(この記事は、第171号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、お子様のピアノコンクールのお話しの最終回です。(これまでのお話は、以下の記事をご覧ください)
・ 独特の雰囲気のピアノコンクール当日(予選会)
・ なかなか厳しいピアノコンクール本選会
予選会、本選会と無事に通過して、いよいよ全国大会が行われました。
各地で本選会が行われたわけですが、東京はその中でも日程が最後だった事もあり、全国大会まで僅か2週間しかありませんでした。
そのため、レッスン時間を長くしたり、他の曜日でも追加のレッスンを行いました。
レッスンでは、演奏を録音して、一緒に聴きながら分析したり、曲をどのように弾いていくとよいのか資料を見たりもしました。
また、曲想を深める為に、外に出かける事もしました。
大人に比べて人生経験が少ないので、言葉ではなんとなく分かっていても、少し突っ込んだ質問をしますと、言葉が詰まってしまう事があります。
例えば、優雅な雰囲気で弾く曲の場合、本などでは「優雅な雰囲気」というものを知っていても、実際に体験した事がないので、本当には理解ができていないのです。
生徒さんのご両親の了解を頂き、外に出かけて体験をして、少しでも曲の理解が深まるようにしました。
全国大会直前には、ホールを借りて、本番さながらの雰囲気での練習もしました。
そして、いよいよ全国大会です。
早めに会場に行き、他の参加者の演奏を聴いてみましたが、とても素晴らしい演奏をしている方が何人もいて、本当に驚きました。
安定感抜群のテクニックと、少しの隙もなく、心地よく流れる音楽で軽々と弾きこなしていました。
審査員の先生方も食い入るように聴いていて、演奏後に拍手をしている先生がいた程です。
そして、自分の生徒さんの演奏ですが、少し硬さが出てしまっていました。そのためなのか、最後の方で、以前からやや不安だったところでミスが出てしまいました。
賞は頂けましたが、生徒さん本人が一番悔しそうでした。
全国大会という、本当に大きな本番に立てたというだけでも凄い事ですが、力を全て出し尽くせなかった事は、残念に感じました。
なかなか難しいものですが、生徒さんは、もう次の目標に向かってスタートしています。
私もこの経験を次に繋げて行きたいと思っています。
(この記事は、第169号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、お子様のピアノコンクール本選のお話です。
以前、ピアノコンクールの予選のお話をしましたが、今回はその続きになります。
先日、コンクールの本選会が行われました。
お子様対象のコンクールは、それぞれ色々な規定がありますが、今回生徒さんが挑戦しているコンクールは、予選会で1曲、本選会で1曲弾くことになっています。
つまり、コンクールが始まるまでに、2曲練習しておく事になりますが、まずは予選を突破しなければなりませんので、予選会の1・2ヶ月前からは、予選の曲を重点的にレッスンする事になります。
そして、先日めでたく予選を通過できましたので、それまで忘れない程度に弾いていた本選の曲を、本格的に練習しレッスンをしてきました。
本選の演奏の出来具合で、全国大会出場が決まる正念場となります。
また、仮に、めでたく本選を通過できますと、全国大会までわずか2週間ほどしかありませんので、本選の時に、全国大会で戦えるだけの完成度が必要になります。
レッスンも週2回に増やし、生徒さんだけでなく、ご家族も一丸となって頑張ってこられました。
連日たくさん練習をされているようで、妹さんの練習時間が少なくなってしまい、教材の進みが遅くなってしまっているという想定外の事態も起こっています。
しかし、妹さんは、来年同じコンクールにチャレンジする事になっていますので、身近でその様子を見る事は、とてもよい経験になるかもしれません。
本番は、夕方から始まり、生徒さんの出番はなんと夜の7時半ごろでした。夜に本番を迎えるというのは、なかなか難しいものです。
普段の生活を思い出してみますと、大人の場合は、まだバリバリお仕事をされている方もいるでしょうし、この時間帯に習い事に通われている方もいらっしゃると思います。
しかし、小学生の場合、夕食が終わっていたり、または食べている最中の時間帯だと思います。
そのような、ほっと一息ついてリラックスしている時間帯に、高度の集中力と緊張感を持ってピアノを弾き、日ごろの練習の成果を披露して、しかも合否が付くというのは、かなり大変な事です。
生徒さんには、この時間帯に本番と同じようにピアノを弾くように、夜にピークを合わせる練習のアドバイスをしてきました。
そして本番当日、夜の本番に備えて、朝からピアノ教室のピアノで練習をするとのことで、私も気になって様子を見に行きました。
どんどん調子が上がってきて、良い状態だったので、これなら全国大会に行けるかなと、少し手ごたえを感じていました。
そして、本番の演奏ですが、なんとなく今ひとつ音楽に乗れず、後半は少し持ち直したかという演奏でした。
テクニックの面でも、これまで難なく弾けていた簡単なところで音が抜けてしまったり、ペダルが切れてしまうところもあり、緊張したのかと思いました。
後で聞いてみますと、緊張はそうでもなかったようですが、ペダルの踏み加減がちょっと慣れなかったようでした。
