(この記事は、第226号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、日本最高峰の芸術教育で有名な、東京藝術大学(芸大)のお話です。

芸大は、近年、様々な新しい取り組みを行っています。そのいくつかをご紹介したいと思います。

1つ目は、「早期教育プロジェクト」です。

中学受験などで音楽教育を辞めてしまう子供も多いわけですが、もっと夢を持って音楽や芸術に突き進んでもらいたいという事で始められたプロジェクトです。

主に、小中学生を対象に、芸大の先生と学生が全国各地に赴いて、公開レッスンを行うもので、1人約40分のレッスンを無料で受けられます。

芸大の先生などから、直接レッスンを受けることは、芸大に入らない限り難しいものですし、特に東京以外に住んでいる方にとっては、遠方から通う事になりますから益々難しくなります。

公開レッスンは全国各地で開催されていますし、ピアノ以外の楽器のレッスンも行われているのも嬉しいですね。

公開レッスンの前には、芸大のランチタイムコンサートが行われるので、芸大生の演奏を聴く事が出来ます。学生にとっても学校以外での演奏の機会が与えられますので、良いプロジェクトではないでしょうか。

2017年現在、全国で565名の子供たちが参加しているそうです。

2つ目は、「音楽配信」です。

国内外の音楽市場に向けた芸大生のキャリア支援及び機会の創出を目指したもので、9組の学生代表の演奏を収録したアルバム「東京藝大音楽学部 推薦学生によるクラシックから純邦楽まで! 現在(いま)聴くべき究極(9曲)!」を配信しています。iTunes クラシックチャートで、第1位にもなったそうです。

3つ目は、「クラウドファンディング」です。

大学が提供する様々な芸術作品に、一般から資金を募るプロジェクトです。新しいパトロン制度とも言えそうですね。社会が芸術家をサポートできる文化の醸成を目指してスタートしました。

芸大に遺されたレコード2万枚の危機を救うプロジェクトでは、支援する金額によって、御礼状やHP、レコード保存箱への芳名だけでなく、芸大図書館の見学ツアーや普段入れない書庫の見学、蓄音機でのレコード鑑賞、支援者限定蓄音機コンサートへの招待や、「あなただけの蓄音機コンサート」の開催、澤和樹学長による特別限定コンサートと懇談会へのご招待もあったそうです。

若い音楽家たちを支援したい方にとっても、惹きつけられる魅力的なプロジェクトと言えそうです。また、音楽だけでなく、アートや生け花など、色々なジャンルのプロジェクトも立ち上がっていますので、興味があるものを応援するのもいいですね。

4つ目は、「東京藝大ジュニア・アカデミー」です。

芸大には付属の高校がありますが、今年から中学生を対象とした教育も行うそうです。と言っても付属の中学を新設するのではなく、「早期教育プロジェクト」を発展させた形で、芸大の先生などによるレッスンが受けられるプロジェクトです。

授業のスケジュールは、実技のレッスンがあり、お昼休憩後ソルフェージュの授業、休憩後またソルフェージュの授業、実技レッスンと、一日みっちりと音楽の勉強が出来るようになっています。

芸大の先生が主に授業を担当されるそうですが、海外から招いた先生のレッスンや室内楽のレッスンなども行われる予定だそうです。

芸大の構内には奏楽堂というホールがあり、海外の大学やオーケストラから教授や演奏家を招いてレッスンや演奏会を開いていますが、この奏楽堂での発表会も含まれているようです。

全国から優秀な人々が集まる学校なので、敷居が高いイメージを持っていましたが、実際には結構開放的になってきているようです。芸大がより身近になり、世界で活躍できる人材が多く育っていくといいですね。

スポンサード リンク


最近の投稿

カテゴリー

ブログ内検索

メールマガジン

音楽ナビ

con Vivace について

アーカイブ

ブログ・ランキング

にほんブログ村 音楽ブログ 音楽教室・音楽学習へ