(この記事は、第153号のメールマガジンに掲載されたものです)

今年も、お子様のピアノ発表会が開催されました。

出演された生徒さんは、大きな本番を終えてホッとされている頃だと思います。

今回の発表会は、他の先生方の生徒さんと一緒に行いました。

発表会の会場や日時は、「くじ引き」などで事前に決めるわけですが、人気のホールとなりますと、「くじ引き」をする順番を決める「くじ引き」があるくらいで、また、土日をおさえることは難しく、平日になってしまう事も多々あるものです。

そして、お子様は夏休み期間とはいえ、旅行や塾など様々な用事と重なってしまい、この決まった発表会の日に参加することができない生徒さんが少なからず出てきます。

そのような生徒さんは、他の先生の発表会に混ぜて頂く事になるのですが、今回は、そのような形で集まった4,5人ほどの生徒さんと一緒に、発表会を行いました。

他の先生の発表会に混ぜて頂くと言っても、レッスンを行っている先生も同席されますので、出演される生徒さんにとっては、「いつもの発表会より見慣れない生徒さんが多いかな」くらいの違いしかないかもしれません。

一人で発表会を行いますと、舞台袖で演奏する生徒さんを順番に座らせたり、「大丈夫だからね」と励ましたり、演奏が終わった生徒さんを出迎えて、「良かったわよ」と感想を伝えたりしながら、アナウンスをしたり講師演奏をしたり、挨拶のスピーチをしたりと、終始バタバタしています。

しかし、今回のように他の先生もいますと、アナウンスや生徒さんの誘導なども分担作業になりますので、だいぶ楽な気持ちでいられますし、丁寧に生徒さんに対応することも出来ます。

そんな生徒さんの対応で、出番が近くなって舞台袖に来た生徒さんが、私の顔を見るなり「先生、ここの2小節忘れちゃったの・・・」と言うのです。

「ん!? どこかしら?」と楽譜を見ますと、特にチェックの入っていない箇所です。

「今日ね、朝弾いたら、ここがね、忘れちゃったの、どうしよう。忘れちゃう、忘れちゃう。」

「そうなの。この部分ね。いつもちゃんと弾いていた所だから、大丈夫、大丈夫。ちゃんと覚えているから。」

それでも、生徒さんにとっては、本番当日の朝に、急に暗譜を忘れてしまった事が相当ショックだった様です。

「おうちで弾いたとき、その後どうしたの?」

「(暗譜を忘れた)その先を弾いたよ。」

「それはよかった。レッスンでも、いつもちゃんと弾けていたから大丈夫。万が一、そうなったら、今日と同じく、飛ばしてそのまま弾いちゃってね。」

「それから、もう、忘れちゃうって言わないでね。」

そして、その生徒さんは、本番では、心配していた箇所も難なく弾き、全体的にきれいに弾いていました。

それまで、きちんと出来ていた暗譜が、ある時に忘れてしまうという事は、時々起こるものです。

また、楽譜を見て弾いていても、急に次に弾く音がわからなくなり、固まってしまうのも似たような状況ですね。

度忘れである事もありますが、厳しい見方をすると、手の運動だけで弾いてしまっていたとも言えます。頭を使って暗譜をしていなかったという事です。

特に小さい生徒さんの場合、楽譜を見て弾いているうちに、気が付いたら暗譜が出来ていたという事がありますが、これは、手の運動だけで覚えているということなのです。

意識して暗譜していないので、日常のリラックスした状況では暗譜できちんと弾けますが、緊張する場面など、いつもと違う状況では、ふと我に返って、わからなくなる事が起こります。

生徒さんが、手だけで暗譜をしていないか、今後はもう少しチェックを強化していきたいと感じた今回の発表会でした。

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(この記事は、第152号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、お子様のピアノ発表会がもうすぐなので、あがり症の克服について書いてみました。

発表会やコンサート、オーディションにコンクールなど、普段とは違い人前でピアノを弾く時、人は大抵緊張するものです。これまで多くの生徒さんを見てきましたが、全く緊張しないという方は殆どおりません。

普段のレッスンでさえ、自宅とは環境やピアノが違うので、少し緊張される方がおられるほどです。

私自身も、入学試験やオーディションなど演奏に点数が付く場面での演奏や、権威ある先生のレッスン、コンサートなど、数多くの本番を体験していますが、緊張することも多いものです。

「先生も緊張しているの? え~、全然そういう風に見えな~い!」と小さい生徒さんに言われたこともありますが、発表会など、生徒さんの前で、まさか私が青ざめた表情でいるわけにもいかないですしね。

「先生は、本番に慣れているから緊張しない」と思っているのかもしれませんが、そういう事はありません。ただ、本番への臨み方を少しは心得ているので、対処の仕方が多少上手かもしれません。

その対処には、色々な方法があると思いますが、そのいくつかを挙げてみます。

(1) 体をほぐす

本番前の生徒さんの様子を見ていると、極度のあがり症という方は殆ど見られないのですが、神妙な顔をしている方が多いようです。緊張すると顔が固くなるので、緩ませることが重要です。

私も、出番前の生徒さんのうち、直前以外の生徒さんについては、様子を見ながら笑顔で話しかけて緊張をほぐすようにしています。そうしますと、生徒さんも少し顔がほころんできます。

あがり症の方を数多く克服させてきた専門家の先生も、「一瞬で緊張をほぐす方法」として、顔の緊張をほぐす事を話されています。

変な顔をして、一瞬顔に力を入れてから、抜くという方法のようです。本番前に、お手洗いなどで実践してみてもよいかもしれません。

緊張すると、顔のこわばりと同じく体も硬くなってきます。そのため、私も、出番前には前屈をしたり、肩や腕を回して体を緩ませています。

日頃から、1日1分くらい左右交互に背中で握手すると柔軟性が高まるので、いざという時に体の硬直を防ぐことができるそうです。普段から、ピアノの練習とともに実践してみてはいかがでしょうか。

