(この記事は、第165号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、小学生の生徒さんのコンクールに向けたレッスンのお話です。
2015年のレッスンも、すっかり普段通りの雰囲気になり落ち着いてきましたが、個人的には少し緊張感を持っています。それは、小学生の生徒さんが、コンクールを受けることになっているからです。
この生徒さんは、以前にもコンクールに参加した事があり、そのときは初参加ながらとても良い成績を挙げる事が出来ました。
あれから数年が経ち、今回またチャレンジをします。
コンクールやオーディションは、発表会と異なり、演奏が評価され点数や合否が決まります。頑張りが素晴らしい成果につながることもあれば、残念な結果となることもあります。
例えば、予選敗退という可能性もあるわけですが、「頑張ったのに報われない」ことは、大人でも相当ショックなことで、お子様なら尚の事でしょう。そのため、慎重な対応が必要になります。
前回は、とても良い結果になりましたが、今回は出場する部門が変わりますし、これまでの成績は当然ながら全く関係ありません。
そして、出場するからには、前回以上の成績を収めてもらいたいので、気を引き締めて準備するようにアドバイスしています。
生徒さんも、刻一刻と本番が近づいてきた実感があるようで、ずいぶんと練習に熱が入るようになってきました。
音楽に勢いと安定感が出てきて、グッとまとまってきた感じがしています。
この調子で、ますます磨きをかけつつ、本番1回だけの演奏で、どれだけ完成度を高く演奏できるかが勝負になります。
現在のレッスンでは、何回か弾いていると、段々と調子が出てきている感じです。
自宅で練習に使っているピアノとレッスン室のピアノでは、タッチなどが異なりますから、最初は戸惑っても段々慣れてくると調子が出てくるわけです。
これは、通常のレッスンでは当たり前のことですが、1度しか演奏できないコンクールでは通用しません。
どんな楽器でも、どんな状況でも、素晴らしい演奏をする必要があるのです。
そのためレッスンでも、1回目の演奏の完成度を上げていく事が大切になります。
先日、このようなお話をしたところ、
「タッチが気になっちゃって。本番前も緊張とかしちゃって不安になるんだけど、本番になると大丈夫なの!」と言うのです。
確かに、この生徒さんは、本番という緊張する場面で、楽しく演奏できるタイプなのです。
これまでの本番を思い返してみると、調子がいま一つなときもありましたが、それよりもはるかにステキな演奏をしている事の方が多いのです。
本番で、毎週レッスンで聴いている私が「うわ~っ」と驚くほど、大きく成長した演奏をした事もありました。
「本番に強いタイプ」とでも言うのでしょうか。
ピアノだけでなく、人の一生のなかで、1度しかないチャンスに、多少環境や状況が変わっても自分の実力を出し切る必要がある機会は、何度となく訪れるものです。
しかし、そんな本番に、自分は大丈夫と思える自信は、自分で納得できる程の練習量とこれまでの経験からくるのかもしれません。
コンクールというシビアな世界に挑戦するにあたり、とても心強く思いました。
本番まであと数週間ですが、全力投球で頑張ってくれる事と期待しながら、私も全力でレッスンをしようと思っています。
(この記事は、第162号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、兄弟・姉妹でのピアノレッスンについてです。
ピアノ教室の生徒さんの中で、兄弟や姉妹で通われている方も割と多いものです。お姉さんと弟というパターンもあります。
最初は、上のお子様が通っていて、送り迎えに、お母様に連れられて下のお子様が来ていて、興味を持ち始めるというパターンです。
「ぼくも、大きくなったらピアノやるんだ!!」と、お姉さんのお迎えに来るたびに、話していた弟さんもいました。
やがて、兄弟揃って続きの時間でレッスンを始めると、一緒にレッスン室に入って、途中で弾く人が交代する感じになります。
上の子がレッスンをしているときは、下の子が待っていて、下の子がレッスンをしているときは、上の子が待っています。
やがて、兄弟別々に異なる時間にレッスンをするようになるのですが、個人的には、兄弟のレッスンは、なるべく早い段階で個別に行うようにした方が良いと思っています。
特に、上の子の態度は、兄弟一緒のときと別々にレッスンするときでは、ガラリと変わります。
上の子は、下の子の面倒を見るという役割がすっかり身についているものです。これは、普段の生活では必要なことだと思いますが、ピアノのレッスンでは、そういう役割を取り払ってレッスンをした方がよいように思うのです。
