(この記事は、第135号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「ピアノ教室の出来事」は、大人の生徒さんのピアノ選びのお話です。

この大人の生徒さんは、15年以上もピアノ教室に通われています。それまでピアノを弾いた経験が全く無く、指番号などの初歩から始めました。

大人の初心者の教材を2冊ほど制覇された後は、お好きな曲を弾くという進め方をしています。

月2回のレッスンに熱心に通われ、発表会も毎年のように参加されています。

これまでに、ベートーヴェン作曲の月光 第1楽章、ショパン作曲の遺作 ノクターン、サティ作曲のジムノペディなどを弾いています。

音楽を聴くこともお好きで、耳も肥えていますので、レッスンで使用しているグランドピアノについても、音色など時々鋭い指摘をされ、私のほうがドキッとしたこともありました。

そんな生徒さんですが、ご自宅ではずっと電子ピアノで練習をされています。

生のピアノとの違いは、十分お判りのはずですが、なかなかご自宅の楽器についてお話する機会を作ることができず、年月が経ってしまいました。

発表会前には、職場にあるピアノを使用されたり、ピアノ教室でレンタル等も利用されていました。

そして、2ヶ月ほど前のレッスンで、自宅で使用されているピアノの話になりました。

「○○さんほどレッスンも進んでいて、耳も肥えて、こだわりのある方が、今でも電子ピアノで練習しているなんて、ちょっと考えられない状況ですよ」とお話をしますと、「そ~お??」と、少し笑みを浮かべてまんざらでもない表情をされました。

「思ったことを正直に申し上げますが、○○さんでしたら、べヒシュタインがピッタリだと思いますよ。音がとてもクリアで、○○さんのお好きなフランスものの音楽には、とても合うんです。ドビュッシーが愛用していたメーカーのピアノで、世界3大ピアノとしても有名ですね。とても良い楽器なので、なかなか高価ですが。」

とお話をしました。

そして、一緒にべヒシュタインのピアノを見に行ってみました。

実際に何台か弾いて、響きやタッチを確かめていましたが、かなり気に入った雰囲気で、好感触という印象でした。この日は下見で終わりましたが、週末にもう一度足を運び、営業の担当者と具体的な話を進めるということになりました。

それから10日ほど経ち、○○さんがピアノの購入をやめたという連絡がありました。ピアノ購入にかなり積極的な姿勢だったので、私も驚きましたが、レッスンにいらした時にお話を聞いてみました。

「ピアノ買うの止めた。だって、高いんだもん。」

「歴史もあって、こだわって丁寧に作られていますから、いい物はやはりそれなりの価格になるんですよね。でも、良い楽器だとモチベーションも全く違いますし、練習もはかどりますよ。今より楽しく練習ができるので。まあ、海外のピアノはいいですが、やはり高いので、結局国産のピアノに落ち着くんですよね。」

とお話しますと、ピアノを弾きながら、

「でも、やっぱり生のピアノはいいねえ。やっぱり買おうかな。消音できるピアノを」

「お仕事をされている方は、帰宅後にピアノの練習をしますから、消音機能が付いている方が、現実的なのかもしれませんね」

ということで、後日改めて消音機能が付いたピアノの説明を聞くことになりました。

昔と違ってピアノを習っていても、自宅の練習で使用している楽器が、電子ピアノという生徒さんが珍しくなくなってきています。

しかし、電子ピアノは、生のピアノとは似て非なる楽器で、いろいろな問題点も指摘されています。なにより、自分の指で音色を創り出すという大きな楽しみが全くできません。

大人の方が趣味でピアノを弾くときには、他の趣味と同様に、もっとピアノという楽器そのものにこだわってみても良いのではないかと思います。

この生徒さんも、今後ますます楽しくピアノが弾けるようになればと思っています。

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