(2) 他人の演奏に惑わされない

発表会の本番前は、楽屋や舞台袖に何人も待っていて、舞台上での演奏が聞こえてくるわけですが、「今、弾いてる人、とっても上手!」などと思って、余計に緊張してしまうことも多いようです。

他の方の演奏に惑わされないように、対処することも重要ですね。

ヘッドホン等をつけて、聞こえないようにするとか、出番直前まで、その場から離れることも良いと思います。また逆に、「この曲、ステキな曲よね~」と観客として音楽を楽しんでしまうスゴ技もあります。

(3) 自分が演奏する曲の事ばかりを考えない

本番前に、自分が演奏する曲の事ばかり、ずっと考えてしまうのは、あまりオススメ出来ません。集中する方法は人によって違うのですが、直前に考えすぎると、かえってわからなくなったり、迷いが出てきてしまうことがあるからです。

特に、心配なところを気にしすぎるのは、避けたいものです。

普段の練習で、不安なく弾けるように準備をしておき、本番前には、「今まで練習してきたから大丈夫」「なんとかなる」とポジティブに思うようにしましょう。

本番前に、「なんか、間違えそうな気がする」「暗譜を忘れちゃいそう」等と思ったり、言葉にすると、脳が思い込んでしまうのでご法度です。

演奏する曲の技術面ではなく、「音楽全体でどこがステキなのか」「どのような事を伝えたいのか」という事に意識を向けるようにするといいですね。

生徒さんにも、「この曲って本当にステキだから聴いてね、という気持ちで弾いてね」「あなたの演奏を聴いたお客さんが、ああ、いい曲だなあと思ってもらえたら、大成功よ」とお話をしています。

緊張に負けず、本番で実力が発揮できるように、参考にしてみてください。

ピアノ発表会:本番で力を発揮する方法も、ご覧ください。

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(この記事は、第151号のメールマガジンに掲載されたものです)

お子様の夏の発表会が近づいてきました。

本番まで1ヶ月を切り、毎回のレッスンでは、カレンダーを見せながら、「本番はいつだっけ? 今日は何日かな? 本番まで、あと○回しかレッスンがないからね」と、残りの日にちやレッスンの回数を強調して、お話をしています。

以前も書きましたが、大人と子供では時間に対する感覚が違うようで、大人の方は、本番まで1ヶ月を切りますと「いよいよ近づいてきた」と感じて、「あと○回しかレッスンがない」と焦りを覚える方が多いのですが、お子様の場合、1ヶ月という時間はまだまだ先と感じるようで、「まだ○回も、レッスンがあるんだ」と思うようです。

この事に気付いてからは、お子様には、良い意味で少しプレッシャーをかけ、最後のひと頑張りができるように促しています。

しかし、今回お話させていただく小学校6年生の生徒さんは、珍しく「もう、それしかレッスンがないの!?」と感じるタイプのお子様です。

今回の発表会では、日本人の作曲家の作品を選びました。

幻想的なメロディーながら、強い音がたくさん出てくる、とても華やかな音楽です。この生徒さんは、比較的体格に恵まれている事もあり、強い音が出せるので、その曲をお勧めしました。

練習を始めてしばらくは、なかなか間違った音が直せなかったりと苦戦していたようですが、普段以上にコツコツと練習を重ねてきました。

その成果もあって最近は弾けるようになりましたが、しかし、音楽の間の取り方やテンポを動かすところなどが、まだしっかりと決まっておらず、なんとなく不完全燃焼のような演奏になっていました。

その状態でのレッスンです。

「ここから弾いてくれる? 私が横で色々と合図をしたり、一緒に弾くからね。間違えてもいいから、頑張って付いてきてね。こんな感じかなぁ~ という雰囲気を掴む練習だからね。」

そして、生徒さんが弾いている間、たっぷりと間を取りたいところでは、手を掴んで次の音が弾けないようにして、速く弾くところでは、肩を叩いて拍子を感じられるようにしたり、徐々に加速させるところでは一緒に弾いたりしました。

弾き終わった瞬間、生徒さんはパッと笑顔になり、次の瞬間顔を見合わせて大爆笑になりました。

「えぇ~っ!! こんなに(色々と)やるの??」(曲に様々な表現を付けるという意味)

「そうよ、このくらいは、やってくれないと。オーバーに感じるかもしれないけど、でも、弾いていて面白いでしょ?」

「うんっ!」

「この曲は、とても華やかな曲でしょ。だから思い切って色々とやらないとね。恥ずかしいと思っちゃうと、中途半端になって、この曲の良さが伝わらなくなっちゃうから。○○ちゃんの場合、華やかに弾くというよりも、派手に弾くと言った方がピッタリかもね。」

楽譜には、「とにかく派手に弾く!」と書き、ここでも生徒さんと2人で大爆笑でした。これだけレッスン中に笑いが出るのは、なかなか無いかも知れないという程です。

クラシック音楽では、楽譜に忠実に弾く事が特に大切で、オーバーに弾くことは避けるべきですが、それ以外の音楽では、より雰囲気や華やかさを出すために、ややオーバー気味に表現した方が、その音楽の魅力が伝わりやすい事もあると思います。

少し恥ずかしがり屋さんの生徒さんですが、本番でその殻を破って、思い切った演奏ができればと思っています。

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