駅ピアノで連弾


2022年6月12日


(この記事は、2022年5月30日に配信しました第348号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、駅ピアノのお話です。

ピアノ教室がある最寄り駅とその周辺で、週末の2日間イベントが行われ、そこに駅ピアノが登場することになりました。そこで演奏しませんかという話が舞い込み、他のピアノの先生と連弾で参加することになりました。

曲目選びからスタートしましたが、演奏時間から3曲くらいは用意する必要がありました。まずは、1曲ポピュラーの曲を決めて、そこからちょっと雰囲気の異なるものという事で、小さいお子様も楽しめるようなディズニーの曲、それからクラシックの曲という順番で曲目を決めていきました。

昔とは異なり、今では楽譜もインターネットで買える時代ですし、サンプルを見て曲の難易度やアレンジも少し見れるので、本当に便利になりました。お互いにメールやLINEで連絡を取りながら楽譜を探して、様々なアレンジのサンプルを見て購入してみたところ、思った以上に簡単すぎて、これでは使えないという事になり慌てて一番難しそうなアレンジを探して、再度購入するというハプニングもありました。

インターネットで見るサンプルは、曲のごく一部のみなので、雰囲気はなんとなくわかるのですが、逆にその程度しかわからないのが難点です。その点、楽譜屋さんに足を運べば、曲のアレンジ全てを直接見て確認することができるので、時間が取れるのであれば、やはり直接お店でチェックした方がよいのだなあと感じました。

一番難しそうなアレンジではありますが、それでも簡素な感じは否めないという事で、プリモ(高音部担当)の先生が、ご自分で音を増やしてアレンジして弾く事になりました。

ディズニーの曲については、たくさんの楽譜があり、どれも有名な曲で人気のありそうな曲ばかりなので、多すぎて曲を選ぶのが大変でした。1曲に絞ることが難しかったのでメドレーを選んで、3曲弾けてお得という感じにすることにしたのですが、ディズニーのメドレーも、またいろいろと曲の組み合わせがあり、幅広い認知度と人気に改めてディズニー音楽の凄さを感じました。

2曲目をポピュラーの曲目にしたので、後半はクラシックの音楽という事で、有名で曲の長さがお手頃なエルガー作曲の「愛の挨拶」を選びました。原曲はヴァイオリンとピアノ伴奏ですが、原曲の美しさを損なわず、むしろ原曲以上に原曲っぽい雰囲気でステキなアレンジでした。

この3曲を用意して、練習をしていたのですが、その後、駅ピアノでの演奏の話をくださった方から、演奏時間を当初の予定より倍長くというリクエストがあり、急遽以前弾いたことのある、チャイコフスキー作曲のバレエ音楽「花のワルツ」を弾く事にしました。以前、今回連弾をする先生と一緒に弾いたことがあるのですが、だいぶ前という事もあり、しまい込んだ楽譜を探すところから始まり、慌てて譜読みをし直して練習を始めました。

それぞれ自主練をして、その後、合わせの練習となりますが、仕事場では全く予定が合わず、しかし幸い自宅が比較的近いので、先生のご自宅に伺って合わせの練習をする事になりました。そもそも、時間の余裕があまりない状態でのスタートでしたが、合わせの練習が本番10日前を切っていました。

ピアノの曲を弾くという点では、1人で弾いても2人で弾いても、そう大差は無いと思えるかもしれませんが、似て非なるものです。例えば、楽譜の書き方がソロとは異なり、相手のパートが自分の見て弾く楽譜の直ぐ上に書かれていることもあれば、隣のページに並行して書かれていることもあります。直ぐ上に書かれている場合は、そんなに問題はないのですが、隣のページに書かれている場合には、常に左右どちらかのページを見続けて弾く事になります。楽譜は、通常左のページを見たら、次は右のページを見て弾きますから、うっかりするとめちゃくちゃな事になります。ページをめくるタイミングがない場合にはコピーなどをして、譜面台に数ページ分並べておくのですが、その場合には、1ページ飛ばしで見ることになりますので、ますます頭が混乱しかねません。

