(この記事は、第262号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、ヤマハコンサートグレードについてです。

クリスマスが近づいてきました。街のあちらこちらにクリスマスの飾り付けがされ、夜になるとイルミネーションも見ることができて、とてもきれいですね。

生徒さんの中には、毎年クリスマスパーティーを開くことが恒例となっていて、この時期は準備に忙しい方もいらっしゃいます。

「今年は、どんな事をやろうかと考えて、プレゼントを買ったり、飾りつけをしたりしてね。準備をするのはとても大変なんだけど、私のほうが楽しんでいるかも」と、笑顔でお話しされていました。

さて、1週間ほど前にヤマハコンサートグレードが開催されました。ヤマハが行っているグレード試験で、コンサートのようにお客様の前で弾いて試験を受けるスタイルです。

今年最後のグレード試験という事もあり、受験者が相当集まり、この日だけで4回も試験が行われました。お子様から大人まで、どなたでも受けることができますが、私が見学した部は、小学校入学前から高校生まで25名ほどが受験していて、保育園・幼稚園生も6名ほど参加されました。小さい方がこれだけ集まるのは、けっこう珍しいのだそうです。

午後一からの開始でしたが、30分ほど前に集合して、グレード試験の説明や名前が呼ばれてから演奏後までの一連の流れの確認、椅子や足台の高さの確認などを行いました。

試験申し込みの際に、椅子の高さ、足台の有無や高さ、アシストペダルの有無など、細かく書いて提出することになっているので、当日は大変スムーズに最終確認をしていました。

グレード試験の会場は、小さなサロンのようなところでしたが、受験者やそのご家族、ご友人などが続々と集まり、満席で立ち見が出るほどでした。

ピアノの試験というと、通常はレッスン室で試験官だけの前で弾きますので、普段着で参加することが多いものですが、コンサート形式のグレード試験なので、小さなお子様は発表会さながらのドレス姿で参加されていて華やかな雰囲気でした。

保育園・幼稚園生は、ピアノを習い始めて1年未満で、お客様の前で弾くのが初めての方も多くなります。

緊張した表情で舞台に上がっているお子様もいれば、普段と変わらない表情のお子様もいましたし、堂々と演奏しているお子様もいれば、思わぬところでミスをして一瞬固まってしまったお子様もちらほら見られました。様々ではありますが、みなさんきちんと最後まで弾ききっていました。

ヤマハコンサートグレードは入門からディプロマまで、細かく級が分かれています。今回見学した部は、入門1から中上級2までの級を受験するお子様が参加されていました。

受験する級の易しい順に演奏しますので、演奏する方も段々大きなお子様になっていき、演奏する曲もだんだんと長く、そして有名な曲も演奏されるようになります。

後半は、これまでにグレード試験を受けたことがある方も増えてきますし、発表会などお客様の前で弾く経験を積んできた方も多くなってきます。緊張してミスをしても、動揺することなくどんどん先を弾くことができるようになっていますので、場慣れしているなあと感じました。

客席も、コンクールのようなピリピリ張り詰めた緊張感はなく、応援する暖かい雰囲気で、ご家族やご友人、普段レッスンを受けている先生が見守る中で弾けるので、安心できる雰囲気だったと思います。

全員の演奏が終わった後、演奏を評価するアドバイザーの先生2人の講評がありました。

これまでの練習に対するねぎらいの言葉と共に、もっと体全体を使って弾くことや、もっと自由に思い切って表現すること、本番での演奏をもっと多く体験することの必要性などをお話しされていました。

そして、舞台上で記念写真を撮影して、その日のうちに、個別に評価の書かれた書類を受け取って終了という流れでした。

グレードが認定されたかどうかを、試験の終了後に待つことなく受け取れるシステムは、とても便利でいいと思いました。ドキドキしながら結果が届くのを何日も待つというのは、なかなか耐え難いものですからね。

コンクールのように、他の方との出来栄えの比較で合否が決まるものではなく、あくまでも個人の演奏に対しての評価になりますので、落ちる可能性は低くなりますが、もちろん受験する級が高くなりますと、要求される演奏の完成度も上がりますので、油断はしない方が良いでしょう。

グレードに合格しますと、アドバイザーの先生それぞれから課題曲・自由曲それぞれの演奏の評価と講評、合格シール、初参加の方は、マイ・ピアニスト・ノートというグレードのことがいろいろ書き込めるノートがいただけます。

