(この記事は、第234号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「たのしい音楽小話」は、音楽界の神童のお話です。
先日、テレビの「題名のない音楽会」という番組で、「神童たちの音楽会2017」と題した内容が放送されました。音楽の世界で幼くして才能を開花させた「神童」たちを紹介するものです。今回は、2人の小さな演奏家と神童からステップアップした1人の若い演奏家を取り上げていました。
最初は、ヴァイオリンの大久保瑠名さん、11歳の小学校6年生です。
大久保瑠名さんは、小学校4年生の時に、全日本学生音楽コンクール小学校の部で第3位に入賞しました。全日本学生音楽コンクールは、日本のジュニア・クラシック音楽コンクールでは最高峰で、小学校5・6年生も参加できる部門で第3位に入ったとはすごいですね。
この全日本学生音楽コンクールは、大変歴史のあるコンクールで、今年で71回目になります。
これまでに、ピアノ部門では、左手のピアニストとして有名な舘野泉さん、日本人で唯一ショパンコンクールとチャイコフスキーコンクールで入賞した小山実稚恵さん、先日逝去された世界的ピアニストの中村紘子さん、ショパンのピアノソロ曲全166曲コンサートを行い、ギネス世界記録に認定された横山幸雄さん、「のだめカンタービレ」の吹き替え演奏で一躍注目された清塚信也さん、前回のショパンコンクールで日本人唯一のファイナリストである小林愛実さんなど、そうそうたるメンバーが、このコンクールで優勝しています。
ヴァイオリン部門では、長年 NHK交響楽団でコンサートマスターを務めていた徳永二男さん、東京芸術大学学長の沢和彦さん、千住3兄弟の千住真理子さん、チャイコフスキーコンクールで優勝した諏訪内晶子さん、パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールに同コンクール史上最年少で、しかも日本人として初めて優勝した庄司紗矢香さんなどが優勝されていて、ピアノもヴァイオリンも大変豪華で、現在第一線で活躍されている演奏家ばかりです。
番組の話に戻りますと、大久保瑠名さんは、演奏曲に合わせて、カルメンを思い出させるような赤と黒の華やかなドレス姿で登場しました。とても小柄で華奢に見えますが、演奏は、とても音楽的で堂々としたものでした。まだ楽器も大人のサイズではなく、少し小さいものでしたが、音がしっかりと鳴っていて、オーケストラに負けないくらいでした。
ヴァイオリニストの徳永二男さんも、「表現力が素晴らしく、音楽に自主性があり、世界に羽ばたけるヴァイオリニスト」と絶賛されていました。
元テニス選手である松岡修造さんの日めくりカレンダーの名言がお気に入りだそうで、特に、「緊張感、万歳」のページがお気に入りという話も紹介されていました。その言葉もあってなのか、演奏時も緊張している様子があまりなく、楽しく演奏が出来たと感想を話していました。
松岡さんの日めくりカレンダーは、松岡さんらしいユニークな熱いメッセージが、発売当時とても話題になりましたね。「緊張感、万歳」という言葉は、「緊張しているという事は、それだけ本気になっている証拠であり、本気で努力してきたからこそ、失敗したくないと思っている。緊張して力が発揮できないのはもったいない。緊張を心から喜び、力に変えよう」という意味なのだそうです。
長年、世界トップクラスのテニス大会で多くの緊張する場面を経験してきたからこそ生まれた言葉なのかもしれません。これからピアノの発表会やコンクール、また学校のテストや受験など、いろいろな本番を迎える方々には、心強いエールですね。
そして、番組で紹介されたもう一人の小さな演奏家は、チェロの北村陽さん13歳です。
北村陽さんは、指揮者の佐渡裕さんが率いるスーパーキッズ・オーケストラに8歳の最年少で入団し、今年6月に開催された「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」で優勝しました。17歳まで参加できる最高峰のジュニアコンクールで、13歳での優勝は、すごいとしか言えません。
3歳でチェロに魅せられ、ご両親と段ボールでチェロを作って遊んでいた逸話も写真付きで紹介されていました。
人懐っこい雰囲気ですが、演奏が始まりましてもニコニコと笑顔で演奏していて、本当に心から楽しんでいる様子が大変印象的でした。司会者も話していましたが、段ボールで作ったチェロを演奏(?!)していた時の楽しそうな顔つきと、全く変わらないのです。
演奏も大人顔負けの大きなスケールで、とても有名な難曲をひょうひょうと弾きこなしているので、こういう人が世界を舞台に活躍していくのかなあと思いました。
お二人の名前と演奏をしっかりと覚えつつ、これからのさらなる成長と活躍を心から応援したいと思います。
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