演奏についても、ソロよりもっと細かい配慮が必要になります。強弱記号一つとっても、自分が思っている「ピアノ」という強さの音と、相手が思っている「ピアノ」という音の強さが異なりますので、揃えることが必要になります。テンポについても同じで、「ゆっくり目」と言っても感覚が異なるので、具体的に4分音符=○○というように、メトロノームの速度をきっちり決めておく場合もあります。

更に、フレーズごとの間についてはもっと難しく、「ちょっと待つ」とか「たっぷり目に間を取って」なども、全て相手とは感覚が異なりますし、それぞれクセもあるかもしれませんので、ますます大変になります。そこを、如何にぴったりと揃えるかが大切です。話し合いで決めることもあれば、メロディーを弾いている方のタイミングに合わせることもあります。

それから、最初の合わせの練習の時に、決めないといけないことがあります。それは、手が交差するところで、どちらが鍵盤のどこを弾くのかという問題です。連弾は、高音部の方に座っている人が、真ん中あたりから高い音を弾き、低音部の方に座っている人が、真ん中あたりから低い音を弾くのですが、時々、高音部の人の左手よりも、低音部の人の右手が高い音を弾く事があるのです。その際、どちらが鍵盤の手前を弾き、どちらが鍵盤の奥を弾くのか、どちらが、腕を低い体勢にして弾き、どちらが腕を持ち上げて弾くのかという事を決めるのです。

原則的には、メロディー担当が弾きやすい方の体勢をとりますが、弾きながら次の小節でサッと体勢を変えて、演奏に支障をきたさないようにすることも、きちんと決めてスムーズにできるように練習する必要があります。

また、低音部のパートを弾く人は、ペダルを使用します。ペダルも、ソロと連弾では大きく異なります。1人で弾く場合には、自分で弾いている音に対してペダルで響かせるのですが、連弾の場合には、相手の音に対しての響きや、2人で弾いた音に対してもペダルを踏むことになります。そのため、1人で弾いている時に、自分のパートがきれいに響くペダルを踏むだけではなく、相手のパートも弾いてみて、ペダルを踏んだ方がよいところを見つけて最適にペダルを踏むことになります。また、両方のパートの音が鳴った時の全体の響きのことを考えて、ペダルを踏み変えたり、段々と浅くしたり、長くしたりと調整をします。このペダリングが、低音部のパートの一番難しいところと言えるかもしれません。

さて、当日ですが、事前に最終の合わせの練習をしてから駅に向かいました。既に思った以上の人出があり驚きましたが、それ以上に、普段のレッスンでは、まだ若干緊張している今月入会したばかりの小学生の生徒さんが、ニコニコしながら最前列で手を振っていたのは、本当にびっくりしました。

駅なので人通りもありますし、ザワザワした感じはもちろんありましたが、楽しく弾けましたし、1曲弾くごとに拍手もいただけて無事に終えることができました。休日にもかかわらず、あちこちに生徒さん方のお顔が見られて、ご家族で聴きに来てくださり感激しました。思えば、コロナの影響で、3年間も発表会の講師演奏が出来ずにいましたので、久しぶりに生徒さん方に聴いていただける機会にもなり、良かったなあと思いました。

来週は、お子様の生徒さん方の発表会があります。「今度は、みんなが本番だよ。頑張ろうね」と声をかけましたが、私も最後のレッスンをしっかりと行いたいと思います。

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(この記事は、2022年5月16日に配信しました第347号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、パイプオルガンのお話です。

オルガンと聞きますと、ある方はかつて小学校などにあった足踏みオルガンを、ある方はエレクトーンの事をイメージされるようですが、クラシック音楽の世界では、パイプオルガンの事を示します。

オルガン(パイプオルガン)は、ピアノよりも昔に作られた鍵盤楽器で、紀元前には既に存在していたという大変歴史がある楽器です。たくさんのパイプに空気を送り込んで音を出します。昔は、人力で空気を送り込んでいたようですが、現在では機械で空気を送り込み、音を出しています。

教会のミサなどに使われますので、主に教会に設置してありますが、ご存知の通り大きなコンサートホールにも設置されています。見た目にも音量にも圧倒される楽器ですから、ちょっと触ってみたいと思われる方も少なくないと思います。私も以前から、あの大迫力のオルガンが好きでコンサートにも行きましたし、ピアノでバロック期の作品を弾いていて、「これはピアノで弾くよりも、オルガンでじゃ~んと弾いた方がはるかに似合いそう」と思っていましたが、今春からオルガンのレッスンを受けることになりました。