金色のピカピカ光った合格シールは、なんだか豪華な感じで、小さなお子様には特に好評のようです。

数多く本番で弾くことの重要性はわかっていても、実際には年1回の発表会しか本番がないという方も多いと思います。グレード試験は、立派な本番の1つですし、「合格するぞ」というわかりやすい目標も立てられ、練習のモチベーションも上げられそうです。コンクールよりハードルが低いことも、魅力の1つかもしれません。

大人の部もあるそうなので、興味がある方は、来年の目標の1つにしてみてはいかがでしょうか。

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(この記事は、第259号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、大人の生徒さんの発表会についてです。

先日、大人の生徒さんの発表会が行われました。年々参加者が増えていて、今では9月下旬から11月上旬までが発表会の時期になっています。

今回は、他の2名の先生と合同で行うことになりました。

大人の発表会は、ピアノだけでなく、いろいろな楽器の生徒さんも出演されます。これまでも、ヴァイオリンや声楽、フルート、三味線の生徒さん方と一緒に行ったことがあります。今回は、ピアノとクラリネットの生徒さんの合同開催です。

開演の1時間前から準備を行うとの事で、私もその時間に会場入りしました。

今回の発表会の責任者と受付スタッフ、カメラマンは既に到着していて準備を行っていました。私も早速、ピアノのチェックなどを行いました。

少しピアノを弾いてみますと、どのような状態なのかわかるので、その情報を本番前に生徒さんにお話して、心構えをしていただきます。

今回のピアノは、それほど大きいわけではなく、ピアノの大きさに圧倒されてしまうことはなさそうですが、低音が結構鳴るので、気を付けないと低音のボリュームが出すぎてしまう可能性があります。それ以外にも、会場自体がほとんど響かない事や、椅子の調整がしにくい事などがありましたので、他の先生方にも話して、出演される生徒さんに伝えていただきました。

開演30分前には、全体のミーティングを行いました。

参加者の欠席連絡や曲目などの変更点、発表会全体の流れのチェック、譜面台や椅子などの有無、舞台に上がるときの動きの確認、出演する生徒さんの名前の確認や演奏前のコメントの確認などを行いました。

その後、いったん解散となり、着替えを行ったり、会場に到着した生徒さんの出迎えや、会場のピアノの状態などをお話しすると、あっという間に開演時間になりました。

主催者のあいさつや全体の流れなどの説明の後、いよいよ発表会が始まりました。

トップバッターは、私のクラスの生徒さんでした。

プログラムの下刷りができたときに、「えーっ、1番?」と驚きを隠せなかった生徒さんですが、にこやかな表情で舞台に上がっていました。

本番前の最後のレッスンから当日まで、結構日にちが開いていたので、大丈夫かなあと思っていましたが、案の定、結構緊張したようで、最初の半ページくらいで思わぬミスが連発してしまいました。

生徒さんご自身も焦ったようですが、なんとか乗りきり弾き進めていきますと、段々と調子が上がってきて、レッスンの時にいつも遅くなってしまうところがとてもスムーズに良いテンポで弾くことができ、演奏を終えることができました。

別の今年の春に入会された生徒さんは、初参加とはいえ、普段と変わらない表情で会場入りしていて、あとからご家族も応援に駆けつけていました。

これまで何回も「暗譜が苦手」とおっしゃっていて、レッスンで暗譜で弾いてみても、途中でわからなくなってしまったり、紛らわしい箇所で音が入れ替わってしまったりと確かになかなか苦戦されていました。

今回の発表会は、単に参加するだけでなく、来年春に行われるグレード試験の予行練習も兼ねていますので、なんとしても暗譜をしっかりマスターする必要があります。なんとなく指の動きだけで覚えるのではなく、頭を使って覚えることをレッスンで練習してきました。

本番の演奏では、普段とあまり変わらず落ち着いて弾き始めていて、レッスンの時よりも音の強さのバランスが整えられていて驚きました。途切れやすいフレーズも繋げて弾くことができていたり、難しいテクニックのところも難なく弾けていて、全体的には思った以上に良い出来となりました。

ただ、1オクターブ以上の和音を弾くときのペダルのタイミングが少し遅く、低音の音が響かなかったり、問題の暗譜も、やはり音を入れ替えてしまっていたところがあったり、最後の方で拍子感が少し不安定になってしまったりと、まだ問題点もありますので、今後のレッスンで改善していけたらと思います。

