(この記事は、第103号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「ピアノ教室の出来事」は、発表会前のお子様のレッスンの様子です。

お子様のピアノ発表会まで、1か月を切りました。レッスン回数も残り数回なので、まさにラストスパートの時期です。

自宅での練習も熱心に行っている方が殆どなので、1週間の進み具合は目覚ましく、驚くこともしばしばです。

お子様特有かもしれませんが、暗譜の練習をするようにとお話しますと、1週間ですべて覚えてくる生徒さんが結構いらっしゃいます。逆の言い方をしますと、「途中まで暗譜してきました」という生徒さんは、これまで殆どいません。(小学生くらいの生徒さん限定ですが)

大人の方の場合、発表会での暗譜は必須ではありませんので、楽譜を見て弾かれる方も多いのですが、普段のレッスンである程度暗譜で弾けるくらいまで弾き込む必要はあります。そのため、特に70代くらいの生徒さん方は、「物覚えが悪くて・・・」「すぐ忘れちゃうのよね」「1つ覚えると、前の事忘れちゃうの」と、暗譜にはご苦労されているようです。

お子様の場合、普段の練習をしてるだけで自然に暗譜が出来ている方も多く、「お家で暗譜の練習をしてみてね」とお話しますと、「もう覚えてるよ」と即座に答える生徒さんが何人もいました。

「あらっ、すごいわね。今、ちょっと暗譜で弾ける?」と言って弾いてもらいますと、確かに殆ど暗譜が出来ているのです。すぐに覚えてしまうとか、自然に覚えられるというのは、やはりお子様の頭が柔らかいということなのかもしれません。

羨ましいと感じる大人の方も多いと思いますが、しかし良いことばかりではないようです。と言いますのも、最初にしっかりと完全に暗譜出来ていればよいのですが、間違えやすいところや紛らわしいところで曖昧に覚えてしまっていることがあるのです。このような事は、ピアノの演奏レベルや年齢に関わらず、すべての方に当てはまる事だと思いますが。

間違いに気づいたときに、どのように対処したかによって、早く解消される場合もありますし、いつまでも曖昧なままになってしまう場合もあります。

先日、幼稚園生の生徒さんに、レッスンの始めに暗譜で弾いてもらいました。テンポも安定していて順調な弾き始めでしたので、なかなか良いなあと思って聴いていたのですが、リピート後に4小節飛ばして先に進んでしまったのです。

私は、「あっ!」と思ったのですが、生徒さん本人はそのままどんどん先に弾き進め、何事もなく弾き終わりました。何の動揺もなく最後まで弾けたのは凄いのですが、違う不安材料がある気がして、弾き忘れてしまった4小節の事をお話しますと、ニコニコしながら、でも案の定、首をかしげているのです。不安に思っていたことが的中してしまいました。

正しくないものを覚えてしまい、しかしそれが正しいとインプットされているのです。これはよくある事で、譜読みの段階では正しくても、弾き込んでいく段階でいつのまにか違う音やリズムにすり替ってしまう現象です。

弾いている本人は気が付かないのですから、ちょっと厄介です。
この生徒さんの場合も、暗譜で練習をしている時に、始めは正しかったのかもしれませんが、いつの間にか4小節飛ばしたものが本来の音楽だと覚えてしまっていたのです。

この場合、本来の正しい順序で演奏された音楽を覚えることが大切なので、弾く練習だけではなく、とにかく音楽を聴く時間も多く持つようにお話をしました。また、メロディーを歌いながら弾く練習も提案しました。

何かを直す場合、色々なアプローチの仕方や練習方法があります。単に練習回数を増やすだけでは、効率的ではありませんし、効果もあまり上がりません。そのため、なるべく色々な角度から診て、生徒さんに一番合うと思われるやり方をお話していますが、実際に試してみないと、本当に生徒さんに合うのかわからない場合も多いのです。

1週間試してみて、レッスンでその効果を確認し、そのまま続行するか違うアプローチを試すか、生徒さんと共に試行錯誤をしながら、音楽を仕上げています。

生徒さん方全員が、発表会の本番でこれまでの苦労が報われるように、また思った通りの演奏が出来て満足感が得られるように願っています。

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