実際にオルガンを弾いてみますと、なかなか大変な事が多く、ピアノとはだいぶ違うなあという印象を持ちました。少し例を挙げてみたいと思います。

ピアノは、88鍵の鍵盤が1列に並んでいて、右へ行くほど高い音、左へ行くほど低い音が出ます。オルガンも基本的には同じなのですが、オルガンのサイズによって鍵盤の列数が異なり、2段鍵盤や4段鍵盤などがあります。それにプラスして、足鍵盤もあります。ですから、ピアノは真ん中のドというと、1つしかなく体の真ん中より若干左側にあるわけですが、オルガンは複数あり当然体からの位置関係も異なってきますし、足鍵盤に至っては楽器の中央からかなり右側にあります。

右手、左手、足の3パートを同時に演奏しますので、楽譜もピアノとは異なり、常に3段譜になります。ピアノの場合、時たま3段譜がありますが、その場合ももちろん両手で弾きますよね。通常のピアノの楽譜で弾いてみると、3パートの曲だったという事もあります(バッハのシンフォニアなど)。

足は、両足で1パートを演奏するのですが、ピアノの指番号のように、どちらの足で演奏するのかを決めておかないと、大変な事になります。いつも交互に使うわけでもなく、でもエレクトーンのように左足ばかりでもありません。しかも、2オクターブ以上の足鍵盤を自由自在に両足で弾きこなすことは、本当に至難の業で四苦八苦します。

指で弾く鍵盤の方は、曲のスタイルなどによって、ピアノのように同じ列の鍵盤を両手で弾く事もあれば、右手は上の方の鍵盤、左手は下の方の鍵盤を弾くこともあり、場合によっては左手が上の方の鍵盤という事もあります。鍵盤の列ごとに音色を変えますので、フレーズの音楽の特徴を踏まえて、鍵盤を選ぶようです。左右で弾いている鍵盤の高さが異なるので、慣れるまでは何となく不思議な感じがします。エレクトーンを弾いたことがある方は、スムーズに演奏できるのかもしれませんね。

そして、オルガンを弾き始めて感じる最大の難関が、足が左手につられてしまうという事です。ピアノの場合、右手は高音部、左手は低音部に分かれて、主に右手でメロディーを、左手で伴奏を弾きます。ですがオルガンは、常に右手、左手、足の3本を同時に使い、左手と足が低音のようになります。もちろん足鍵盤の低い音はとてつもなく低い音も出せますが、同じような音域を使うので、今出ている音が左手で弾いている音なのか、足で弾いている音なのか、また次の音はどちらで何の音を弾くのか、ごちゃまぜになってきます。そもそも、足鍵盤自体もちらちら見ながら弾いているわけですから、ずっと楽譜を見て弾くわけにもいかず、ますますこんがらがってきます。このような状況は、オルガンの先生曰く、あるあるなのだそうです。そのため、ピアノで練習をして手だけでは暗譜で弾けるくらいにしておいても、いざオルガンで弾きますと、あちこち間違いだらけで、最終的には自分が何をやっているのかも危うくなってくるのです。

このように、オルガン初心者の私が弾くと、まるで格闘技のような優雅さのかけらもなく単に音を出すだけの間違えずに弾ければ上出来みたいな演奏になり、レッスン中は冷や汗をかきっぱなしで、終わるとヘロヘロになっています。

さて先日、オルガンの先生がリサイタルをなさるという事で聴きに行ってみました。会場は、コンサートホールではなく大学の中にある礼拝堂で、それだけでなんとなく厳かな気分になるものですね。

前半がバロック期の作品で、後半が近現代の作品というプログラムになっていました。バロック期のオルガンの作品は、普段ピアノでバッハなどを弾いている時と同じような感じなので、聴きやすく、ピアノではいろいろな声部(パート)を指のタッチで音色を変えるところを、オルガンでは、フルートの音の次にオーボエの音などのように、ダイレクトに音色がガラッと変わるので、ピアノよりもはるかにわかりやすくなります。

