(この記事は、第231号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、発表会やコンサートの本番を控えた生徒さん方の様子です。

10月に入り、今年も残すところ3か月となりました。芸術の秋ということもあり、ピアノ教室では、生徒さんの晴れの舞台である発表会やコンサートが次々と開催されています。

まず、オーディションの合格者お披露目コンサートが、10月1日に行われます。

以前にも参加したことがある小学生の生徒さんが参加しますが、夏から本格的に塾に通う事になり、宿題と授業に追われて、なかなか大変な日々を過ごしているようです。この生活が始まってしばらくは、ピアノの練習量が少なくなり、少し進度が緩やかになりましたが、やはり本番が近づくにつれて、短い時間でも効果的に練習が行えるように工夫されているのか、本番前の最後のレッスンでは、グンと曲がまとまっていて驚きました。

このコンサートの様子は、また後日お話しできればと思います。

そして、10月下旬には、大人の生徒さんの発表会が開催されます。今年は、初参加の生徒さんも数人いらっしゃいます。

トップバッターを務めるのは、70代の生徒さんです。

この生徒さんとは、今年の年明けに再会し、その後レッスンに復帰されました。現在もピアノのサークルに所属され、ご友人方とピアノを楽しんでおられます。レッスンでは、弾きたい曲を自らおっしゃっていただき、曲が決まると、きれいに楽譜を製本して、毎回レッスンでは録音をされるほど向上心溢れる生徒さんです。

本番では、どれくらい緊張されるか未知数ですが、緊張しても力が出し切れるように、細かい所を詰めている最中です。

先日のレッスンでは、衣装についてのご質問もいただきました。少しドレッシーな装いをされる方が多いというお話をして、「是非、ドレスアップして参加されてはいかがでしょうか」とご提案もしました。

春からピアノを見させていただくことになった大学生の生徒さんも、大人の発表会は、今回が初参加です。小さい頃からピアノを習っていた生徒さんなので、発表会自体は数多くこなしているようです。

今回は、ご本人が一度は弾いてみたかったというショパンの作品を弾きます。テンポが速く、コロコロと間髪入れずに場面転換する作品なので、テクニック的にも音楽的にもなかなか難しい曲です。

練習を始めてしばらくは、「速く弾かないと」という思いから、少し焦ってしまったり、粗い感じになっていました。これは、速いテンポの曲を弾く時に起こりがちな事です。

まずは、しっかりと曲を理解して、ゆっくりなテンポで部分練習をするところからレッスンし、だいぶコントロールして弾けるようになってきたので、現在は、それぞれの場面での表情の付け方などをレッスンしています。ショパンの華やかな「動」の魅力と、憂いに満ちた哀愁漂う「静」の魅力の両方が伝わり、ショパンの奥深さを演奏で表現できたらと思います。

また、大人の発表会に何回も参加されているベテランの生徒さん方もいらっしゃいます。

だいぶ前に一度弾いたことがある曲を「もう一回、ちゃんと弾きたい」という事で、リベンジされる生徒さんもいらっしゃる一方で、難しい曲にチャレンジされている生徒さんもいらっしゃいます。いろいろな参加の仕方が出来るのも、大人の発表会ならではです。

リベンジされる生徒さんは、テクニック的にはおおよそ大丈夫なので、音楽的な表現についてレッスンをしています。

弱い音で始まる音楽なのですが、どうしても弱く弾く事を意識し過ぎて緊張してしまい、浅い感じの音になってしまうのです。しかし、1回通して弾くと調子が掴めるようで、2回目には割と良い感じで弾き始めることができます。本番は1回のみで、リハーサルもありませんので、なんとしても1回目で深さのある音で弾き始めなければなりません。残すところ2回のレッスンで、どこまで掴んでいただけるのかが大きな課題です。

難しい名曲にチャレンジされている生徒さんは、時々、弱気とも取れる発言をされることがあり、「大丈夫です!」と励ましながらレッスンをしています。とにかく細かい部分の練習ばかりしていますので、大変だと思いますが、「難しいなあ」とおっしゃりながらも、黙々とこなしています。

だいぶ流れてきましたので、この調子で本番まで着実に進めていければと思っています。

私自身も、11月のコンサートに向けて日々練習に追われています。先日練習会を行い、演奏順なども決まり、本番が近づいてきた実感が更に湧いています。

練習会では、第2楽章など、前回よりも大幅に改善できましたが、もっと大きなフレーズで弾く事や、第1・第3楽章について、全般的にフレーズの最初の音がはっきりしないというダメ出しをされてしまいました。