他のクラスの生徒さんでは、60代くらいで発表会初参加の生徒さんが、出だしの高音がなかなか思うように出せず、焦りの表情が見えましたが、なんとか最後まで演奏することができました。

また、ショパンの英雄ポロネーズを弾いた生徒さんもいました。この時期の発表会は、大人になってから楽器を始めた生徒が多数参加されるので、その中で、かなり難度の高い曲を弾かれたので驚きました。発表会後にレッスン担当の先生に聞いたところ、小さい頃からずっとピアノを弾き続けてきた生徒さんでした。舞台上でも落ち着いていましたので、本番も数多く体験されてきたのかもしれません。

出演された生徒さんの演奏が終わり、いよいよ講師演奏で、私の出番となりました。

大人の方の発表会で演奏するのは結構久しぶりなので、多少緊張しましたが、なんとか終えることができました。

生徒さん方と同じく、良かったところもあれば、改善点もいろいろとあぶりだされ、以前同じ曲を本番で弾いたときもイマイチだったなあという箇所も思い出しました。来年、同じ曲をまた本番で弾こうと思っているので、もっと練習を工夫して強化しなくてはと痛感しました。

以前、私が習っているピアノの先生が、「お金を払って、本番で恥をかくわけ。でも、それで上手になっていくのよ」とおっしゃっていたことを思い出しました。

「確かにそうだなあ」と感じると同時に、本番という体験が上達に繋がるのだと思えば、特に怖がる必要もないのかなと、腑に落ちた感じもしました。

これからも生徒さん方と一緒に、怖がることなく、積極的に本番にチャレンジしていきたいと思いました。

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(この記事は、第256号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、ピアノ教室に通う「きっかけ」についてです。

ピアノ教室には、幅広い年代の生徒さんがいます。未就学児から80歳代まで、教室によっては、90歳以上の方もいらっしゃるようです。

一昔前は、小学校入学と同時にピアノを始める方が多かったと思いますが、現在では低年齢化が進み、大手音楽教室のヤマハでは、1歳からレッスンが受講できるようになっていますし、お子様を対象としたピアノコンクールでは、未就学児の部門が設けられているところもあります。

情操教育の一環であったり、音感などを身につけさせたいという教育熱心な親御さんが多くなっているのかもしれません。

小学校入学前のお子様の場合、3、4歳あたりが「何か習い事をさせたい」と考える時期のようで、それがピアノ教室に通う「きっかけ」となっています。いろいろな種類の習い事がありますから、熾烈な競争となっていますが、それでもピアノは、まだまだニーズが高いように思います。

小学生の生徒さんは、入学前に始められた方と、小学生になってしばらくしてから初めてピアノを習う方に分かれます。

小学生になってから初めてピアノを習う方は、ピアノを習っているお友達が「きっかけ」となるようで、自らピアノを習いたいと親御さんに相談してピアノ教室に来られます。

以前から始めている同年齢のお友達は、ずっと先の教材の曲を弾いているわけですが、自分と比較して「あんなには弾けない」とあきらめたり、気落ちして自滅することは少なく、マイペースに進めていることが多いものです。

周りの目が気になる年代で、結構意外な気もしますが、思った以上に「周りに影響されない自分」をしっかりと持っているので感心させられます。

また、このくらいの年代は、兄弟・姉妹一緒に習っていることも多いものです。下のお子様は、お兄さん、お姉さんのピアノレッスンに一緒に付き添って来るので、小さい頃からピアノに関心を持ち、「いつか自分も」と思うようで、「きっかけ」というよりも、習うことを当然と思うのかもしれません。

自宅でも、お兄さん・お姉さんが一生懸命練習しているのを見たり、聴いていますので、いざピアノのレッスンが始まりますと、結構進度が速いこともあります。

ちなみに、兄弟・姉妹で、どちらがより弾けるようになるかは、一概には言えず、また、どちらが長く楽しみながら続けられるかも、ケースバイケースです。

以前、引越しを機にピアノ教室に入会された小学生の姉妹がいました。他のピアノ教室から移られてきたわけです。

同じ教材を使っていて、どちらも楽しそうにピアノを弾いていたのですが、教材の進み具合を見ますと、妹さんのほうが、だいぶ先の曲を弾いていました。

その後どうなったかといいますと、進みが速かった妹さんは中学受験を機にピアノをやめてしまいました。一方で、あまり弾けていなかったお姉さんは、受験でもやめることなく続けられ、大学受験の時期にも、変わらず教室に通われていました。結局、お姉さんの方が、ピアノを楽しんでいたようです。