近現代の作品は、作品ごとにだいぶ変わるのですが、和音の響きがとても面白く、箇所によってはゲームのBGMの電子音をすごく高級感あふれる音にしたような雰囲気もあり、とても興味深かったです。

ピアノの音は、音が出ると後は自然に減衰していきますが、オルガンは音を出したときの強さのまま、減衰することなく音を出し続けることができるので、音の重なりがとてもよく聴こえます。

私は、大苦戦しながらオルガンを練習していますが、プロのオルガニストが演奏しますと、そのような格闘している様子は全くなく、涼しい顔で優雅に演奏していて、天から美しい音が降ってくるかの如く響き渡っていました。

近年では、大ホールなどで短時間のオルガンコンサートが開催され、無料だったりかなりお手軽な価格で聴くことができます。ピアノよりも古い歴史がある鍵盤楽器の音色を聴くことで、ピアノで弾くときの音色の工夫などに大変参考にもなるかと思います。ご興味のある方は、オルガン演奏会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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(この記事は、2022年5月2日に配信しました第346号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、ゴールデンウィーク前のピアノ教室の様子です。

ぽかぽか陽気の日もあれば、夏日もあり、そうかと思えば急に冷え込んで肌寒い日もあり、目まぐるしく天候が変わる今日この頃です。

数年ぶりの緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が無いゴールデンウィーク期間を迎え、生徒さん方からもお出かけの予定をちらほら聞くようになりました。そうは言っても、お子様の生徒さん方は、6月に発表会を控えていますので、楽しくお休みを過ごしていただきつつ、ピアノの練習にも精を出していただけたらいいなあと、少し欲張りな気持ちを抱いてしまいます。

発表会で大好きなアニメの曲を弾く生徒さんは、今週もご機嫌な様子でピアノを弾いていました。裏拍に音を弾くところが多いのですが、少し曖昧なタイミングで弾いている所があったり、少し音が飛ぶところで一瞬間が空いてしまっている所がありましたので、その個所を重点的にレッスンを行いました。相変わらず、「難し~い」やら、時には悲鳴のような雄叫びを上げたりもするのですが、受け止めつつも何回も反復練習を行い、正しいリズムを覚えることと、自分の演奏がきちんと出来ているのか否かを判別できるようにしました。

後ろで聴いているお母様が、レッスン後に「いや~、なかなか難しいリズムで、私はよくわからないのですが…大丈夫かしら?」と少し心配そうにお話をされていましたが、「レッスンでも何回も正しいタイミングで自力で弾けていますし、違うときに違うという事も聴き取れて修正できていますので大丈夫です」「ね、何回も成功していたもんね」と生徒さんに話を振りますと、「うんっ!」と力強く頷いていました。どちらかというと、自信満々で弾くタイプではないのですが、着実に完成に向かっていて頼もしいなあと思いました。

一方で、自信満々で弾くタイプの生徒さんは、かなり安定して楽しそうに発表会の曲を弾いていました。少し短めの曲を選んでいたこともあり、かなりまとまってきていましたので、「もう1曲、発表会で弾いてみましょうよ」と聞きますと、生徒さんも同席されているお母様も、パッと嬉しそうな笑顔を見せていました。候補の曲を数曲ご紹介して、それぞれの曲の解説や難易度などをお伝えし、聴き比べていただいたところ、少し面白いタイプの曲を選んでいました。

先日、初レッスンをしたのですが、楽譜を広げたところ、「あっ」というリアクションをしていましたので、「もしかして、思ったよりも長い曲で、選んだことを少し後悔している?」と冗談でお話したところ、少し苦笑されていました。どうやら、図星だったのかもしれません。「確かに、1曲目に比べると長いから、あら~と思うかもしれないけれど、曲の作りを見ていくとどうかなあ? 一緒に見てみましょ」という事で、楽曲分析(アナリーゼ)をしてみました。

