事は、なるべく避けたいことなので、毎年発表会前の大きな課題として、止まらない練習をしてきたのです。

元々、あまり器用な方ではないようですし、性格もおとなしく、質問をしてもあまり答えられずに黙ってしまうところがありました。答えに確証がない状態では、発言しようとせず、「わからない」ということを言い出せない事も度々ありました。

決してムッとした表情でレッスンをしている訳ではないのですが、お家のことや学校であったことなども、あまり話さないので、レッスンをしている私としては、「果たしてAちゃんは本当にピアノを楽しくやっているのだろうか?」と不安に感じてしまう事もありました。

そんな折、いつものようにAちゃんと一緒におばあ様がいらっしゃいました。おばあ様は、いつもレッスンを見学しているのですが、「今日はちょっと用事があるので、後程迎えに来ます」とおっしゃるので、「はい、わかりました。それでは後程」とお返事をしたところ、おばあ様はおもむろにバックの中から1枚のパンフレットを取り出しました。

「親バカみたいな感じですけど、先生にお見せしたくて。これは、(Aちゃんの)学校で今度行われる音楽会のプログラムなんですけど、ここに彼女の絵が載っているんです!!」

そこには、グランドピアノの絵が描かれ、Aちゃんの名前も書かれていました。

「私、もうホントに嬉しくて・・・。これも本当に先生のおかげです。ありがとうございます」とおばあ様は、満面の笑みでお話されました。

「Aちゃん、スゴイじゃない!上手に描けているわね~。鍵盤の所がとっても細かく描けていて上手ね。Aちゃん、選ばれて描いたのかな?」

「学校の先生がね、楽器とか歌っているところの絵を描いてって言ったから描いたの。」

「そうなの、それでグランドピアノの絵を描いたのね」

音楽をテーマにした絵でグランドピアノを題材に選んでくれたことで、私もAちゃんが、彼女なりにピアノを楽しく弾いているように思え、とても嬉しく感じました。またその絵が、コンサートなどの聴衆から見たピアノではなく、弾いている自分の目線から見たピアノの絵であることが、尚のこと嬉しく思えました。

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