(この記事は、第151号のメールマガジンに掲載されたものです)

お子様の夏の発表会が近づいてきました。

本番まで1ヶ月を切り、毎回のレッスンでは、カレンダーを見せながら、「本番はいつだっけ? 今日は何日かな? 本番まで、あと○回しかレッスンがないからね」と、残りの日にちやレッスンの回数を強調して、お話をしています。

以前も書きましたが、大人と子供では時間に対する感覚が違うようで、大人の方は、本番まで1ヶ月を切りますと「いよいよ近づいてきた」と感じて、「あと○回しかレッスンがない」と焦りを覚える方が多いのですが、お子様の場合、1ヶ月という時間はまだまだ先と感じるようで、「まだ○回も、レッスンがあるんだ」と思うようです。

この事に気付いてからは、お子様には、良い意味で少しプレッシャーをかけ、最後のひと頑張りができるように促しています。

しかし、今回お話させていただく小学校6年生の生徒さんは、珍しく「もう、それしかレッスンがないの!?」と感じるタイプのお子様です。

今回の発表会では、日本人の作曲家の作品を選びました。

幻想的なメロディーながら、強い音がたくさん出てくる、とても華やかな音楽です。この生徒さんは、比較的体格に恵まれている事もあり、強い音が出せるので、その曲をお勧めしました。

練習を始めてしばらくは、なかなか間違った音が直せなかったりと苦戦していたようですが、普段以上にコツコツと練習を重ねてきました。

その成果もあって最近は弾けるようになりましたが、しかし、音楽の間の取り方やテンポを動かすところなどが、まだしっかりと決まっておらず、なんとなく不完全燃焼のような演奏になっていました。

その状態でのレッスンです。

「ここから弾いてくれる? 私が横で色々と合図をしたり、一緒に弾くからね。間違えてもいいから、頑張って付いてきてね。こんな感じかなぁ~ という雰囲気を掴む練習だからね。」

そして、生徒さんが弾いている間、たっぷりと間を取りたいところでは、手を掴んで次の音が弾けないようにして、速く弾くところでは、肩を叩いて拍子を感じられるようにしたり、徐々に加速させるところでは一緒に弾いたりしました。

弾き終わった瞬間、生徒さんはパッと笑顔になり、次の瞬間顔を見合わせて大爆笑になりました。

「えぇ~っ!! こんなに(色々と)やるの??」(曲に様々な表現を付けるという意味)

「そうよ、このくらいは、やってくれないと。オーバーに感じるかもしれないけど、でも、弾いていて面白いでしょ?」

「うんっ!」

「この曲は、とても華やかな曲でしょ。だから思い切って色々とやらないとね。恥ずかしいと思っちゃうと、中途半端になって、この曲の良さが伝わらなくなっちゃうから。○○ちゃんの場合、華やかに弾くというよりも、派手に弾くと言った方がピッタリかもね。」

楽譜には、「とにかく派手に弾く!」と書き、ここでも生徒さんと2人で大爆笑でした。これだけレッスン中に笑いが出るのは、なかなか無いかも知れないという程です。

クラシック音楽では、楽譜に忠実に弾く事が特に大切で、オーバーに弾くことは避けるべきですが、それ以外の音楽では、より雰囲気や華やかさを出すために、ややオーバー気味に表現した方が、その音楽の魅力が伝わりやすい事もあると思います。

少し恥ずかしがり屋さんの生徒さんですが、本番でその殻を破って、思い切った演奏ができればと思っています。

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