場面で区切って番号を振ることを、いつも一番最初に行っています。生徒さんと一緒に考えながら曲を区切っていき、「あれ、これってなんだか聴き覚えがあるよね?」と尋ねると、「あっ、(1)と同じだー」「そうそう、全部同じなんだよね。だから、(1)番が弾けると、ここは練習しなくても弾けちゃうね」「ここは、(1)とほとんど同じなんだけど、高さだけ違うんだよね。1オクターブ高くして弾くだけだから、すぐ弾けそうだね」などと、ワイワイ楽しく分析をしていきました。終わった時には「な~んだ。難しそうだと思ったけれど、簡単じゃん!」と話していて、同席されていたお母様も、苦笑いをされているような様子でした。

早速、左手の伴奏の練習から弾き始めましたが、伴奏もパターンがありますので、それがわかるとかなり弾きやすくなります。生徒さんも、あっという間にわかり、伴奏の軽快な動きにノリながら楽しそうに弾いていきました。その後、生徒さんの左手の伴奏に、私がメロディーを弾いて、全体の音楽の流れや両手で弾いた時のイメージを掴むこともしてみました。

次に、右手のメロディーも少し練習をしてみましたが、変拍子の曲なので、音を伸ばした後の次に弾く音のタイミングが少し難しく、遅かったり速かったりしていましたので、「私が、3と数えたらこの音を弾いてね」とお話をして練習をしてみました。「あれっ? まだ2しか言ってないよ~」というと「あー!間違えたあー」と叫んだりして、なんだかだいぶ盛り上がった雰囲気でレッスンが終わりました。

初めて弾くタイプの曲なのですが、1回目からいろいろと曲が見えてきていますし、曲の特徴的な拍子感を割とすんなり受け入れているようですので、今後も順調に曲の仕上げまで進めそうな感じがして、私も楽しみです。

少し前から通っておられる80代後半の生徒さんは、お好きな曲を毎回熱心に練習をしているのですが、若干スランプ気味というのか、ジレンマを抱えている様子でした。ご自分で弾いていても、曲になっていない気がするそうで、「なかなか指も思うように動かないし、曲が難しいことは承知していたけど、この続きの変奏部分は難し過ぎて到底弾けない気もするし、自分も年だからここまでかと限界もわかっているんだけれど。以前習っていた先生からもらった簡単にアレンジした曲を弾いたら良いのかもしれないけれど、どうもつまらない気がして弾きたくないし。曲も、元々ピアノソロの曲ではないし、プロが演奏しているので、とっても速くてなんだか同じ曲を弾いているように思えない」というようなお話をされていました。

「今弾いている部分の先にある、変奏部分の数曲については、プロでもコンサートなどでは変奏を抜粋して弾く事もありますし、かなり難しくなるので、まずは今弾いている箇所までということにしましょう」というお話をしました。そして、曲には、ある程度適切なテンポ感があり、弾き慣れている最初の部分を少しテンポを速く弾く練習をすることで、曲のイメージに近づけることや、楽しみでピアノを弾いていらっしゃるので、無理に好きではないアレンジの曲を弾く必要は無いと思うという旨のお話もしました。

早速、少し速めのテンポで弾く練習をして、どの箇所に間が空いてしまっているのかをチェックして、正しいテンポで弾くとどのような音楽の流れになるのかも確認をしました。そして、「参考ということで、ちょっと私が弾いてみますね」と言って、弾いてみました。弾き終わりますと、「いや~、自分のとは全然違いますね。でも、これまで何人もピアノの先生にピアノを教えてもらいましたが、先生にピアノを弾いていただいたのは初めてなので。こういう風になるんですね。今日は、本当に良い日になりました」とおっしゃりながら、何回もお辞儀をしていました。「あら~、そうでしたか。なんならジャンジャン今後も弾きますので」とお答えをしますと、笑顔を見せていました。

ご高齢の生徒さんは特に、なかなか思うように指が動かず、ご自身がイメージする演奏とのギャップを感じてしまう事があります。それでも、日々の練習で、以前よりも指のコントロールは付いてきていますし、後は、イメージ通りの演奏にするための最適なアドバイスと、その練習を一緒に進めて行くことが必要となりますが、何よりも、生徒さんが感じている事やお気持ちに寄り添うことが大切なのだと改めて感じました。

生徒さんが、今後も日々の生活の楽しみとしてピアノと関われるよう、そしてずっと続けられるように、私も頑張りたいと思います。

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