(この記事は、第175号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、今回は、大人の生徒さんのピアノレッスン復帰のお話です。
ゴールデンウィークのある日、ピアノ教室の事務所から電話がありました。
「先生、○○さんって覚えていらっしゃいますか?」
「えっ?」
だいぶ前に休会された生徒さんのお名前でしたので、とてもビックリしました。
「ええ。あ~、懐かしいですね。年賀状のやり取りはしているのですが… あの方は今頃、どうなさっているのかしら。」
「連絡がありましてね、来月から復帰されたいそうです。」
「ええ~っ!!」
思いもかけない内容の電話に、本当にビックリしました。
その後、メール連絡でレッスンの日時を決め、当日を迎えました。
この生徒さんは、一番最後の時間帯のレッスンなので、夜にいらっしゃるのですが、朝からなんとなくそわそわと落ち着かない気分になっていました。
そしてレッスンの時間が来ました。4年ぶりに生徒さんと再会です。
「いや~、あ~、先生もお変わりなく…」と、ほとんど変わらない風貌と満面の笑顔で再会を喜び合いました。
この生徒さんは、私がピアノ教室でレッスンを始めた時からの生徒さんで、これまでも、勤めておられる会社で部署が変わった時など多忙のため休会されたことがありましたが、その時も、数年後に復帰されていました。
今回は勤務地も変わり、とにかく激務ということで休会されましたので、復帰は難しいのかなと思っていました。
そのため、「まさか!」というくらい驚きの再会になりました。
「自分は田舎育ちだから、今の勤務場所が都会でおしゃれな街でしょ。もう、クラクラしちゃって。慣れないもんだね。」とおっしゃっていました。
「まだ忙しいことには変わらないんだけどね。だから、ずっとピアノの蓋も開けていなかったんだけど…。
でも、ようやく、ピアノをまたやってみようという気持ちの余裕が、ほんの少しだけど持てるようになって。そう思えるようになったのが、自分でも嬉しくてね。
いや~、でも、こうしてピアノの前にまた座れるとは。やっぱりいいねえ。ずっとやりたかったんだよね。」
お話をされている顔も、ピアノがまた弾けるという嬉しさでいっぱいの和やかな表情でした。
「本当にピアノがお好きなのだなあ」と思い、再会の喜びとともに、どんなに離れていてもピアノが好きというお気持ちに、とても感動しました。
そして、休会されていた4年間のお話に花が咲き、気が付けば、この日は、あっという間に時間が経ってしまいました。
後日レッスンが始まり、まずは、以前弾かれていた好きな曲を、もう一度弾けるようになりたいとの事で、楽譜をお持ちになりましたが、その楽譜を見て、またビックリしました。
それは、以前練習していたとき、苦労して弾いていた曲だったのです。
和音がとても多い作品で、例えば、3から5番の指にメロディーの音は動き、しかしその時、1番の指は伸ばしたままというような、一緒に弾く音の長さが異なるので、譜読みも大変ですし、正確に弾くことが、なかなか難しい曲なのです。
もちろん、その時は、最終的に弾けるようになったのですが、まさかそのような曲を、また選ぶとは思わなかったので驚きました。
今は、少しづつ思い出しながら、練習をしているところです。
長年ピアノのレッスンをしていて、嬉しく思う瞬間でした。
(この記事は、第171号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、お子様のピアノコンクールのお話しの最終回です。(これまでのお話は、以下の記事をご覧ください)
・ 独特の雰囲気のピアノコンクール当日(予選会)
・ なかなか厳しいピアノコンクール本選会
予選会、本選会と無事に通過して、いよいよ全国大会が行われました。
各地で本選会が行われたわけですが、東京はその中でも日程が最後だった事もあり、全国大会まで僅か2週間しかありませんでした。
そのため、レッスン時間を長くしたり、他の曜日でも追加のレッスンを行いました。
レッスンでは、演奏を録音して、一緒に聴きながら分析したり、曲をどのように弾いていくとよいのか資料を見たりもしました。
また、曲想を深める為に、外に出かける事もしました。
大人に比べて人生経験が少ないので、言葉ではなんとなく分かっていても、少し突っ込んだ質問をしますと、言葉が詰まってしまう事があります。
例えば、優雅な雰囲気で弾く曲の場合、本などでは「優雅な雰囲気」というものを知っていても、実際に体験した事がないので、本当には理解ができていないのです。
生徒さんのご両親の了解を頂き、外に出かけて体験をして、少しでも曲の理解が深まるようにしました。
全国大会直前には、ホールを借りて、本番さながらの雰囲気での練習もしました。
そして、いよいよ全国大会です。
早めに会場に行き、他の参加者の演奏を聴いてみましたが、とても素晴らしい演奏をしている方が何人もいて、本当に驚きました。
安定感抜群のテクニックと、少しの隙もなく、心地よく流れる音楽で軽々と弾きこなしていました。
審査員の先生方も食い入るように聴いていて、演奏後に拍手をしている先生がいた程です。
そして、自分の生徒さんの演奏ですが、少し硬さが出てしまっていました。そのためなのか、最後の方で、以前からやや不安だったところでミスが出てしまいました。
賞は頂けましたが、生徒さん本人が一番悔しそうでした。
