(この記事は、第279号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、夏休み後の生徒さんの様子です。

夏休みも終わり、ピアノ教室も普段通りに落ち着きを取り戻しています。

毎年8月に夏休みがありますが、休み明けのレッスンは少々ドキドキするものです。というのも、休みの間、自宅でのピアノの練習が思うように進まず、仕上げの予定だった曲が終わらなかったり、すっかり忘れてしまい、むしろ弾けなくなってしまう事も多く見受けられるからです。

しかし、今年はいつもと違って、口では「すみません、練習が全然できていなくて…」と言いつつも、レッスンを始めてみると、次々と曲が仕上がった生徒さんもいらっしゃいました。

残っていた曲を全部仕上げて、しかも併用しているワークも残り全部をやってきて、一気に教材が2冊終わった幼稚園生もいました。合格したら教材にシールを貼るのですが、その時間を割愛しないと、練習してきた曲を見る時間がないという状況でしたので、急遽シール貼りを宿題に回して対応しました。

入会当初からピアノのレッスンに積極的な小学生からは、夏休み前のレッスンで、「もっと宿題出して~」と何回も懇願されました。こんなに宿題を出して、大丈夫かなと思いつつ、「できるところまででいいよ」とフォローしながら宿題を出したのですが、夏休み明けのレッスンでは、きっちりとこなしていてびっくりしました。しかも、どの曲もすらすらと手慣れた様子で弾いていて、夏休み中もよく練習しているなあと感心しました。

この生徒さんの妹で、幼稚園生の生徒さんには、小さいお子様が手を叩いて、音符の長さやリズムを練習する「リズム打ち」という練習を、初めて宿題にしたのですが、こちらも危なげなく、すらすらと上手に行っていてびっくりしました。レッスンに同席されているお母様が「リズム打ちは、とっても楽しいようで、喜んでやっていました」とお話されていて、なるほどと思いました。

別の幼稚園生の生徒さんも、普段以上に曲が仕上がり、お母様もビックリされていました。

大人の生徒さん方は、夏休みが普段以上に忙しい方も少なくありません。娘さんや息子さんが一家揃って泊まりに来るという方もいらっしゃいますし、毎年恒例で、お孫さんを連れてディズニーランドに泊りがけで行くという方もいらっしゃいます。

「暑いし、混んでいるしね…」と少々うんざり気味な様子でしたが、それでもお孫さんが楽しみにしていることが嬉しいようでした。

その他にも、お孫さんを迎えに、毎日学童や保育園に行かれる方もいらっしゃいます。「大変ですね」とお話をしますと、「良い運動になりますよ」と笑顔でお話をされていました。

11月末に出産を控えている大人の生徒さんは、9月に発表会、10月にグレード受験が控えています。つわりだけでなく、体も段々重くなってきますので、「発表会やグレード受験の参加は大丈夫ですか? 無理はなさらないでくださいね」とお話しましたが、「大丈夫です」というお返事で、参加することになりました。毎回様子を見ながら、週2回のレッスンで準備を進めています。

先日は、「出産しても、ピアノは続けたいんです。12月は、ちょっと来れないかなとは思うんですけれど…」と、早くも出産後のレッスン復帰のお話まで出てきて驚きました。「どうぞどうぞ、是非いらしてください。私が抱っこしながらレッスンしますよ」などとお話をしましたが、ピアノへの強い思いを感じて、凄いなあと思いました。

11月の発表会に参加される大人の生徒さん方は、夏休みが終わると、段々と本番が近づいてきたという実感が湧き始めたようです。幸い、今年は大人の方の発表会が2週間ほど遅い日程なので、じっくりと準備が出来そうです。

「発表会の曲を決めました」と勢いよく話された生徒さんもいらっしゃいました。何の曲かと思って聞きますと、小さい頃にピアノの発表会で弾いた曲だそうで、その時はちょっと大人っぽい曲だと感じてあまり好きではなかったとのことですが、今回改めて、弾いてみたいとおっしゃっていました。「そうだったんですね。是非発表会で演奏して、良い思い出に変わるといいですね」とお話をしました。

本番で弾く曲を選ぶ時に、いろいろな曲を聴いて、一番好きな曲を選ぶという方法もありますが、先程の生徒さんのように、昔弾いた曲をもう一回弾いてみるという選び方もあるのだと、改めて思いました。「曲は生き物だ」という言葉がありますが、弾くたびに新しい発見があります。また、以前は苦労した部分が、今弾くと難なく弾けたりすることもあり、あの頃よりは上達したのかなと実感もできます。

