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「後悔しないピアノ選び」(第1章 ピアノという楽器)
なお、電子ピアノを使われている生徒さんに共通するもう1つの特徴は、ピアノを始めた当初、「まずは電子ピアノで」と電子ピアノを購入されますと、その後、かなり弾けるようになってきても、アップライトピアノなどアコースティックピアノへ移行する方が少ないということです。これは、地域にもよるのかもしれません。インターネットでの書き込みを見ておりますと、「電子ピアノを買って、直ぐにアコースティックピアノに買い替えた」という話も載っておりますが、東京でピアノを教えております私の感覚では、電子ピアノからアコースティックピアノへ移行する人の割合は、高くはありません。アコースティックピアノで音を出して弾くだけの環境を用意できないという要因もあると思いますが、電子ピアノに満足されて、電子ピアノの道に進まれる方が多いように思います。この電子ピアノという楽器と、アコースティックピアノという楽器の壁は、思うよりも大きいものがあるように感じられます。

電子ピアノだけでなく、消音装置が付いたアコースティックピアノ(サイレントピアノとも言われます)を購入された方でも、同じような現象が起きる人がいます。消音装置は、アコースティックのアップライトピアノや、メーカーによっては、グランドピアノにも装着することができますが、この消音装置をONにすると、ピアノは本来の弦を叩かなくなり、その情報がセンサーから消音装置に伝わって電子ピアノの音がヘッドフォンから聴こえてくるようになります。


サイレントピアノのセンサー部分

本来、昼間は普通のピアノとして使って、夜練習するときには、消音装置で練習するといった使われ方を想定した商品ですが、実際に使われている生徒さんに聞いてみますと、消音装置を使っている方は、夜でも昼でも常に消音装置をONにした状態で、つまり電子ピアノとして使われている方が多く、逆に消音装置をOFFにしている方は、常にOFFにされている方が多いように思います。消音装置付きのアップライトピアノを所有されている、ある大人の生徒さんが、これまでは消音装置を使わないで普通に家でピアノを弾かれていましたが、お住いの都合で、あまり大きな音が出せなくなり、消音装置をONにしてピアノの練習を始めたそうです。しかし、すぐに「気が狂いそう!」と根を上げて、アップライトピアノ用の防音用品を購入するために楽器店にご来店されていました。結局、消音装置をONにすると、別の楽器になるのです。

まとめてみますと、電子ピアノの鍵盤も、上位機種では、かなりアコースティックピアノに近づいていますし、消音装置付きのアコースティックピアノでは、鍵盤は、アコースティックピアノの鍵盤そのものとなるわけですが、鍵盤のタッチが同じでも「空間を振動させて音を出す」という特徴をカットしてしまうと、どこでも、いつでも練習ができ、機種によっては別の楽器の音に変えたりと、さまざまな別の楽しみ方と、別の目的を持った、別の楽器に生まれ変わることになると理解した方がよいと思います。そして、この異なる楽器は、楽しみ方が違いますので、結果的に身に付く技術も異なるものになると考えた方がよいでしょう。

大人の方が趣味でピアノを始められる場合、ご自身が楽しめることが一番重要ですので、例えば近所迷惑を気にされたり、ご自身の演奏を聴かれることが気になるようであれば、電子ピアノは手軽でよい選択肢ではないかと思います。逆に、「こだわりを持った趣味」とされたい方でしたら、輸入ピアノなど、他の選択肢もあるかもしれません。

お子様がピアノを始められるために、ピアノの購入を検討されている場合、やはり値段とピアノを弾く環境が一番大きな問題となってくるとは思いますが、ピアノ教室に通わせると、お子様は呑み込みが速いので、比較的早いペースで、かなりの曲が弾けるようになってきます。そして、最初に買った楽器の影響を強く受けることがほとんどですので、購入される際に、クラシックの本来のピアノの道を目指すのか、趣味として手軽に楽しむ音楽、または、将来的にシンセサイザーやポピュラーソングのキーボードなど現代音楽を目指すのか、ある程度親御さんの方でも理解された上で、ご判断された方がよいように思います。

なお、アコースティックピアノでの防音対策については、第5章「ピアノの防音対策とメンテナンス」で説明しています。

第1章のみ、公開しております。第2章以降につきましては、「後悔しないピアノ選び」を、ご購入ください。

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