確かに録音を聴いてみますと、聴きづらい感じになってしまったので、改善しながら、他の部分について、もっと細かく練習をしているところです。

割とシンプルでわかりやすい音楽だからこそ、少しの曖昧さがとても目立ってしまうので、丁寧な練習の大切さを改めて感じています。

本番で力が存分に発揮できるように、生徒さん方とご一緒に成長していければと思っています。

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(この記事は、第230号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、お子様の公開レッスンのお話です。

先日、お子様を対象とした公開レッスンが行われました。私は講師として、2人の小学生のレッスンを行いました。

何回も公開レッスンを行っていますが、それでもやはり初対面の生徒さんのレッスンというのは緊張するものです。しかし、今回はレッスン前に最初の生徒さんと少しお話をする時間があったので、お互いに少し慣れてからレッスンを行う事が出来ました。

公開レッスンには、いろいろなやり方がありますが、私は最初に1回曲を通して弾いてもらいます。最初の生徒さんも次の生徒さんも、多少は緊張していたようでミスはありましたが、たくさん練習をしたようで、よく弾き込んでいる感じがしました。

最初の生徒さんは、少し細かいパッセージで音の粒が揃わない所があったので、その部分を中心にレッスンをしました。

音の粒が揃わないというのは、多くの方が悩む問題でもあります。指が弱いという根本的な問題が絡むので、長期的に基礎的な練習を積むことが必要になる場合もありますが、それ以外の事が原因だった場合には、意外と短期間で解決できる場合もあります。

今回の生徒さんの場合は、音が弱くなってしまう部分の打鍵の位置が適切でない為に、音の粒が揃わない事がわかりました。

ピンポイントでその箇所を弾きますと、一番弾きやすい鍵盤の位置で弾く事が出来ますので、きれいに音の粒が揃っていました。しかし、その部分の少し前から弾きますと、問題の箇所での打鍵の位置がずれていたのです。わざわざ弾きにくい鍵盤の位置で弾くわけですから、当然コントロールがしにくくなり、音の粒が揃わない事になります。

よくよく観察しますと、2つ前の音を弾く時点で、既に体勢が崩れている事がわかりました。この状態を直すことで、問題の箇所でも自然で無理のない打鍵が出来るようになるわけです。

レッスンで何回も反復練習を行い、少し掴めてきたようですので、きれいに弾けるようになるまで、そう時間はかからなと思います。

2人目の生徒さんは、華やかな曲を元気いっぱいに演奏してくれました。

生徒さんにぴったりな曲を選ばれたようで、楽し気な雰囲気も伝わってきましたが、少々曲の勢いに飲み込まれてしまっている感じがしたので、コントロールして弾くという事を少し見直してみました。

楽譜を閉じたまま、最初の部分から強弱について聞いてみますと、実はあまり覚えていない事がわかりました。また、同じフレーズが複数回出てくる部分での強弱記号のわずかな違いも、把握していませんでした。

これは実は、楽しい感じや軽快な曲、テンポの速い曲を弾く場合に陥りやすい問題なのです。

指を動かしていると、どんどん曲が進みますので、なんだか弾けている感じがするものです。しかし、傍から聞いていますと、突っ走ってしまっている印象になり、せっかく弾けていても、なんだかもったいない印象になってしまいます。

生徒さんと強弱記号などをよくチェックして、クレッシェンドでも、どの強さから始めて、どのくらい強くしていくのかという事を、一緒に確認していきました。

そうしますと、たった半ページの中でも、実はピアニッシモからフォルテまで幅広い強弱をつける曲である事を再認識されたようでした。こうして、改めて楽譜をよく読んで演奏しますと、まるで別人が弾いているかのように変化してくるのですから面白いものです。

1カ月後のコンサートに、今回の生徒さん方も同じ曲で参加されます。公開レッスンでのアドバイスが少しでも役立ち、素晴らしい演奏になればと思っています。

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(この記事は、第229号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、幼稚園児のスカイプを使ったピアノレッスンのお話です。

友人から、「海外転勤することになった」という話を聞いたのは、確か一昨年だったと思います。ご主人様が、かねてから海外勤務を希望していたそうで、ようやくその希望が叶ったことになります。