これから発表会を迎える生徒さん方が、しっかりと準備ができて、本番で満足できる演奏ができるように、私もより良いレッスンを心掛けていきたいと思います。

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(この記事は、第278号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、チャイコフスキーコンクールのお話です。

チャイコフスキーコンクールは、4年ごとに開催されますが、これまでにピアノ部門では、ヴァン・クライバーンや、 ウラディミール・アシュケナージなどが優勝し、一躍ピアノ界のトップスターに上り詰めています。日本人では、ショパンコンクールで入賞歴のある小山実稚恵さんが第3位、2002年に開催した第12回では上原彩子さんが優勝しました。

今年開催された第16回は、ピアノ部門が6月17日~29日に、モスクワ音楽院大ホールで行われました。

応募総数は、世界58か国954人だそうですが、今年は開催日程が短縮され、ピアノ部門の参加者は25人に絞られました。そのほとんどが、これまでに国際コンクールでの入賞歴がある方で、いかにレベルが高いかがわかります。

第1次予選では、バッハの平均律クラヴィ─ア曲集から1曲、ハイドンやモーツァルトなどの古典のソナタ1曲(全楽章)、チャイコフスキーの作品1曲、ショパン、リスト、ラフマニノフの練習曲から1曲。第2次予選では、ラフマニノフやロシア5人組、チャイコフスキーなどのロシアの作曲家の作品を1曲以上入れて、自由な選曲で50~60分以内のプログラム。最終予選では、チャイコフスキーのピアノ協奏曲を含む2曲のピアノ協奏曲という課題が出されていました。

日本人の参加者は、ピアノ部門で藤田真央さん、ただ1人でしたが、なんと第2位という、素晴らしい成績を収めました。これは、上原彩子さん以来の日本人入賞者で、日本人男性ピアニストとしては、第1回大会で第7位に入賞した、故 松浦豊明さん以来の快挙となります。

藤田真央さんは、現在、東京音楽大学ピアノ演奏家コース・エクセレンスに在学中の20歳のピアニストで、東京音大学長でピアニストの野島稔さんに師事しているそうです。18歳の時に、 第27回クララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝されました。

以前から、国内外で演奏活動をされていますが、モスクワ音楽院の大ホールで弾きたかったので、今回のコンクールに参加したのだそうです。順位はあまり期待していなかったそうで、第2位という結果に驚いているとインタビューで答えていました。

コンクールの模様は、インターネットで視聴することができます。最終予選のピアノ協奏曲を聴いてみましたが、とにかく驚くべき素晴らしい演奏で感激しました。

International Tchaikovsky Competition: Final Mao Fujita

どこが素晴らしいかというと、表現の幅がとてつもなく広く、リズム感がものすごく良いところです。

オーケストラの大音量に負けないパワフルさがありながら、勢いなどで弾くという粗さがまったくなく、全ての音を完全にコントロールして、隅々まで表現して弾いている印象を受けました。

最初に演奏したチャイコフスキーのピアノ協奏曲が、こんなに味わい深い音楽だったのかと、改めて楽曲の素晴らしさを感じさせ、とても聴かせる音楽を奏でていました。

音階なども、とにかく滑らかで、音の粒が全てきれいに並んでいて、一音づつ全て聴こえてきて、とても美しかったり、曲の中の場面の移り際が、とても自然なグラデーションのように表現されていて、惹きつけられました。

まだ、あどけなさの残る顔立ちからは、想像できないほどの完成度の高い演奏で、コンクールの会場にいた聴衆が、大きな歓声とスタンディングオベーションで拍手しているのも納得という感じがしました。

2次予選では、拍手が鳴りやまず、次の課題曲がなかなか演奏できなかったり、全ての演奏後には嵐のような拍手と歓声で、カーテンコールが3回も行われたりしたそうです。

ちなみに、今年の優勝者は、フランスのアレクサンドル・カントロフさんで、藤田真央さんと同じく2位には、ロシアのピアニスト、第3位は3人という珍しい結果でした。特にこのような大きな国際コンクールで、3位が3人というのは聞いたことがなく、この点からも、参加者のレベルがとても高かったと言えます。

既に国内外で活躍している藤田真央さんですが、今後はさらに活躍の場が広がりそうで楽しみですね。

ちなみに、来年の秋には、ショパンコンクールが開催されますが、もし藤田さんが参加されるとしたら、日本人悲願の第1号の優勝者になるかもしれませんね。これからも、大注目の若手ピアニストだと思います。

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(この記事は、第277号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、知人のピアノリサイタルのお話です。