全国大会という、本当に大きな本番に立てたというだけでも凄い事ですが、力を全て出し尽くせなかった事は、残念に感じました。
なかなか難しいものですが、生徒さんは、もう次の目標に向かってスタートしています。
私もこの経験を次に繋げて行きたいと思っています。
(この記事は、第169号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、お子様のピアノコンクール本選のお話です。
以前、ピアノコンクールの予選のお話をしましたが、今回はその続きになります。
先日、コンクールの本選会が行われました。
お子様対象のコンクールは、それぞれ色々な規定がありますが、今回生徒さんが挑戦しているコンクールは、予選会で1曲、本選会で1曲弾くことになっています。
つまり、コンクールが始まるまでに、2曲練習しておく事になりますが、まずは予選を突破しなければなりませんので、予選会の1・2ヶ月前からは、予選の曲を重点的にレッスンする事になります。
そして、先日めでたく予選を通過できましたので、それまで忘れない程度に弾いていた本選の曲を、本格的に練習しレッスンをしてきました。
本選の演奏の出来具合で、全国大会出場が決まる正念場となります。
また、仮に、めでたく本選を通過できますと、全国大会までわずか2週間ほどしかありませんので、本選の時に、全国大会で戦えるだけの完成度が必要になります。
レッスンも週2回に増やし、生徒さんだけでなく、ご家族も一丸となって頑張ってこられました。
連日たくさん練習をされているようで、妹さんの練習時間が少なくなってしまい、教材の進みが遅くなってしまっているという想定外の事態も起こっています。
しかし、妹さんは、来年同じコンクールにチャレンジする事になっていますので、身近でその様子を見る事は、とてもよい経験になるかもしれません。
本番は、夕方から始まり、生徒さんの出番はなんと夜の7時半ごろでした。夜に本番を迎えるというのは、なかなか難しいものです。
普段の生活を思い出してみますと、大人の場合は、まだバリバリお仕事をされている方もいるでしょうし、この時間帯に習い事に通われている方もいらっしゃると思います。
しかし、小学生の場合、夕食が終わっていたり、または食べている最中の時間帯だと思います。
そのような、ほっと一息ついてリラックスしている時間帯に、高度の集中力と緊張感を持ってピアノを弾き、日ごろの練習の成果を披露して、しかも合否が付くというのは、かなり大変な事です。
生徒さんには、この時間帯に本番と同じようにピアノを弾くように、夜にピークを合わせる練習のアドバイスをしてきました。
そして本番当日、夜の本番に備えて、朝からピアノ教室のピアノで練習をするとのことで、私も気になって様子を見に行きました。
どんどん調子が上がってきて、良い状態だったので、これなら全国大会に行けるかなと、少し手ごたえを感じていました。
そして、本番の演奏ですが、なんとなく今ひとつ音楽に乗れず、後半は少し持ち直したかという演奏でした。
テクニックの面でも、これまで難なく弾けていた簡単なところで音が抜けてしまったり、ペダルが切れてしまうところもあり、緊張したのかと思いました。
後で聞いてみますと、緊張はそうでもなかったようですが、ペダルの踏み加減がちょっと慣れなかったようでした。
生徒さん自身も、満足には程遠い演奏だったようです。
本選の結果は、夜9時を回ってからの発表となり、生徒さんは、結果としてめでたく全国大会へ進めることになりました。
しかし、その後お母様とお話したところ、ご家族の中では、もうこれでコンクールは終わってしまった(本選で敗退)と思っていたと、おっしゃっていました。
上位の点数ですと、賞がいただけるのですが、そこには及ばず、本選通過者の中では、真ん中くらいの点数でした。
予選から比べますと、他の参加者も点数が下がっている方が多かったので、なかなか審査が厳しい本選会だったと思います。
審査員の先生方のコメントを見ても、「楽譜に書かれていないところで、リタルダンドをするのは良くないです」ときっぱりと書かれていて、改めて楽譜を正確に、しっかりと読み込む事の大切さを痛感しました。
本選では、通過する事が一番大切なので、まずはよい結果がいただけた事は喜ばしいことだと思います。
今度は、いよいよ全国大会です。
コンクールと言う性質上、1位を目指すという事になり、ある意味わかりやすい目標にはなりますが、もともと音楽は、他の人と比べて、どちらの演奏が上手なのかを決めるものではないと思います。
他の演奏者のあら捜しをして、私の方が勝ったとか、マイナス○点などと考えながら音楽を聴くのは、本来の楽しみ方とは大きくかけ離れるものです。
しかし、素晴らしい演奏を目指して頑張る事や、どうしたら自分の音楽を奏でる事が出来るのか、どうしたら伝えられるのかを学ぶ場としては、良いのかもしれません。
発表会とは違い、シビアな世界だからこそ、やりがいも感じるものです。
指導する立場としても、発表会以上に指導する責任の重さを感じていますし、なんとか生徒さんの頑張りを、素晴らしい結果に結びつけてあげたいと思っています。
残り少ない時間を有効に使って、悔いの残らない納得できる演奏が披露出来るように、全力でレッスンをしなければと改めて決意しました。
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