一人だけですと、とても自由に「のびのび」した態度になり、演奏も変わってきますし、なにより楽しそうです。
私も、「○○さんのお兄さん」「○○さんのお姉さん」として見ることがないので、気が楽になるのかもしれません。
また、下の子にも、良い影響があるように思います。
兄弟の関係や性格にも寄るのでしょうが、お兄さんやお姉さんを頼りにして、わからないことを教えてもらう癖がついていることがあります。
そのため、ピアノのレッスンで何か質問をすると、すぐに「わからない」と答えるのです。
すごく考えても分からないというのではなく、ちょっと考えて、難しい、分からないと言っているようです。
また、「○○ちゃんは、どう思うかな?」と自分の感じた気持ちについて質問をしても、同じような状態になります。
まだ小さいので、頭では分かっていても上手に言葉や文章にならない事もありますが、しかし、兄弟がいない状態で、レッスンの度に質問をして、焦らせないように待っていますと、徐々に自分の頭で考え、自分の意見が言えるようになってきます。
兄弟・姉妹でピアノを楽しむのは、お互いの刺激になり、共通の趣味にもなると思います。
そして、同じ曲を弾いても、それぞれのお子様の個性が演奏に現れるので、親御さんから見ても、とても楽しいのではないでしょうか。
ちょっとした工夫で、それぞれのお子様が、より大きく伸びていければと願っています。
(この記事は、第161号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、音楽演奏とご家族の理解についてです。
ピアノのレッスンをしていて、残念に思う事の一つが生徒さんの退会です。
かなり長くピアノの講師をしていますが、いつも残念で悲しくなります。
このことは、ピアノの先生が集まると必ず話題の一つに挙がるので、みんなそのように感じていると思います。
ピアノを辞めるタイミングとして、お子様の生徒さんで一番多いのが受験です。
高校受験も多いのですが、最近では中学受験も珍しくなく、クラスの半分は中学受験すると答えた小学生の生徒さんもいました。
そうなると、小学校4年生くらいから塾に行き始め、小学校6年生で、「受験をするので、ピアノは辞めます・・・」となってしまう訳です。
塾によっては、「小学校4年生では遅いです。小学校3年生からスタートしないと」と話しているところもあるようです。
大人の生徒さんの場合、ご本人やご家族の体調不良が一番多く挙げられます。
特に高齢となりますと、当初の予定よりも長い入院となってしまったり、リハビリが思うように進まず時間がかかることもあります。
家族の体調が悪く、入退院を繰り返していることがきっかけとなり、ピアノを辞めてしまった方もおられました。
入院中はまだしも、退院後は連日病院通いで、つきっきりに近い状態となり、そうなると介護する方もくたくたに疲れてしまい、レッスンどころか自宅での練習も難しいようです。
「実は、今度入院することになりまして・・・」、「主人の体調が悪く・・・」などのお話を前々から聞いていて、その結果としてピアノを辞めてしまう事は、まだ理由が明白なので納得もできます。
しかし、そのような前触れもなく、突如辞めてしまわれる事が先日ありました。
思い当たる事が全く無かったので、本当にビックリしたのですが、少しお話を伺いますと見えてきました。
どうも、ご家族の理解が得られなかったようなのです。
音を出して楽しむことがピアノであり音楽なのですが、曲が完成するまでには、同じ所を何回も練習したり、それでもあまり進歩しなかったりと色々あるものです。
弾いている本人も辛い時期なのですが、それが聞こえてくるご家族も辛いという事なのでしょう。
大人の方ですと、お子様のように、ちょっと弾いたらコツが掴めたとか弾けてしまったということは少なく、習得に時間がかかることの方が多いと思います。
そのため、しばらくご家族との間でギクシャクしていたようです。
消音ピアノや電子ピアノなどを提案するタイミングもないまま、お別れになってしまったことは、とっても残念に思いました。
このようにご家族の理解が得られず、辞められた生徒さんもいれば、その一方で、ご家族が亡くなった悲しみを、ピアノを弾くことで乗り越えて行かれた生徒さんもいらっしゃいます。
音楽は、一人でも複数人でも楽しめ、色々な楽しみ方が出来て、とても心が潤い、癒され、活力が沸く素晴らしいものです。
しかし、生活を共にする家族の理解を得ながら音楽を楽しめるようなアイデアも必要なのだと、考えさせられました。
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