生徒さん自身も、満足には程遠い演奏だったようです。
本選の結果は、夜9時を回ってからの発表となり、生徒さんは、結果としてめでたく全国大会へ進めることになりました。
しかし、その後お母様とお話したところ、ご家族の中では、もうこれでコンクールは終わってしまった(本選で敗退)と思っていたと、おっしゃっていました。
上位の点数ですと、賞がいただけるのですが、そこには及ばず、本選通過者の中では、真ん中くらいの点数でした。
予選から比べますと、他の参加者も点数が下がっている方が多かったので、なかなか審査が厳しい本選会だったと思います。
審査員の先生方のコメントを見ても、「楽譜に書かれていないところで、リタルダンドをするのは良くないです」ときっぱりと書かれていて、改めて楽譜を正確に、しっかりと読み込む事の大切さを痛感しました。
本選では、通過する事が一番大切なので、まずはよい結果がいただけた事は喜ばしいことだと思います。
今度は、いよいよ全国大会です。
コンクールと言う性質上、1位を目指すという事になり、ある意味わかりやすい目標にはなりますが、もともと音楽は、他の人と比べて、どちらの演奏が上手なのかを決めるものではないと思います。
他の演奏者のあら捜しをして、私の方が勝ったとか、マイナス○点などと考えながら音楽を聴くのは、本来の楽しみ方とは大きくかけ離れるものです。
しかし、素晴らしい演奏を目指して頑張る事や、どうしたら自分の音楽を奏でる事が出来るのか、どうしたら伝えられるのかを学ぶ場としては、良いのかもしれません。
発表会とは違い、シビアな世界だからこそ、やりがいも感じるものです。
指導する立場としても、発表会以上に指導する責任の重さを感じていますし、なんとか生徒さんの頑張りを、素晴らしい結果に結びつけてあげたいと思っています。
残り少ない時間を有効に使って、悔いの残らない納得できる演奏が披露出来るように、全力でレッスンをしなければと改めて決意しました。
(この記事は、第166号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、ピアノコンクールのお話です。
先日、ピアノのコンクールに、小学生の生徒さんが出場されました。
コンクールは性質上、気軽に生徒さんにお薦め出来るものではありませんが、以前もコンクールに参加された事がある生徒さんで、年齢や弾いている曲など、もろもろのタイミングがよかった事もありお薦めをしたところ、またチャレンジする事になったのです。
前回は、かなりよい成績を収める事ができましたが、それはあくまで前回がそうだったという事で、またゼロからのスタートになります。
生徒さんも、毎日のようにお教室に来て練習を積み、お母様はその送り迎えをされ、ご家族が一丸となって頑張ってこられました。
そして、コンクール当日を迎えたのです。
発表会が開催されるようなホールで行われましたが、当然ながら雰囲気は全く異なります。
舞台上の発表会の看板や花の飾りなどは一切なく、舞台にはグランドピアノが一台置いてあるのみです。スポットライトのような華やかな明かりもありません。
客席は、少し怖いくらいの静寂さがあり、演奏前後の拍手が無いときもありました。
アナウンスも、演奏する人の受験番号だけです。
この独特の雰囲気のなか、下は未就学児から上は大学生まで、次々と、そして淡々と演奏が行なわれます。
楽屋で順番を待つ生徒さんとお話をした後、私は、客席で演奏を聴くことにしました。
生徒さんの演奏を客席で聴くことは意外に少ないのですが、とても緊張するものです。
よく発表会で、生徒さんの親御さんから、「私の方が緊張しちゃって・・・」というお話を聞きますが、その気持ちがよくわかります。
手に汗握る心境で、祈るような気持ちで、生徒さんの出番を待ちました。
舞台に上がった生徒さんは、きりっと引き締まった顔つきをしていて、集中しているように見えました。
演奏は、普段どおりの滑り出しで、大きな失敗もなく、上手にまとめました。
でも、やはり緊張したのか、いまひとつ生き生きとした感じが少なかったかもしれません。
生徒さんのお父様も、「(前回のコンクールと同じく)今回も、こじんまりとまとめましたね」とおっしゃっていました。
演奏後、生徒さんとお話をしましたが、生徒さん本人も「まあまあ・・・」という出来だったようです。
そして、結果が発表になりました。
思った以上の点数がいただけて、見事に予選突破です。本選に進めることになりました。
生徒さんもご家族も、まずはほっとされたようでした。
生徒さんと同じ部門に出場した方々の演奏も聴きましたが、数年前の時と異なり、かなり全体のレベルがアップしていて本当に驚きました。
見事、本選に進めることになったので、まずは祝福しましたが、来月には本選が控えています。
次の本選は、これまで以上に厳しい戦いになる事、そして、これまでよく頑張ってきましたが、これまでの頑張りの3倍は頑張らないといけない事を伝えました。
小学生に、このような厳しい事を伝えるのは、どうかとも思うのですが、先を目指す以上、そのくらいの覚悟が必要なのだとも思っています。
もちろん、レッスンを行う私自身も、しっかり覚悟が必要です。
まさに、身を引き締めて、残り少ないレッスンを、有意義に行えるようにしたいと思っています。
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