(この記事は、第137号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「ピアノ教室の出来事」は、年末のピアノレッスンのお話です。

いよいよ、今年も残りわずかとなりました。

小さい頃は、クリスマスにお正月とイベント続きのこの季節はワクワクして楽しい気分になったものですが、大人になりますと、そのような気分になる一方で、あと少しで今年も終わってしまうという焦りのようなものを感じます。

昔と違って、ハロウィンが終わると早々にクリスマスの飾りを見かけるので、クリスマスツリーを見て焦るという事はありませんが、12月に入って生徒さんへ送る年賀状の準備を始めると、今年も残り少ないことを感じます。

なんとなく、バタバタとせわしない気分になりますが、ピアノ教室に来られている生徒さん方も、どうも同じような心境のようです。

「特に何をするという事でもないんだけど、なんとなく気忙しくて・・・」とおっしゃる生徒さんもいます。

私のクラスでは、そのような事もあり、月2回の大人の生徒さんは、12月中旬にレッスンを終了し、年明けは1月中旬くらいからレッスンを行うようにしています。

そのため、先週から年明けのレッスン日を決めたり、今年1年の挨拶をしています。

年末年始のご予定を生徒さんに聞いてみますと、今のところ、特に決まっていない方が多いようですが、毎年旅行に行かれている方もいて、羨ましい限りです。

お子様は、まだ最後のレッスンが残っていますが、気分はクリスマス一色の様です。

小学5年生の生徒さんに、「クリスマスがもうすぐね。楽しみよね!」と話しますと、

「もう来た!」

「えっ!?」

思いがけない返答に戸惑いつつ、慌てて「あっ、そうなの。あら~いいわね。」と言葉を続けました。

この生徒さんは、サンタの正体を知っているのですが、知ったときの衝撃は相当大きかったようです。

もうだいぶ経つのですが、今でも「サンタさんの正体はママです。って言われた時、本当にショックでね…」と話しています。

「そうだったの。見つからないようにするのって、難しいのよね。大きくなって、○○ちゃんがお母さんになったら、見つからないように頑張ってね。」

と、あまり上手なフォローになっていませんが、このような言葉をかけました。

この生徒さんには、年の離れた弟さんがいるのですが、まだ小さいので、

「サンタさんって、ホントに、ホントにいるの? って聞いてくるの」

と、クスッと笑いながら話していました。

「○○ちゃんは、サンタさんのこと、もう知っちゃったけど、弟くんはまだ小さいから、内緒にしておいてあげようね!」

「うんっ!」

サンタ役も、なかなか難しいのですね。

小学1年生の生徒さんの場合は、クリスマスが楽しみな一方で、少し微妙な気持ちを抱いているようです。

なんと、「サンタさんが怖い!」というのです。

これもまた想定外の答えに驚きつつ、聞いてみますと、

「だって… 暗いときに来るし、姿が見えなくて怖い!」

なるほど、確かに得体の知れないものなので、恐怖心を持つという捉え方もあるのだと思いました。

「夜は、◇◇ちゃんが寝てるから、起こすわけにもいかないじゃない? サンタさんも、たくさんのお家へ行かないといけないから、忙しいのよ!」

「そうか!」

普段から多くのお子様と接していますが、答え方が難しい話題だと思いつつ、しかし、物事の捉え方は、人によって大きく異なることを改めて感じる季節です。

いずれにしても、皆様にとって、楽しいクリスマスになることを願っています。

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(この記事は、第135号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「ピアノ教室の出来事」は、大人の生徒さんのピアノ選びのお話です。

この大人の生徒さんは、15年以上もピアノ教室に通われています。それまでピアノを弾いた経験が全く無く、指番号などの初歩から始めました。

大人の初心者の教材を2冊ほど制覇された後は、お好きな曲を弾くという進め方をしています。

月2回のレッスンに熱心に通われ、発表会も毎年のように参加されています。

これまでに、ベートーヴェン作曲の月光 第1楽章、ショパン作曲の遺作 ノクターン、サティ作曲のジムノペディなどを弾いています。

音楽を聴くこともお好きで、耳も肥えていますので、レッスンで使用しているグランドピアノについても、音色など時々鋭い指摘をされ、私のほうがドキッとしたこともありました。

そんな生徒さんですが、ご自宅ではずっと電子ピアノで練習をされています。

生のピアノとの違いは、十分お判りのはずですが、なかなかご自宅の楽器についてお話する機会を作ることができず、年月が経ってしまいました。

発表会前には、職場にあるピアノを使用されたり、ピアノ教室でレンタル等も利用されていました。

そして、2ヶ月ほど前のレッスンで、自宅で使用されているピアノの話になりました。

「○○さんほどレッスンも進んでいて、耳も肥えて、こだわりのある方が、今でも電子ピアノで練習しているなんて、ちょっと考えられない状況ですよ」とお話をしますと、「そ~お??」と、少し笑みを浮かべてまんざらでもない表情をされました。

「思ったことを正直に申し上げますが、○○さんでしたら、べヒシュタインがピッタリだと思いますよ。音がとてもクリアで、○○さんのお好きなフランスものの音楽には、とても合うんです。ドビュッシーが愛用していたメーカーのピアノで、世界3大ピアノとしても有名ですね。とても良い楽器なので、なかなか高価ですが。」