「良かったね」と思いつつ、小さいお子さんを連れての海外転勤は、想像以上に大変なのではと少々心配をしていました。しかし、お子さんと楽しく現地の言葉を勉強している事を聞き、少し安堵したことを覚えています。

少し経って、ちょうど現地での生活が落ち着いてきた頃だと思います。その友人から、「スカイプで、子供のピアノレッスンが出来ないでしょうか?」という話がありました。お子さんは音楽が好きらしく、自分の気持ちを音にして、おもちゃのピアノを弾いていたり、音楽が流れると、静かにじっと耳を傾けているそうです。

お子さんは、幼稚園に入る前で、しかも直接レッスンをするのではなくスカイプでという難問に、さすがに即答できませんでした。

「音楽を好きになってくれたらよい」というお考えで、月1回のゆったりとしたペースでのレッスンを希望されていますが、お持ちの楽器が、おもちゃのピアノという前代未聞のケースで、スカイプですと、直接手を使って指の形や姿勢などを直すことも難しく、問題は多々ありました。

しかし、慣れない現地でピアノの先生を探すのも大変でしょうし、考えた上でお引き受けすることにしました。

小さい子供は覚えるのが早い反面、忘れるのも早いので、月1回のレッスンでは、その場の楽しさだけで終わってしまう可能性がある事などはお伝えし、その上で教材を用意して頂いて、春からレッスンが始まりました。

久しぶりにスカイプを通して会うお子さんは、だいぶ大きくなっていました。

レッスンでは友人(お母さん)が横に座り、お子さんに楽譜上の場所を教えてあげたり、出来たところに丸を書いたりして、私が本来レッスンで行う事を代理でしていただきました。お子さんも、ちょっと照れていたのか、最初はハニカミながらという様子でしたが、指の番号を学ぶ所では積極的に答えを言ったり、音を弾く所も一生懸命行っていました。最初のレッスンでも30分間、よく集中していたと思います。

そして、レッスンの最後には宿題を出して終わります。

このようなレッスンを何回か重ねました。自宅でしかもお母さんが常に同席という環境も影響してか、時にはレッスン中に大きなあくびをしたり、「お腹空いた~」と言ったりしますが、だいぶレッスンに慣れてくれました。

不機嫌になってしまったことがあり、どうしたのかと思ったら、レッスンの最後の演奏で間違えてしまい、本人にとって不本意だったとの事でした。しかし、上手くできなくて悔しいという気持ちは、今後の上達にとても大切なものです。

月1回のレッスンで学んだことを忘れないように、「レッスンで弾いている曲、覚えているかな?」と、反復練習をするようにアドバイスもしました。

私自身も、スカイプでもなんとか出来そうだという手ごたえを少しずつ感じてきました。そして、それと同時に、どうしても伝えなければならない事がありました。

お子さんを音楽の道に進ませるわけではなく、音楽が好きになってくれたらよいという方針や、初めての海外生活の事を考えても、おもちゃのピアノを使ったレッスンは、デメリットが大きすぎるという問題でした。

真ん中のド(一点ハ)を弾いても、「ちゃり~ん」というおもちゃの音が鳴り、鍵盤の幅や長さも本物のピアノとは似ても似つきません。当然ながら鍵盤の重さも全く異なります。弾く時の姿勢も整いませんし、そもそも鍵盤数が圧倒的に少ないのです。

耳が成長している時期なので、出来れば本来の音が出せる楽器があると良い事や、今の楽器(おもちゃのピアノ)に慣れてしまうと、あとで楽器を替えた時に、お子さんが苦労することになる事、実際、自宅で電子ピアノで練習している生徒さんも、レッスンや発表会でグランドピアノを弾く時に苦労している方が少なくない事をお伝えし、ご主人様にも、その旨をお話しされてもみてはいかがでしょうかと提案しました。

すると、早速お返事を頂き、私のお話に納得して頂けたようで、また美しいピアノの音を聴きたいという事も話されていました。

現地で調律師さんを探すのは大変なので、生のピアノのタッチに近い電子ピアノを探してみますとのことでした。私からも、何点か電子ピアノを紹介しました。

異国の地でも、少しずつピアノを弾く環境が整ってきて、私も嬉しく感じました。

今月から幼稚園に通うそうで、お子さんも新しい生活のペースに慣れるのに大変かもしれませんが、よりよい環境で、益々楽しくピアノのレッスンが出来ると良いなあと思っています。

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