今回は、開催しましたお子様の発表会についてお話をします。
この発表会には、高校生までの生徒さんが出演するのですが、黒などのシックな装いが多い大人と違って、みなさん色とりどりの装いで、見ているだけでも とても華やかな発表会でした。
特に小さな生徒さんの場合、発表会でレースやリボンのついた、まるでお姫様のようなドレスやワンピースを着てピアノを弾く事に憧れがあるようで、緊張しつつも嬉しそうな笑顔が印象に残ります。
また、おばあさまの手作りのドレスを着ていたり、朝早くから美容院に行って髪をセットしてきたり、「私よりもお母さんとおばあちゃんの方が、発表会のお洋服の事とかで、いろいろと緊張していた」という生徒さんもいて、それぞれ思い思いに発表会の日を迎えたようでした。
演奏についても、なかなか興味深い傾向が見られます。
1つは、小さな生徒さんの場合、お辞儀をして椅子に座った途端、いきなり弾き始める事が多いのです。少し大きくなりますと、注意をしていなくても、呼吸を整えて心を落ち着かせたり、曲のテンポや注意点を思い出したり、曲の雰囲気に浸ってから弾き始めることが多くなります。
小さなお子様は、まだ発表会の参加経験が少ないので、実はあまり発表会というものがよくわかっていないのかもしれませんが、あまり動じずに、いろいろと考えすぎず、いつも通りの演奏が出来ます。
大人の立場で見ますと(もちろん、私自身も含めてですが)、けっこう羨ましい気もします。
2つめは、出番の前に出演者が控えている楽屋があるのですが、そこでネガティブなことを言わない生徒さんは大抵いつも通りの演奏が出来ていることです。
「緊張している」という位は良いのですが、「間違えたらどうしよう」「(曲の一部を)忘れた」「本当にまずい、弾けない」と、本人はあまり気が付いていないようですが、そのようなことを言っている生徒さんは、なかなか普段の力を十分には発揮出来ていなかったような気がしました。
発表会などの普段と違った環境でピアノを弾く時には、ネガティブなことを思っても言葉にしない事が、ポイントのようです。
今回は、夏にあるお子様の発表会に向けた、最後の練習風景をお話します。
お子供様の発表会の本番まで1ヶ月を切りますと、レッスンの中で、いよいよ本番さながらの練習をしていきます。
保育園・幼稚園生や初めてピアノの発表会に参加される生徒さんには、この練習が特に必要です。
ピアノの発表会は、単にピアノを弾くだけではなく、その前後の動きなどステージマナーと呼ばれるものがあります。その練習もしていくのです。
楽屋でアナウンスを聞いて、舞台に上がり、お辞儀、椅子の調整、演奏、お辞儀、楽屋に戻る、という一連の動きを一緒に実際に動いて練習をするのですが、意外にもきちんと綺麗に行える生徒さんは少ないのです。
お辞儀や椅子の調整を忘れてしまったり、お辞儀自体が綺麗に出来ていなかったりするのです。また、小さい生徒さんですと、出入りで早足になってしまうこともあります。これを、自然に出来るようにしていきます。
ピアノの発表会では、聴衆の皆さんはピアノ演奏を聴いているのですが、それと同時に弾いている姿も見ることになります。それも含めて美しく行えると、演奏もより魅力が増すと思うのです。
また、これらの動きをつけながら、普段通りに演奏をする練習もします。それは、弾き始める「間の取り方」のちょっとした違いなどが演奏に影響するからです。
野球のイチロー選手が試合の時に、ベンチからバッターボックスに移り、飛んでくるボールを見て打つという一連の動きが全て決められていて、毎回同じように動いているとインタビューで答えていましたが、まさに同じ事なのです。
動きに慣れて、違和感なく毎回自然に出来るようにすることで、より演奏に集中出来るのです。
このように、普段の練習の成果が存分に発揮できるための練習も行っています。
今回も、夏にあるお子様の発表会に向けた練習風景をお話します。
発表会の曲は、3・4ケ月もの間練習をしますし、1年間の練習の成果を披露する場なので、少し難しい曲を選んでいます。そのため、その進み具合は生徒さんによってとても差があるのです。
もともと普段のレッスンでも、コツコツと練習をして、毎回コンスタントに曲を仕上げている生徒さんは、発表会の曲でも、同じようにコツコツと練習を積んでいますので、このペースで進めば間に合うのか判断がしやすいところです。
しかし、このような生徒さんは少数で、多くの生徒さんは毎回のレッスンごとに調子が変わりますので、このペースで間に合うのか判断が少し難しくなります。
また、3・4ケ月後の発表会を、まだまだ遠い先のことだと思うようで、今一つ実感が湧かないようですし、少し難しい曲を練習しますので、モチベーションを高く維持する事も難しいようです。
しかし、発表会まであと1ケ月という頃になりますと、様子が一変します。
レッスンでも毎回「発表会まであと○回しかレッスンがないからね」と、発表会の日が近づいていることを意識させるようにはしています。
様子が一変すると言うのは、いきなり上達しているのです。また「急にやる気が出てきた」とお話をする生徒さんもいます。
今まで1週間のうち1・2日練習していた生徒さんが、急に毎日発表会の曲を10回は通して弾いていたりするのです。この変わり様には、毎年大変驚かされます。
「発表会に間に合わせないと」という気持ちが自発的に起きているので、モチベーションも高く、レッスンの集中度もとても高くなります。
1週間で急に上達していますので、当然レッスンで私は褒めますから、生徒さんは更にモチベーションが高くなって、ますます頑張って練習をすることになるのです。
発表会1ケ月前は、生徒さんの底知れない可能性とパワーを感じる時期でもあるのです。
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