とお話をしました。

そして、一緒にべヒシュタインのピアノを見に行ってみました。

実際に何台か弾いて、響きやタッチを確かめていましたが、かなり気に入った雰囲気で、好感触という印象でした。この日は下見で終わりましたが、週末にもう一度足を運び、営業の担当者と具体的な話を進めるということになりました。

それから10日ほど経ち、○○さんがピアノの購入をやめたという連絡がありました。ピアノ購入にかなり積極的な姿勢だったので、私も驚きましたが、レッスンにいらした時にお話を聞いてみました。

「ピアノ買うの止めた。だって、高いんだもん。」

「歴史もあって、こだわって丁寧に作られていますから、いい物はやはりそれなりの価格になるんですよね。でも、良い楽器だとモチベーションも全く違いますし、練習もはかどりますよ。今より楽しく練習ができるので。まあ、海外のピアノはいいですが、やはり高いので、結局国産のピアノに落ち着くんですよね。」

とお話しますと、ピアノを弾きながら、

「でも、やっぱり生のピアノはいいねえ。やっぱり買おうかな。消音できるピアノを」

「お仕事をされている方は、帰宅後にピアノの練習をしますから、消音機能が付いている方が、現実的なのかもしれませんね」

ということで、後日改めて消音機能が付いたピアノの説明を聞くことになりました。

昔と違ってピアノを習っていても、自宅の練習で使用している楽器が、電子ピアノという生徒さんが珍しくなくなってきています。

しかし、電子ピアノは、生のピアノとは似て非なる楽器で、いろいろな問題点も指摘されています。なにより、自分の指で音色を創り出すという大きな楽しみが全くできません。

大人の方が趣味でピアノを弾くときには、他の趣味と同様に、もっとピアノという楽器そのものにこだわってみても良いのではないかと思います。

この生徒さんも、今後ますます楽しくピアノが弾けるようになればと思っています。

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(この記事は、第134号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「ピアノ教室の出来事」は、大人の生徒さんの発表会のお話です。

先日、大人の生徒さんの発表会が行われました。お子様の夏の発表会から始まり、今年最後の大きなイベントでした。

お子様の場合、ピアノ発表会はレッスン回数の中に組み込まれていますが、大人の生徒さんの発表会参加は任意になっています。

上達を第一目的に掲げているお子様と違い、大人の生徒さんのピアノレッスンの目的は、様々だからです。

そのため、大人の生徒さんは、毎年参加される方もいれば、毎年発表会には参加せず「レッスンのみでよい」という方もいらっしゃいます。

参加されない生徒さんにお話を伺いますと、「恥かしいから」「人前で弾くなんて、いや、いや・・・」というお答えや、小さい頃に習っていた生徒さんは「昔、何回も出たので、もういいかなあと思って」というお答えもあります。

どのくらい弾けるのかというレベルやレッスンの年数には関係なく、生徒さんによってお考えは大きく異なるようです。

今年の発表会は、ピアノだけでなく、ヴァイオリンや声楽の生徒さんと合同になりました。普段、ご自分の演奏する楽器以外の音楽を聴く機会は少ないので、良いきっかけにもなったようでした。

ピリピリとした緊張感のあるお子様の発表会とは異なり、やや和やかな雰囲気の中、発表会は始まりました。

生徒さんが演奏の準備をしている間に、レッスンを担当している私達講師が、生徒さんへ向けたコメントを読み上げます。普段の生徒さんの様子やお人柄を話し、より興味を持って演奏を聴いて頂けるようにしています。

そして、実際の演奏では、普段お忙しくても時間を作ってレッスンに通い、コツコツと地道に練習を重ねてきた様子が伺えました。

ご高齢の生徒さんも何人もいらっしゃいました。自分が同じ位の年齢になったときに、こんなにもお元気で向上心を持っていられるのかと思い、今後の自分のあり方の目標にもなりそうでした。

今回は、大人になってからピアノを始められた方が主に参加する発表会なので、気軽に参加できる雰囲気なのですが、それでも舞台の上でスポットライトを浴びて演奏しますので緊張するようです。

普段は余裕を持って弾けているような方でも緊張して間違えてしまい、なかなか先に進めなかったり、音楽にいまひとつ乗り切れないまま終わってしまった方もいました。

また、指はいつも通りに動かせても、ペダルの感覚が掴めず、ペダルを踏んでいるのに効果があまり出なかったような方もいらっしゃいました。

ヴァイオリンやフルートのように、普段の練習でも、レッスンでも、本番でも、常に自分の楽器を使用できるのとは異なり、ピアノは色々な場面でその場にある楽器を使用しなければならず、それでいて、いつも通りの演奏を要求されるのですから、なかなか酷な状況とも言えます。

それでも、熱意溢れる演奏が次々と披露されていました。

娘さんのピアノ伴奏に合わせてヴァイオリンを披露された方や、オペラのアリアを披露された生徒さんは、華やかなドレスを着て、その役になりきって演技をしながら歌われていました。

演奏後は、ほっとされて安堵の表情をされている方や、「本番でいつも通りに演奏するのは難しいねえ」と感想を話されている生徒さんもいらっしゃいました。

たくさんの大人の生徒さん方が参加されますので、毎回違うメンバーになることが多いのですが、また来年はどのような発表会になるのか楽しみです。

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