(この記事は、第293号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、「ひねりすぎた」曲のお話です。

先日、テレビ朝日の「題名のない音楽会」で「有名作曲家のひねりすぎた楽曲を楽しむ休日」と題した放送がありました。チャイコフスキーやモーツァルト、ハイドンなど、有名な作曲家が作曲した曲の中から、「ひねりすぎた」曲を紹介するものです。

まずは、バレエ音楽で有名なチャイコフスキーが作曲した「祝典序曲1812年」です。

楽譜に「大砲」と指示のある曲です。大砲を楽器として使うとは、何とも斬新ですね。

テレビでは、陸上自衛隊の音楽隊が基地内で演奏している映像が流れましたが、楽団の割と近い場所で、大砲が演奏に合わせて打たれていて、ドカンと打たれた時には、テレビの出演者がみんなで大笑いしていました。連発して打つようになっているところもあり、曲の最後には3台の大砲がピッタリ合わせて打たれていて、これは凄いと思いました。

この曲は、ナポレオンが大軍を率いて首都モスクワに攻め込みましたが、ロシア軍に敗退した物語を描いた曲です。チャイコフスキーは、依頼されて作曲しましたが、はじめは気が乗らなかったそうです。しかし、評判がよくなり、段々と気に入るようになったとのことです。

ちなみに、当時この曲を演奏する時に、実際に楽譜の指示通りに大砲を使ったかどうかは定かではなく、もしかしたら、チャイコフスキーが現代の演奏を聴いたら驚くかもしれません。

次に登場したのは、1928年生まれのシュトックハウゼンが作曲した「ヘリコプター弦楽四重奏」です。

ヘリコプターに演奏者が乗る夢を見た事から作曲されたそうで、なんと、実際にヘリコプターに乗って演奏する楽曲です。機体が揺れる中、また何よりも音が響かない中で演奏する曲というのは、新しすぎるとしか言いようがありません。

ローマで実際に演奏している映像が流れていましたが、お客さんはホールに集まり、ホールのスクリーンには、4人の演奏者が4機のヘリコプターに、それぞれ乗っている映像が映し出されていました。ヘッドホンをして演奏しますが、ヘッドホンにはカウント音が流れ、それに合わせて演奏するのだそうです。

元々現代音楽の作曲家で、ちょっと難しい音楽のため、テレビの出演者も「これは音楽なのか?」とか「この曲の意図は、何でしょうね?」というコメントをしていました。上昇したり下降するヘリコプターのプロペラの音を、弦楽器で演奏して表現しているのだそうです。

この曲は、オペラ「リヒト(光)」の中の曲で、オペラ自体は、なんと全部の演奏に1週間かかる大作なのだそうです。

次は、1931年生まれの作曲家カーゲルが作曲をした「フィナーレ」です。

指揮者が、演奏中に倒れ込んでしまうという楽曲です。テレビの出演者も、「指揮者が倒れたら、演奏が止まるのではないか?」とか「その指示は、楽譜に書いてあるという事なの?」と、疑問を口にしていました。

楽譜の一部がテレビに映し出されましたが、指揮者がどう動くのか細かい指示が書き込まれていて、「具合悪そうに左手で胸を撫でている!」「指揮者は譜面台を握りしめ・・・」、「頭を客席に向け後ろ向きに床に倒れる」などと書かれています。演奏者には、「立ち上がる」という指示があります。

この一連の動きは音楽に必要なのか、少々疑問に思ってしまいますが、エンターテイメント的な面白さはありますね。

テレビで演奏会の映像が流れていましたが、本当に楽譜の指示通りの動きをしていて、倒れた指揮者を、演奏者が立ち上がって心配そうな様子で見ており、指揮者を担架に乗せて運びだし、コンサートマスターが指揮者を務めて、演奏を続けていました。

演奏を聴くというよりも、「うわ、本当にやってる」と笑いしか出てきませんでした。番組のゲストに、ピアニストの反田恭平さんが出ていましたが、「この曲は知りませんでしたね。僕もやりたいですね」と話していて、さらに笑ってしまいました。

次に登場したのは、モーツァルト作曲の「音楽のサイコロ遊び」という曲です。演奏する順番を、サイコロで決めます。

176小節からなる曲の全ての小節に番号が書かれていますが、小節番号とは異なります。例えば、148番の次は22番、10番、13番、99番、37番、110番…といった感じです。それらを組み合わせて、16小節のオリジナル曲が出来上がるという遊びの曲です。

2つのサイコロの合計を、専用のチャート表で見て演奏しますが、約4京6千兆通りの組み合わせがあり、誰でも作曲家になれるというものです。テレビでは、出演者で実際に楽譜を作り、反田さんが演奏していましたが、思ったよりもいい曲だったと感想が出ていました。

次は、ハイドン作曲の「ピアノソナタ」です。なんと、逆再生しても同じメロディーになる曲です。回文という、上から読んでも下から読んでも同じ文章になる言葉遊びがありますが、同じテクニックですね。

番組では、反田さんに楽譜通りに演奏してもらってから、逆再生してみましたが、ちゃんと同じ音楽になっていて、すごい曲だと感心しました。

最後は、ラッヘルマン作曲の「ギロ ピアノのために」という曲です。特殊奏法で、ピアノを自由自在に操る楽曲です。

五線を使用しない見たことも無い楽譜で、ピアノの鍵盤など指でこすって演奏します。作曲者自らが演奏している?!映像を見ましたが、面白過ぎて見入ってしまいました。反田さんも、見様見真似で演奏?!していましたが、番組の出演者が笑いを必死で堪えている顔が映し出されていました。

私も知らない曲がいろいろあり、音楽の幅広さを再認識させられました。

リサイタルやコンサートでも、このような曲が1曲でも取り入れられたら、もっと気軽に足を運べるのではないかと思いますし、お子様にも楽しんでもらえるのではないかと思いました。

ご興味のある方は、ぜひ聴いてみてください。

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