中学生・高校生は、小さい頃からピアノを習っていて現在でも続けている方と、受験で一旦ピアノをやめて、再開した方に分かれます。

再開された方の中には、保育士や幼稚園教諭を目指すことになり、それが「きっかけ」となり復帰された方もいました。

また、受験でもピアノを続ける方は、ピアノを弾くことでストレス解消ができるという意見が多いようです。

大学生は、小さい頃からずっと続けている方に加えて、保育士や幼稚園教諭の資格取得のために、初めてピアノを習う方も時々いらっしゃいます。

保育士や幼稚園教諭の資格には、バイエル終了程度のピアノ演奏技術が必要なのですが、小さい頃からピアノを習っていると、おおよそ小学生のうちに資格取得に必要な演奏技術は身につきます。

しかし、保育士や幼稚園教諭を目指して、大学入学と共に初めてピアノを習う方にとって、バイエル終了というレベルは、かなりハードルが高く苦労も多いものです。

学校の授業では、次々と課題の曲が出され、定期的に演奏の試験もあります。弾くだけでなく、童謡などの弾き歌いがあったり、作曲が課題になることもあるようで、切羽詰まった状況でいらっしゃる方も少なくありません。

それでも通われた方は、みなさん無事資格を取得しているので、小さい頃からピアノを習っていないと、保育士や幼稚園教諭になれないという事はなさそうです。

大人の方は、実にさまざまな「きっかけ」でピアノ教室に来られます。

ピアノに憧れていたけど、なかなか習う機会がなく、その後両親などの介護が始まり、看取って時間が持てるようになりやっと始められた方や、小さい頃にピアノを習っていて、受験や就職、結婚や子育てなどでブランクの後に、一段落して再開された方、お子様にピアノを習わせていたけど、成人になり独立されピアノだけが残り、「じゃあ、今度は自分が弾いてみようか」と思って始められた方、定年退職後に「ピアノが弾けたらかっこいい」と始められた方、ご近所さんに勧められた方もいらっしゃいます。

先週からピアノ教室に通われている方は、先日定年退職され、「暇になったので何か刺激が欲しくて…」とおっしゃって入会されました。

自由な時間が持てるようになって、すぐに新しいことに挑戦する行動力は素晴らしいと思いました。体験レッスンを始める前から、既にピアノを習う意志を固めていたそうで、先日の第1回目のレッスンも大変スムーズに進みました。

以前は、お子様をピアノ教室に通わせていたそうですが、独立され、自宅にピアノだけが残っていたそうです。ご自身では、ピアノを弾いたことがなく、若かりし頃フォークソングが流行っていた時に、少しだけギターを触った程度とおっしゃっていました。

利き手と反対の手を使って弾く部分は、少し苦戦されていましたが、それでも笑顔でピアノを弾いていました。

定年退職を機に、小さい頃習っていたピアノを再開された方は、昔弾いたことがあるけど上手に弾けず、あまり良い思い出がないとおっしゃっていたショパンの曲を再び弾くことを決断され、練習に励んでいます。長いブランクの後レッスンを再開され、もう何曲も仕上げてきて、以前のように指も動くようになってきたので、もう一度リベンジしたいとの事でした。

曲を弾きこなして、昔の自分を超え、良い思い出として塗り替えることができたら、素敵だなあと思っています。

ご近所さんに勧められて通われている方は、小学生の頃1、2年ほど習っていた後、集団疎開となり、その後空襲でピアノが焼けてしまい、上手にピアノを弾いていたお姉さんがとてもがっかりしていたというお話をよくされています。

お姉さんと一緒にピアノレッスンに通われていましたが、お姉さんが弾いている間、火鉢にあたりながら順番を待っていたそうですが、ぽかぽかと温かく、お姉さんの上手なピアノの音を聴いて気分がよくなり、いつもウトウトと居眠りをしていたと懐かしそうに話していました。

それから半世紀ほどのブランクの後、思いがけずピアノのレッスンを再開することになったそうで、ご自身でも驚かれていました。

毎回、「この年で、ピアノが弾けて嬉しい」とおっしゃっていて、毎晩1時間ピアノを弾くことが日課になっているそうです。

どのような「きっかけ」で始めても、ピアノを楽しく弾き続けていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。これからも、生徒さんの毎回のレッスンを大切に、上達だけでなく、楽しいレッスンを心掛けていきたいと思っています。

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