最近、知人の松岡直子さんのピアノリサイタルへ行ってきました。松岡さんは、現在でも私が定期的にレッスンに通っている先生に師事している門下生です。

先日、いつものようにレッスンに行ったときに、「こういうのがあるんだけど」と先生に頂いたのが、松岡さんのリサイタルの案内でした。

松岡さんとは、2回ほど発表会でご一緒したのですが、とても素敵にピアノを弾かれていたので興味を持ちました。

また、リサイタルの会場が「クロイツァー豊子音楽サロン」で、先生からサロンの写真を見せていただいたところ、ロココ調を思わせる優雅な空間になっていて、ますます興味を持ちました。

直接、松岡さんに連絡して、チケットを用意していただき、行ってみることにしました。

西武池袋線の大泉学園駅から歩いて7、8分の住宅街の中に、突如、街路樹で覆われた一角が現れます。

クロイツァー豊子音楽サロンの名前にある、クロイツァー豊子さんは、日本の音楽界に多大な影響を与えたピアニストであり指揮者でもあったレオニード・クロイツァーの奥様で、自身もピアニストであり、東京芸術大学を始めとする音楽大学で教鞭をとっていました。

晩年の住まいを姪が引き継ぎ、一流の演奏家の生演奏を至近距離で楽しむために、音楽サロンとして使用しているものです。

広い玄関は、ヨーロッパの調度品で飾られ、すでに優雅な空間になっていました。玄関を入って、すぐ左側のドアの先がサロンになっています。

明るく、しかし落ち着いたサロンにはシャンデリアが飾られ、透かし彫りの譜面台のあるスタインウェイが置かれていました。その前に、ロココ調のソファや椅子が並べられて、壁際には、別の3台のピアノと、クロイツァーご夫妻の写真やパネルなども飾られていました。

昔、ショパンなどの作曲家がサロンで演奏していた雰囲気を彷彿とさせる空間です。

会場には、松岡さんのお弟子さんらしき小学生とお母様、サロンのコンサートの常連らしき方々、松岡さんのピアノのファンらしき方々などが集まっていました。

私がレッスンに通っている先生もいらっしゃり、同じ先生の門下生の方々にもお会いすることができました。

今回のリサイタルは、「レオニードクロイツァー校訂譜シリーズ ベートーヴェン『ワルトシュタイン』」というタイトルで行われ、シューベルト作曲の即興曲 Op.142-3 の次に、ワルトシュタインが演奏されました。

最初に演奏されたシューベルトは、音大を目指す方々が、中学・高校生くらいで弾くことの多い曲目です。

裾に大ぶりのバラの装飾が施された緑色のドレスで登場した松岡さんは、シューベルト特有のとてもロマンティックな甘いメロディーを美しく奏でて、少し長めの曲なのですが、聴いている方を飽きさせないどころか、惹きつける演奏をされていました。

同じ門下生の方と、「昔、弾いたけど、こんなにいい曲だったっけ?」と話したくらいです。

次に演奏された曲は、今回のメインである、ベートーヴェン作曲のピアノソナタ『ワルトシュタイン』です。

ワルトシュタイン伯爵に献呈されたので、通称として「ワルトシュタイン」と呼ばれている作品で、ベートーヴェンのソナタの中でも有名です。

曲の出だしや、1楽章に何回も同じような連打が出てくるので、印象的な作品とも言えます。

近年、いろいろな出版社の楽譜がありますが、ベートーヴェンの曲を弾くときには、ヘンレ版を使用することが多いものです。

クロイツァー版を使用した松岡さんの演奏を聴きますと、そこまでの大きな違いはなかったのですが、ところどころで解釈の違いがあるように感じました。ヘンレ版よりも、もっと早く音楽的な解釈がわかるようです。

その後、休憩の後は、リスト作曲の「巡礼の年 第1年『スイス』より、1・2・3・4・5・6・9の曲が演奏されました。

「巡礼の年」は、4集までありますが、今回演奏された「泉のほとりで」の他に、「エステ荘の噴水」「ダンテを読んで」が有名です。あまり知らない曲もありましたが、壮大なスケール感やキラキラしているロマンティックなフレーズ、大変高度なテクニックを要するものなど、リストの魅力がたっぷりと味わえました。

松岡さんの演奏は、大きくフレーズを感じて、フレーズの最後の音まで気を配って弾かれていて、惹きつける魅力がありました。超絶技巧の曲も、圧倒的な迫力で弾かれていて、テクニックも素晴らしいと思いました。

同じ先生の門下生で、発表会もご一緒したことがある少し身近に感じられるピアニストで、「私も頑張らなくては」と、良い刺激にもなりました。

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